表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/28

第20章:傷跡に銀**


あの臭い小屋を出た後、体が妙に軽い。まるですべて吐き出してしまったみたいな感じ。


歩いていると、ルカンが目の前に立ち止まり、いつもと違う笑みを浮かべていた。あたしが乗り越えられたことを喜んでるのかもしれない。誰かに気持ちを読まれるの、ほんとに嫌なんだけど。


「まあ、見た目を気にするあたり、相当な見栄っ張りなんだろう? 身軽になったみたいだし」


「あんたには関係ないでしょ!」あたしは目を逸らして言い返した。


てか、気持ちを言い当てられる方がもっと嫌かも。


「俺の口は堅いからさ、信用していいよ、お嬢ちゃん。どんな深い秘密でも話してくれていいんだぜ」ルカンはおやつをねだる犬みたいな目であたしを見つめてきた。


「あんたが自分で言ったじゃん、あたしってオープンブックだって。なんで自分で見つけようとしないわけ?」


「見つけられるけどな。まあ、話は変わるけど…これが役に立つかわかんないけど、あんたが気に入るものがあるんだけど」


彼がポケットから小箱を取り出してよこす。あたしは半信半疑で受け取り、ゆっくりと蓋を開けた。


瞬間、目がくらむほどの輝きが飛び込んできた。


箱の中には歯――銀製の、鏡みたいにピカピカなやつが入ってやがった。自分の顔が映るほどツヤツヤしてる。


「……は?」眉をひそめてルカンを睨む。こいつ、何の冗談だよ。


「義歯だ」ルカンはさらりと言った。「欲しけりゃ入れてやる。そのガラガラの口で歩き回るよりマシだろ。どうよ?」


舌先で歯茎の穴をなぞる。あの隙間は、屈辱の証だ。


あたしの笑顔に、こんな印残させないんだから!


「受け入れるわ。見た目良くなるなら、損はないし」 あたしは、そっけない顔で言った。


「そりゃよかった。だが、言っておくが、つける時は少々痛むぞ」


「別に構わないわ。あたし、もっと酷い目に遭ってるし…」


「へえ、気になるな。どんなことだ?」 ルカンは首を傾げ、あのウザい好奇心丸出しの目でキラキラと輝かせた。


「何様のつもり? セラピスト? 暇なら他にやること探せよ」


「興ざめだなぁ…」 ルカンは不満げに呟いた。


「で、これからどうなんの? 訓練ってどうやるの?」


「さて、これからはマナを使って強くなる。葉っぱを揉む作業を何度も繰り返す…三ヶ月間だ」


「え、それだけ?」


「マナは筋肉のようなものだ。覚えているか? 強くするには鍛える必要がある。それに、あんたは魔法を本能的に使う。才能と言ってもいいくらいだ」


「あたしを奴隷にしたあのクソエルフどもは、あたしの魔法は体術魔法だって言ってたけど。魔法って、種類とかあるわけ?」


「ああ、ある。君の旅路で、きっとそういう魔法の使い手に出会うこともあるだろう」


「さっさとまとめて言ってよ。長い説明とか無理だし」


「ええと、魔法は五種類と、あと特殊なのが一つで、全部で六種類ある。あんたが使ってる体術魔法は、身体能力を向上させるものだ。それから元素魔法。これは自然の四元素、火、土、水、風に関連する魔法だ」


「ふーん、それは知ってるわ」 あたしは遮った。 「逃げた時、エルフたちがこの手の魔法で止めようとしてきたし」


「エルフは、この手の魔法に生まれつき親和性があるんだ。で、話は戻るけど、死霊魔法っていうのもある。これは死体を人形みたいに操るんだが…それだけじゃなくて、他にも色々できるんだけど、説明するのめんどくさいな」


「その魔法、キモいじゃん」


「実際、あまり良い目で見られない魔法なんだ。死体に関わるから、倫理的に間違ってるって考える人も多い。それから純粋魔法。これは魔法粒子を制御して具現化させるもので、魔法の弾丸にしたり、盾にしたりできる。かなりチート級の魔法で、あんたのちっちゃい頭には難しすぎるかな」


「あんたのために言っとくけど、あたしの世界じゃ、学校で一番の優等生だったんだからね」


「はいはい…」 全然疑いを隠そうともしてないくせに。


「続けて、封印魔法っていうのは、何かを封印する魔法だ。名前通りだから、説明は不要だろう」


「ふーん。で、固有魔法って何するの?」


「ちゃんと聞いてるじゃん…。褒美でもあげようか」


「いいからさっさと教えろってば」


「それは、場合によるんだ。固有魔法の使い手は、滅多にいないからな。簡単に言うと、今までの魔法の分類に当てはまらないような魔法を使う人、って感じかな。だから、もし固有魔法の使い手が敵になったら…まあ、厄介なことになるだろうな」


あの小さな授業の後、私たちは家に戻った。彼が連れて行った部屋には、椅子といくつかの道具があるだけだった。


まあ、その時点了よ。義歯を入れられるってね


場所はひどく汚くて、道具もまともに消毒されてないだろうし……。


椅子に座って、あとは神頼み。破傷風や細菌感染だけは勘弁してほしい。


言っとくけど、あの処置、クソ痛かったんだから。


二週間、薄いスープや味気ない液体ばっかり食わされてさ。こんな強制ダイエットになるってわかってたら、その前にあたしのために超豪華ディナーでも食っといたのに。


でも、おかげでちょっと痩せられたかもね。


銀歯をつけて、やっと鏡を見た。


最悪なのは、別に嫌じゃなかったこと。ワイルドな美しさがあって、威圧感もバッチリ。銀の笑顔って感じ?


でも、髪はボサボサだし……。まあ、ちゃんとした櫛があるだけマシか。


で、髪をとかし始めたら、ついでに葉っぱを集めて潰すのが日課になった。


やっと三ヶ月の訓練が終わった!


部屋で考え込んでいた。

次どうするか。

魔王を追う。

でも、どうやって?


その時、ドアをトントンとノックする音がした。

立ち上がってドアを開けると、ルカンがもたれかかっていた。


「もう出発かい? どこへ行くつもりだ?」

「なんで今だって思うわけ?」

あたしはベッドに戻りながら返す。


「君はいつもせっかちだからね。もう三ヶ月経ったし、てっきりもう出ると思ったよ。…だが、君の顔を見ると、どうも当てがないように見えるね」

「そんなに顔に出てる?」


「心配いらない。あたしが手伝ってあげるよ。…魔法を教えてくれって頼んだ時、対価はもらうと言ったのを覚えているかい?」

ルカンが、じりじりとあたしに近づいてくる。


「覚えてる。それが?」

「今、その対価を請求したい」

「で、何が欲しいわけ?」 rascunho

「エルフを一人、誘拐してここに連れてきてもらいたい」


その瞬間、あたしは呆気に取られてルカンを凝視した。

正直言って、どんなことでも覚悟してた。

…まさか、クソエルフを誘拐して、囚人みたいに差し出すなんて、思ってもみなかった。


…いや、むしろ。

このアイデア、悪くない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ