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放浪者

コンコンッ

小鳥の鳴き声と共に、窓を突く音がする。

目を開くと瞳に日が差し込み、思わず光の方向に手をかざした。

ベッドを降りて窓の前に立つと、赤色を基調とした可愛らしい鳥が、二匹揃ってこちらを眺めている。

クリクリとした目に思わずうっとりとしてしまったが、すぐに窓を開け、その子たちのために用意していた木の実を窓の縁にそっと置いてやった。

頭を撫でると、甘えるように身を振るった。

まるでありがとうとでも言うようにチュンチュンと鳴くと、その小鳥たちは同じ方向に飛び立って行った。

「大分懐かれちゃったなー」

数日前、窓の縁に止まっていた二匹の小鳥に餌をやってから、毎朝その二匹が僕の所へ来るようになった。

ここに滞在するのも今日で最後だが、またどこかで見かけられたらいいな。


その時、部屋のドアが軽くノックされた。

「ヘルンー、おはよぉー」

ドアを開けると、眠そうに目を擦るハネストが部屋の前に立っていた。

「おはよう、ハネスト」

こうして見ると、出会った時よりは少し大人っぽくなったように思える。

蘇生の時に死神の魔力が大量に流れたことで、寿命や成長が大幅に遅れているようだ。

ほとんど不死身の自分としては、長い時間ハネストと共に居られることは嬉しい。

「どうしたの?そんなまじまじと見て」

「いや?」

「今日も平和だなって思っただけだよ」

「へへ、そうだね」


時は少し遡り、僕が宮殿を離れた日。

朝早くに宮殿を出た僕らは、とりあえずあまり行ったことのなかった国、バシレイアのウォリアス王国へ向かうことにした。

師匠の家がある森はバシレイアの世界地図見た時最北端に位置しており、少し南に下がった所にイレーネ、そこから西に進むとサスティナ、さらに南に進むとメガロス帝国となっている。

僕たちが目指すウォリアスはそのメガロス帝国より更に南に位置する、メガロス帝国に次ぐ戦力を持つ強国だ。

ちなみに、宮殿はメガロス帝国の北東辺りに位置しているから、ウォリアスはそこまで遠くない。

「ウォリアスか、宰相だった時にも行ったことが無いな」

「私も騎士時代にも行ったことないよー」

「戦士の国らしいね」

「うん、バシレイアでも冒険者の数が一番多い国だよ!」

「強さがあれば、よりいい職に就くことだって出来るの」

まじか...

「ヘルンお兄ちゃんなら王様にもなれるんじゃない?」

「は、はは」

せっかくカリタスの王から退いたのに、また王様なんて死んでもごめんだ。

まあ、死ねないけど。

「じゃあそろそろ、出発しよう」

「出発しようと言っても、どうやっていくんだ?」

「もちろん、徒歩だよ!」

「え...え?」


「ヘルン〜...もう馬車に乗ろうよぉ」

「ほら前乗せてくれたみたいなさ、空飛ぶやつ」

「ハネスト、へこたれちゃだめだよ!」

「こういうところで忍耐力を身につけないと、より上の存在にはなれないのだよ」

「元悪魔王の私が断言しよう、それはない」

「フィリアまで疲れたのかぁ」

「そりゃ、半日ずっと歩いてれば私でも疲れるわ」

「でもさ、楽しくない?」

「魔法を使わずに、みんなでゆっくり、何にも追われず旅をするってさ」

「まあ、たしかに...」

「でしょ!じゃあ後五日くらいかな?頑張ろう!」

「お願いしますヘルンさん、馬車を出してください...」

「ええ...」


結局僕はハネストに負け、馬車を召喚した。

「まあ、空を飛ばさずに地面で行けばいいか...」

「うんうん!」

「はあ、やっと座れるのか」

「本当よ、私は魔術系なんだから...」

「確かに、アイシーが動いてるとこ、あんまり見ないよね」

「ヘルン、何か文句でもあるの?」

アイシーの目から殺意が感じ取れる。

それは、初対面で対峙した時よりもより強いものだった。

「な、なんにもないよ...はは」

「そうよね、私は細いもの」

「そうだね!」

まあ、アイシーはこの六人の中でも僕やフィリアに並ぶくらいよく働いてくれていたから。

動かなくても体力を消費してたんだろうな。

ヤブランとネロ、二人を残してしまったけど、大丈夫かな...

ネロなら上手くやってくれると思うけど...心配だな...

そうこうしながら、馬車はゆっくりとウォリアス王国へ向かっていった。


しばらくした時、自動運転のはずの馬車が急に止まり、魔力で出来た馬が鳴き出した。

「なに、どうしたの」

「ちょっと外を見てくるよ」

そう言い馬車を降りると、周りには強面の男達が数十人、馬車を囲っていた。

馬車の窓から覗いたハネストが、焦り出した。

「ど、どうしよう!」

人間が数十人...うん...

「よし、突っ切ろうー!いけー!お馬さん!」

「いやなんでそうなるのよ...」

「さすがに無理かぁ...」

「誰が片付ける?」

「ヘレナ、新しい魔法を試したいとか言ってたよね」

「いいよ、全員片付けちゃって」

「いや、言ったけど...私一人で相手するの?...」

「ハネストなら大丈夫だよ、思い出して、僕らは最強の家族だ」

「そ、そうよね、私頑張る!」

「その意気だー!」

ヘレナ以外が相手すると、間違えて相手を殺しかねないし...


「あ、あなたたち!そこをどきなさい!」

「なんだー?ガキが出しゃばってんじゃねぇよ」

「さっさと荷物を差し出せや」

「ひぇっ」

ひぇって言っちゃった...

仕方ない、助けに行くか。

そうして馬車を降りると、盗賊達が僕を嘲笑った。

「またガキが出てきたぞ」

「お、お兄ちゃん...」

ヘレナが僕を見つめて嘆く。

うちのヘレナを泣かせやがって...

「そんな小さい体で妹を守れるかなあ!お兄ちゃーん」

盗賊達は笑いながら刃物を取り出した。

大怪我しても、知らないからな。

「ヘルフレ⋯」

「ファイア!」

背後から、威勢のいい女の子の声が聞こえた。

一瞬にして、目の前の盗賊たちは業火に包まれた。

振り向くと、さっきまで泣いていたヘレナが、険しい顔で魔法を放っていた。

「お兄ちゃんを馬鹿にしたら、許さない!」

ファイアは炎魔法の初級、炎魔法の基礎中の基礎だ。

それでこの威力、それはヘレナの炎魔法の成長を意味していた。

でも、これは強すぎるな...

「ヘレナ、もう少し加減を」

「誰一人大怪我はしてないよ」

「え?」

炎が収まり、盗賊達の姿が見えると、多少の傷や火傷はあるものの、皆目立った大怪我は無かった。

「そりゃ、普通の人相手に高火力な魔法は放たないよ」

非の打ち所がない魔法。

ただの人間相手にヘルフレイムを放とうとした僕とは比べ物にならない。

「成長したね、ヘレナ」

「へへっそうかな〜」

ヘレナは照れ笑いしながらモジモジしていた。

それはそうと、盗賊はどうしようかな。

そう思った瞬間、こちらに火球が飛んできた。

この程度、防御魔法を使う必要も無いけれど、変な噂が流れないように、一応魔法障壁を展開した。

「アディナモスさん!やっちゃってください!」

盗賊の親玉のような輩が懇願するように叫んだ。

「仕方がありませんね、まあ契約ですからね」

先程まで傍観していた男が前へ出てきた。

黒い衣装に、片目を隠している...

「この火炎の魔術師、アディナモスと対峙することになるとは、あなたも運が悪かった」

「素直に荷物を渡していれば良かったですね」

うわぁ...この世界にも厨二病っているんだ...

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

最強の死神、第2期到来!!!!!

第1期より確実に面白くなるように頑張ります!


国王を辞めて放浪中、日本で言う厨二病のような男が接近中!応戦されると力を抜きにくいから大変だが、どうにも自信がありそう...普通の人間の力がどの程度か測るのにはちょうどいいかもしれないな...


ご意見、ご感想、お待ちしています!

あなたの人生に、ひと時の異世界を✨️

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