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旅路

火炎の魔術師アディナモス、ねえ...

見るからに弱そうな見た目をしているが、ここまでの自信を持っているということは人間界ではそれなりに腕の立つ者として扱われているのだろう。

人間の実力を調べておくのにもちょうどいい。

相手をしてやるか。

「まだ、荷物を渡す気にならないのか?」

「はい、傲慢な魔術師ほど、容易い相手は居ませんから」

「なんだと?ガキが舐めた口聞くじゃねぇか」

「舐めていませんよ、哀れんでいるだけです」

「黙れ!ファイアボール!」

火炎のなんちゃらはどこに隠し持っていたのか知らない短杖を取り出し、火球を放った。

隙だらけ、火力不足、謎の詠唱、どれも戦闘において命取りとなる欠点。

手をさっと振れば、その火球は一瞬にして消え去った。

この程度なら簡単に魔法の取り消しを行える。

「期待はずれだよ」

「な、なんでファイアボールが消えたんだ」

「なにをした!」

「口で説明するのも難しいですし、本当の魔法を見せてあげますよ」

「はあ?どういうことd」

「ライト」

ライト、師匠が僕に魔法を教える時に用いた、最も簡単かつ最低火力の炎魔法。

本来の効果は、指の先を照らし、暗闇を少し明るくする程度だ。

薪に火をつける時でさえ、先程ヘレナが使ったファイアを用いる。

そんな、初歩中の初歩の魔法。

それを唱えた時、顔の前でピンと立てた僕の人差し指の先が小さく光った。

「ライトだと!?はは、それは周りを照らすだけの魔法だぞ」

「それで何ができるってんだ」

僕はそれに答えず、右手を右下に振り下ろした。

ボッと大きな音がなり、僕の指先に、ヘルフレイムと大差ない火力の炎が噴き出していた。

「は...」


「に、逃げろー!」

盗賊たちの声が響く。

「さ、行こう」

多少の怪我で済むようにした。

一見丸焦げに見えるが服の炭などが付いただけだ。

僕はその男を背後に、馬車の方へ歩み寄った。

「ヘルンに喧嘩を売るなんて、馬鹿な男たちね」

アイシーが呆れるように言った。

「まあ、普通の人から見れば僕はまだ子供に見えるんだろうね」

「たしかに、こんな幼そうな身体から世界を丸ごとひとつ消せるような力が生まれるなんて、不思議だわ」

「ははは、」

「そろそろ行こうか、まだ先は長いし」

そうして僕らを乗せた馬車は、再び目的地へと動き出した。

周りに草原が広がる一本道を進んで行く。

たまに出てくる野生動物にフィオナとヘレナが興奮していた。

「かわいい!!!!」


「ウォリアスまで結構あるねー」

「いいじゃないか、僕はこんな、気ままな旅がしたかったんだ」

「まあたしかにね」

「そろそろこの辺りで休息を取ろう」

「ちょうどいい広さの草原だしね」

日が沈みだし、暗くなったら危険という訳でもないが、一晩ここで過ごすことにした。

もちろん、創造魔法で簡単な家は建てた。

僕は平凡な旅をしたい訳だが、不便したい訳では無い。

「旅の途中で家に泊まるって、違和感しかないんだけど」

「今更だろう、ヘルンの異常性は」

「たしかに...」

「もうちょっと良い言い方はなかったの...」

「ご飯出来たよー!」

キッチンの方からヘレナの声が響いた。

「たべよたべよっ」

ハネストは美味しそうなものを前にした時が一番幸せそうだな...

テーブルに肉、魚、野菜と次々に料理が並び、部屋は美味しそうな香りでいっぱいだった。

「いただきます」

肉を一切れ食べると、それは口の中で溶けて行った。

強い旨味なのに優しい、まさに絶品だ。

「美味しいよ、ヘレナ」

「ヘレナは料理の才能もあるね」

「へへ、そうかなぁ」

ヘレナが照れ笑いしたところで、みんな料理に夢中になり、気づけばテーブルの上の皿はほとんど空となっていた。

「ごちそうさまでした〜」

「ふー、いっぱい食べたー!」

「なかなか美味かったな」

「ええ、ちょっと食べ過ぎてしまったかも」

「ヘレナお姉ちゃん、美味しかったよー!」

「お腹いっぱいになったら眠くなってきた...」

「私も...」

ハネストとヘレナがふらつき始めた。

「二人とも、ベッドで寝ておいで」

「うん、おやすみぃ」

「みんなおやすみぃ」

「はい、おやすみ」

本当に似てるな...

「私も寝てくる!」

「おやすみ!」

「おやすみ、ゆっくり休むんだよ」

フィオナも結構しっかりしてきたな。

「フィリアとアイシーは寝ないの?」

「私はまだいい」

「私もいいわ、そんなに疲れてないし」

「そっか、じゃあコーヒーでも淹れようかな」

「二人も要るでしょ?」

「ああ、頼む」

「ありがとう」

「了解、ちょっと待っててね」

キッチンへ向かうと、壁に掛けてあった調理器具が揺れ出した。

外から振動が伝わってくる。

家が小刻みにガタガタと揺れ始め、ベッドに行った三人も起きてきた。

「ちょっと外を見てくるよ」

そう言い、ハネストが扉を開けた時、ハネストの顔は青ざめた。

「き、来てる、大勢の兵士がこっちに向かってきてる!」

大勢の兵士...

僕も外を覗くと、暗闇に大量の灯火が浮き出し、馬が全速力でこちらに向かって走っている。

面倒だな...

「とりあえず話してくるよ」

「大丈夫なの!?」

「応戦するにしろなんにしろ、話してみないことには一般人に手は出せない」

「そうだけど...」

「心配しないで、僕は神王だよ」

「まあそれもそうなんだけど....気をつけてね?」

「もちろん、じゃあ行ってくるね」


家を離れ、軍団の方へ飛んでいく。

すると軍団は戦闘状態に入り、魔法隊と思われる部隊が僕に遠距離の魔法攻撃を始めた。

家に届かないように魔法障壁を張り、軍団に近づいていくと、団長のような男が前へ出て叫んだ。

「奇妙な魔法を使う怪しい者がいると通報が入った!」

「今からお前の無力化作戦を始める!」

「僕は何もしていませんよー!」

「火炎の魔術師アディナモス様に攻撃を行ったことは大罪だ!」

え、あの人そんなに有名な人なんだ...

「大人しく仲間と出頭しろ!」

「でなければ本格的な攻撃を開始する!」

何だこの人...

「答えなければ敵意ありと見なすぞ!」

「攻撃して、後悔するのはあなたたちですよー!」

「その火炎のなんちゃらさんを倒したのも私たちなんですからー!」

「ふむ、出頭する気はないようだな!全軍攻撃開始!」

──え、そこは引いてよ...

ーフィリア、ハネストは前衛に来て、ヘレナとアイシーは後衛、フィオナは補助魔法をお願いー

僕がデスサイズを出した時には、フィリアとハネストが僕の少し後ろについた。

「ヘルンファミリーに喧嘩を売ったらどうなるか、ここで教えておくのも悪くない」

「私たち何も悪いことしてないもん!」

「全くその通りだ、こやつらも、知らないとはいえ神王と悪魔王、人間界最強が集まる旅団に手を出すとは、不幸な奴らだ」

「旅団ヘルンファミリー、最初の伝説作りだよ」

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

適当にあしらった盗賊の仲間の魔術師が結構偉かった!?

冤罪で戦争級の軍団を送り込まれたヘルンたち、どうなるのかっ!


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