第20話 グレッド勝手に切れる
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本日2話目です
「で、どうなの?」
「お前の言う通り全員家族に見張りがついている・・・」
「そうか。仮にお前らの目的が達成できてもどっちみち殺されるぞ?」
目的が侯爵令嬢の誘拐なら間違いなく口封じされるだろうしね
「・・・そんなことは分かっている。しかしそれでも俺たちはやらねばならんのだ」
「家族の為にか?」
「・・・」
黙って頷くか。心の中では主より家族だな
よし。ここまで引き出せたなら後はランバスさんに投げるか
「ランバスさん、侯爵家で25人ほど雇えますか?」
「ふむ。そうですな。その程度なら構いませんが自力でオルナマイトまで来てもらわねばなりませんよ?」
まあ、迎えに行くわけにはいかないしわざわざ襲ってきた相手の安全のために交渉なんて馬鹿げてるしね
「シカロ、お前はどうだ?オルナマイトで生きていかないか?」
「お前、何を言っている?主を裏切れと?」
「ああ。そう言っている」
「馬鹿な!裏切れるわけないだろう!裏切ったら俺は俺たちは最後の誇りまで捨てることになる・・・」
思った通りの男だね!忠誠心があって誇り高い!いいねぇ
ラミー伯爵とかいうのは馬鹿だな。こんないい人材を捨て駒にしようとするなんてな
「シカロ、お前にいいことを教えてやる。主従ってのはな。部下が主の命令の為に命を捨てることは当然あるがな。主もまた部下のために命を張ってこそなんだよ!」
シカロが目を剥いてこっちを見てるね。よし完全に心をこっちに向けれたぞ
ここが決めどころ。まあ、先にアルトには心であやまっとく。ごめんな、ちょっと辛い役回りをさせるぞ
「ランバスさん」
「・・・なんでしょうか?」
ランバスさんも何が来るか分からなそうだな。声音に若干戸惑いが見れるぞ
「今から、アルトにある命令を下します。それを侯爵家の証人として見届けていただきたい」
「承りました」
「アルト」
ビクッとなるなよ。さすがのアルトも予想がつかないっぽいな
まあ、これからさせることは5歳児にはきついかもしれんがお前ならできると信じてるぞ
「俺の腹を刺せ」
「え?」
うん。完全に固まったな。というか全員何言ってんだこいつって顔だな
「今、俺は一つの選択を迫られた
一つは俺が刺されることでアルトの命を救うことができることだ
もう一つは俺が刺されることを嫌がれば俺は助かりお前が死ぬことだ」
シカロ、よーくその目で見とけ
「だが、俺は刺されることでお前を救う選択をした。ランバスさんさっきの証人の話いいですね」
「・・・わかりました。オルナマイト侯爵家の名をもって見届けさせていただきます」
ランバスさん乗ってくれたか。見届ける腹を決めた感じだな
「シカロ、アルトは俺と兄弟同然に育ったと言ってもいい奴だ。だがな、部下として命じた以上、アルトは俺を刺さなきゃならん。もし刺せないならこいつの忠誠はそこまでだ」
わかるか?俺は体を張って部下の命を守る
アルトは自分の心を殺してでも主の命令に従がわなきゃならん
もちろんこんなもの普通は諫める場面だがこれが領民ならどうだ?
俺が死ぬことで領民が助かる。嫌がれば領民は皆殺し。究極の選択だ
「なんで・・・そこまで?」
うん。シカロにしてみればそうだよな
「気に入らねえんだよ・・・。お前の家族を人質に取って自分だけのうのうとしてやがるお前の主がな!それと!そんな主に忠誠だの誇りだのを理由に抗うことをあきらめたお前が特に気に入らねえ!」
はっ!挙句の果てに捨て駒だぁ?あー腹立つね
前世で癌だと知られた瞬間に懸命に働いた会社に捨てられたんだ
言っちゃ悪いが出世街道に乗ってたんだぜ?
なのに癌を理由に左遷させられたと知ったら周りにいた奴らはみんな離れちまったよ。見舞いの一つも来やしなかった
もちろん会社は都合のいい病気療養という大義名分うちたててたがな。あんなもん左遷だわ。挙句の果てに癌が進行して休業を余儀なくされたときには辞めたらどうだときたもんだ。ほんと糞くらえと思ったね!
だからこそ絶対、俺はどんな状況でも俺の大切なものは見捨てない!
「アルトやれ!俺たちの絆をこいつにみせてやれ!」
これで心に響かなかったら俺の目が曇ってたってことだな
「・・・で、できま」
「できる!」
俺の怒号でアルトも覚悟を決めたか。震える手で剣を抜いたな
「アルト、痛いのはやだから一瞬で俺のここを刺し貫け」
「・・・はい」
いい面構えだな。よしやれ!
「行きます!」
周りが息を飲む音がよくわかるよ。うわ!刺されるってわかるとゆっくり見えるのね
ああ!肉に刃が入ってく感触が分かるよ!くそいってぇな!焼けるような痛みと血がせせりあがってくる感じがするわ。よし!剣を抜いたな
全快ヒール!
「グレッド様!」
「はぁはぁ・・・大丈夫・・・」
まじで死ぬかと思った!でもこんなもん癌で苦しんだことを思えば一瞬だ
「シカロ、見たな?」
「・・・」
「シカロ!」
「あ、ああ・・・」
呆気にとられるのも分かる。でもこれからいう最後が決め手なんだ。呆けるのはそのあとにしてくれ
「お前の主はお前の為にここまでするか?」
「・・・いや。しない」
「なら、俺の言う通りにオルナマイトに来い!」
「俺は責任を持ってお前らの身柄を預かる。ランバスさん、雇われの分際で申し訳ないですが構いませんか?」
「はい・・・。お覚悟見届けさせていただきました。責任をもってオルナマイトでお預かりいたします」
その言葉を最後にシカロが項垂れたね。
しかし今回は本気でやばかったわ
アルトの刺し貫いた場所、見事に急所だったし剣が引き抜かれた瞬間、腹に血がたまる感覚と力が抜ける感覚がしたから多分動脈が逝ってたな。ヒールが遅れてたらやばかったよ
覚悟を決めた時の容赦のなさといいお前ほんといい騎士になるよ。これで5歳児だからなぁ。やらしといてなんだけど末恐ろしいわ
「ほれ。これを身支度金にして部下どもまとめてさっさと家族連れてこい」
腰に縛った金貨の袋をそのまま放り投げてやったらシカロが中を覗いてビビってるな
「い、いいのですか?」
「構わん。これで裏切る様なら俺の目が曇ってただけだ」
「ランバスさん、ちょっと外で休んできますので後をお願いします」
「はい。後の事はお任せください」
やれやれ。やっと一休みできるわ。あー疲れた
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