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汚職海軍

一台の水上バイクが桟橋に止められる。


「めんどくせぇ。」


女が向かったのは鉄骨煉瓦造の二階建ての建物。


「相変わらずだなお前ら。」


日本海軍の小さな海軍基地、のはずだが民間人ごろつきが酒を飲みに来る酒場になっている。誰の机にも拳銃が無造作に置かれ、安物の酒がグラスに注がれる。


「ハハハ俺の勝ちだ。」


「お前イカサマしただろ。」


空になった酒瓶で殴り合い、周りはヤジを飛ばす。


「静かにしねえと浜に転ばすぞ、娘はどこにいる。」


入ってきた女は騒がしい酒場に一声で静寂を取り戻させ、娘を呼ぶ。腐敗ばかりの日本海軍の中でもここは酷い、噂じゃ麻薬の密輸すら行ってるらしい。


「どうしたBBA。」


二十歳ぐらいの小柄な女性が、入ってきた女に可愛い笑顔で毒を吐く。


「母親になんてこと言うのかしら、レズビッチ。」


張り付けられた笑顔でこちらも毒を吐く。


「パトロンからの命令よ、公開演習に船を出せってね。」


「はぁ公開演習!?」


「二日後だ、資料は送った。」


「いくら何でも急すぎるだろクソアマ。」


「黙れメスガキ、お前が携帯にも出ず外をほっぽり歩いてたのが悪いんだろ。」


「は、こっちは麻薬売りさばいてるんだ、足のつく可能性のものは排除するに決まってるだろ、何番にかけたんだよ。」


「んだよいっちょ前に喚きやがって〇番だよ。」


「か~これだからBBAは、先月帝国マフィアににらまれて変えたって言っただろ認知症か。」


言い争いは母親の方が、娘の方を蹴り飛ばして終了する。


「チッ、あの船動かすのなんて数ヵ月以来だ、何人かやめてるし適当な奴集めるか、おいそこの見てねえでケータイをよこせ。」


彼女は駆逐艦の船長ナタリー・カナ、母親は日本海軍の佐渡島海軍基地司令カティ・カナである。


アルマニカ合衆連邦駆逐艦アルスを改装した駆逐艦カグナ、アルマニカ合衆連邦が細長い船体から幅広の船体に変えたころのイージス艦だ。


「よう本州日本人、今晩ベットにこない?」


電話に出ると嫌な声が聞こえてきた、汚職船長の顔を思い出してため息でも吐いているのだろう。


「ヘイ、どうしたクソ船長。」


「商人、商人、ちょっと用事が出来てうちの船の金と麻薬預かってほしいんだけど倉庫化してくれない?」


白髪長髪で碧眼の白人女性、商人と呼ばれた少女は少し痩せた眉目秀麗の青年情報屋の言葉を思い出す。


「そう言えば日本が次の公開演習で無人戦闘艦のお披露目をするらしい、ちょっと早い気がするけど、表向きな日本の技術レベル的にはコスト度外視でギリギリ行けるレベル。」


「本州防衛様だろうな、潜水艦以外の海軍を汚職海軍にしてしまったから彼らに渡さない理由として実験戦闘艦ね。」


「僕もそう思うよ、そうそうこれは関係ない話だけどね……、ってわけだし危険かもよ。」


物の量と内容から、いつもの運び屋的海賊行動じゃないし、日本海軍としての行動、それなら公開演習に参加するだろうし、無人戦闘艦の暴走にでも巻き込まれてくれないだろうか。


「金じゃなくて盗品だろ、分かった4番の倉庫を貸そう、ああ後いつもの注意事項だが死ねば中身の所有権は私のものだ、期間を終えても回収に来なければ延長料金発生、書類にサインしてさっさと盗品と薬を私によこせ、そして魚の餌になれ。」


「ははは私が死ぬわけないじゃん、いいよいいよそのぐらい。」

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