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異次元の同化者

かつて滅びかけた知的生命体がいた、滅びゆく中で同種同士での争いが滅びを加速させる。これなら良くある一知的生命体の絶滅で終わるはずだったが、嘆きの声が別次元の高エネルギーの何かに届いてしまった。


それは無色の、何も描かれていないキャンパスのような存在だった。それに描かれたいびつな色は、他者と同化し単一の生命を目指すいびつな化け物へと変質した。彼らは再び悲しみの声を聞き、救済をもたらそうと試みる。


『第四の脅威出現、コルタ小大陸に異次元の来訪者の危機が出現。』


その日はいつもと違った、余が報告をまとめていると頭の中に音が流れ、観測所からいくつもの報告が送られてくる。


「すぐに車を用意しろ。」


余は仕事を部下に任せ車に飛び乗る。


「いびつな反応を確認、天皇陛下に通達。」


「日本転移現象時に観測された反応と類似する反応あり。」


「観測機器を派遣せよ。」


日本の研究者はその反応を長距離のワープゲートであると気が付き、そのメカニズムを調べこの現象を科学の一分野へと落とし込むために無人観測機を飛ばした。


「天皇陛下、このようなところへ何を?」


「画像を出せ、現状を知りたい。」


人工衛星及び、宇宙戦艦からは、水銀のようなドロリとした材質で構成されたデッサン人形とでも言うべきか、のっぺりとした人型に、ヘリコプターの羽をたたんだような翼を持つ姿をしていた。


「これか、現地の状態は?」


「対応は早いですがそれでも遅いです、多くの被害者が出るでしょう。」


銀色の人型は、体の一部からこれまたのっぺりとした初期の無人機のような見た目の飛行ユニットを飛ばす。その飛行ユニットは、この世界の住民の、この世界の人間の街を発見した。


《異種知的生命体を確認、同化による救済を開始します。》


いびつな金属音のような、はたまた楽器の様な音色の声がそう告げる。


コルタ大陸の付近に存在する大型の島に、ガドラス王国は存在した。コルタ大陸圏の中でも早期に近代化を果たしたこの国は、現代では多くの海運と観光業で栄えていた。


「突如現れた未確認飛行物体を確認、戦闘機をスクランブル発進します。」


「あれだけではない、軍の出動を要請海岸線に防衛線を引く。」


「議会の意見を聞かなくていいのですか?」


「構わん時間がかかりすぎる。それに連絡のつく議員には根回しした。私の権限で軍を出動、民間人

の避難を優先しろ、グフス共和国及び周辺国家に救援要請と、民間人の難民受け入れの依頼、最悪を想定しろ国が消えるぞ。」


この世界の国家元首、国のトップは転生者に置き換えられ、彼もその一人だ。彼もイベントの音声を聞き、危険な物だと判断したのだろう。そしてその懸念は現実の物になった。


遥か彼方の日本において、余は現状を観測していた。


「空間に歪みが発生、次元アンカーそう呼称するべきでしょう。」


研究者がそうつぶやく。たった一体の異次元の来訪者はその姿を結晶へと変える。ピラミッドの様な形の土台が構成され、空中に半透明のクラゲのような柱が現れ、その傘のような物の内側にゲートが構成される。


「回収できるか?あれがあれば長距離の移動を容易くするだろう、あれがあればいちいち恒星間の移動に星一つを人工衛星で覆う必要がなくなる。それこそ昔のSfのように、ワープ機能すら実装できる。」


「天皇陛下、回収ユニットを派遣するには流石に時間が足りません。露見しないようにするならさらに不可能でしょう。」


「では諦める。狙撃できるか?止めれば数日は進行は遅らせられる。」


「そちらも無理でしょう、こちらの存在が露見します。」


「隕石、寸分たがわずあれに命中させられるか?」


「すぐに調べます。一つ地上に十分なダメージを与えられる小惑星を確認、バレない程度に補強し行動に移させます。」


ガドラス王国国王の懸念は、次元アンカーから現れる無数の異世界の来訪者により現実となった。崩れ落ちる先進的なビル、燃える街並み、阿鼻叫喚の地獄が形成される。


「ミサイル発射準備完了、対空車両を回せ、戦闘機を飛ばせ、旧式の戦闘車両も引っ張り出せ、畜生また市街地の方に突破された。」


「カグニ指令官殿、ニグル大陸より共和国艦隊が出航したそうです。」


「全部隊に伝えろ、艦隊が来るまで持ちこたえさせるぞ。」


小惑星落下まで二時間、共和国艦隊到着まで四時間、異次元の来訪者による行動予測不明。


「天皇陛下、アルメニア大統領からのお電話です。」


来たか、どう対応するアルメニアの大統領。


「わかりました、ええ海外派遣用の艦隊を要しましょう。」


ひとまずは艦隊派遣か、集めれる戦力をかき集め始めたな。


「現地雇用海軍と、こちらの潜水艦を十隻派遣、現地雇用軍は最低限の沿岸警備艇を残し、アルメニアから購入した全ての艦隊を派遣しろ。」


余はそう指示を出す。隕石の落下により動きの鈍くなった異次元の来訪者の隙をつき多くの民間人がガドラスを脱出したが、共和国艦隊を中心とした連邦艦隊は撤退を余儀なくされた。


今もガドラス王国軍は、島内の基地を要塞化し今も戦っているらしい。異次元の来訪者の戦力はさらに増加し、その脅威をこの惑星中に拡大させていく。


「我等が友軍たるかの国は、否、我らこの星に生きる人間は奴らに悪を成したかしたか?答えは何もしていない、だというのに奴らは理不尽に人間に牙をむく、あまりにも理不尽だ、しかし我らと良き友の権利を侵害しようとしている。よって我らアルマニカ合衆連邦はグフス共和国と共にコルタ小大陸に出現した脅威を叩く。我等は自由を愛し、自由を擁護する。これは我らの自由のための戦いだ、我等こそがこの星に生きる全ての者の門番だ。」


歴史的な瞬間となった、民主主義勢力と議会制民主主義勢力の同盟、世界の三分の二と言える勢力の同盟は三勢力のにらみ合いと言う均衡を崩しかけないが、同時に世界同盟と言う可能性でもあった。

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