第五話 ファーストコンタクト
第五話 ファーストコンタクト
会議が終わり、各々が席を立ち、移動を開始した。望月も移動していく。
澪「琴音....」
澪が、琴音に艦内を案内しようと声をかけたが、琴音が望月を目で追っているのを見て
澪「ぁ....望月に案内してもらうんだったか」
琴音「は、はい!声かけてみます」
琴音は「よし」と決意して、声をかけてみることにした。
琴音「あの、望月さん」
望月は琴音に振り返った。
琴音「よかったら、この後ガルディオンを案内してくれない....ですか?」
望月「案内....私が?」
琴音「ダメ....かな?」
望月「....いいわよ。少尉」
望月「それと、もう敬語はいらないわ」
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全長1000mほどあるガルディオンには、軍部のための設備だけでなく、パイロット向けの訓練施設も存在する。それから、食堂、シャワールーム、図書館、映画館....まるで空飛ぶアミューズメントパークだった。
望月が案内をしてくれて、彼女とお近づきになりたい琴音からすれば、絶好の機会になった。
望月は、ガルディオンで長く過ごしている分、ガルディオン内部に詳しいようだ。
望月「そして....ここがあなたの部屋」
「非番の日はここで休むと良いわ」
琴音の部屋は、望月の部屋と隣だった。
空を飛んでいるのが、廊下の窓から確認できる。高い、大地がまるでミニチュアの様だ。
ガルディオンは現在、東北、福島上空を飛行している。
あたりを見渡すと、静かで誰もいない。
琴音と望月の2人だけだ。
望月「じゃあ、私も部屋で休むから、何かあったら....声をかけて」
望月が、部屋にカードをかざして部屋の中に入ろうとする。
琴音「.......ま、待って」
望月「まだ、何か用.....?」
部屋に入る前に、望月と少し話したい琴音は唐突に、話題を切り出した。
琴音「望月さん、大尉って....すごいよね。私はまだ少尉だし。」
望月「....まだ新人でしょう。焦ることはない。」
琴音「でもすごいよ」
望月は、特に興味を惹かれるわけでもない話題に反応が薄い。
琴音「同期だった頃、望月さん、いつも成績トップで、私憧れてた。」
琴音「それに、軍部に直接スカウトされるなんて前代未聞だったでしょ?」
望月「天野さんも、成績はいつも上位だったじゃない。」
「それに....人と比べても、仕方がないわ。」
望月はドアに向いたままだ。
琴音は思い切って、いつも琴音自身が考えていることを、切り出してみることにした。
琴音「でもさ、宇宙にいる人達って....本当に敵なのかな?なんか、想像できない」
望月「......」
琴音「.....だってさ、昔の頭が良かった人とかお金持ちだったんでしょ?そんな人たちが戦争をするなんて.....」
ドンッ
琴音は、壁際に突き飛ばされた。
激しく肩を掴まれたまま、望月が距離を詰める。
部屋の扉と扉の間の壁に、覆い被さる形で2人が重なり合っている。
望月「.....あなた、案外甘いのね」
「私達が、そんな戯言を吐いてたら......もっと多くの人が死ぬ」
琴音「.....急に どうしたの」
琴音は純粋に困惑していた。あの望月が怒っているのか。にしても近い。お互いの体温を感じるほどに。
望月「私達が、何と戦ってるか分かっているの?」
琴音「.....宇宙にいる人達....でしょ?」
望月「そうね。でも、それだけじゃないわ.....」
望月「彼らは、持ち前のインフラや巨大資本を使って、私兵の軍隊を作り、ごく少数の選ばれた人間達だけの帝国を作っている」
望月「ようするに、テクノロジーを民主化しようとしている私たちASGARDとは真逆の性質を持つわ」
琴音「それは....知ってるよ」
望月「.....人類の様な不完全な歯車は、もうとっくに必要がないの」
望月「抹殺対象なのよ」
琴音「そんな.....」
琴音も、それは知っている。テクノロジーによる変革以降、穀潰しの100億人以上の人類は、もうとっくに社会や国のインフラを保つために、生産性を持たないことを。
時代は完全に、少数がテクノロジーによって圧倒的な支配権を獲得する時代へと移行していることも。全てパイロット候補生時代に、叩き込まれた情報だ。とっくに知っている。
だが、琴音が言いたいのはそういうことではない。
琴音「でも.....人間同士で殺し合うなんて.....」
望月「人間ね....どうかしら。彼らは既に超知能に主権を明け渡しているかも。」
琴音「超知能.....」
望月「分かったら、もう敵と仲良くできるかなんて....考えないことね」
望月「.....とにかく」
望月「私達は冷酷な機械達に抹殺されてしまう前に、テクノロジーを人類の手に取り戻すの」
琴音「取り戻す.....」
望月「そう。私達にはその責任と使命がある。」
望月「....彼らの躍進は、私達が阻止しなければならない」
小声で望月が俯きながらも、力強く呟いた。
第六話に続く




