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ホテル襲撃

黒塗りの高級車が、真新しいビルの前に止まる。止められたというのが正しいか、運転席のある方の窓が開く。


ドライバー兼護衛であるだろう、水牛のような角の生えた獣人と分類される男が、車を止めたホテルのボーイらしき、下卑た笑みを浮かべる男たちに多めに金を握らせる。渡された金額を確認した後に、ようやく本来の業務を始める。それもいい加減に。


「ホテルね、新しいは。」


後ろの席には金髪の少女が座っていた。可憐な落ち着いた印象、育ちも良さそうだが。


「新しい街ですから、建物は綺麗ですよお嬢様。」


スーツの男は、少女の言葉に皮肉を交えて返す。


「建物はね、こんな街にお父様は何をしに来たのかしら?」


「色々でしょう。」


面倒そうに言葉を返すスーツの男、後ろめたいというのを隠すという意図は感じない。


「そうね、お父様は本当に色んなことをしているのだから、あら絵本で見た事があるは、甲冑ってやつでしょう。パレードかしら。」


「そのような予定はなかったはずです。おやあの国旗、紋章、日本国の王族天皇でしょう。」


「国はこんなに新しいのに、王様は古臭いのね、そう言う人に武器を売るのは大変でしょう。何か事件でも起きたら武器を買ってくれて、お父様の仕事も早く済むのかしら。」


彼女の父親は武器商人、死の商人と呼ばれる仕事をしているのだろう。


「今回は、マフィヤ等の非合法な組織への武器の輸出を独占するという物です。手を組む相手を見極めるのがメインなので、どうしても時間がかかるでしょう。」


ただの武器商人ではなさそうだが。


「おい、本当にここか?」


「ああ、ロックファミリーのカジノから金を盗んだやつがここに泊まっている。」


「本当にその情報は確かか、きな臭せぇな。」


そんな言葉は、ビビっているのかよと言う仲間の言葉にかき消される。バラバラの服装の男たちは、銃を構えて扉を蹴破った。


「フム、ごろつきか。」


「動きは悪くありません、戦闘の勘はありそうですが訓練は受けていないようです。天皇陛下お下がりくださいもうすぐ来ます。」


日本近衛兵の一人がそう告げる。


「よろしい、軽く遊んでやれ。」


その声と同時に撒き散らされる弾丸、待機してたかのように迅速に駆けつける警官。


「あ~あ、下手したら死んでるかもな天皇陛下、まあいい警官隊突入、俺みたいな警官がいるなんてやっぱ腐ってるぜ。」


窓ガラスが割れ、鎧の人間が両手に二人の男の頭をつかみ落ちてくる。


「はぁ!?」


警察の指揮をしているのだろう男が、ほおけた声を出す。


同じような鎧を着た日本近衛兵が、窓を突き破り飛び降りた。そのうちの一体の手の上に日本の天皇がいた。とっさに銃を向ける警官、それを制するように天皇が口を開く。


「余の護衛だ、夜遅くにごろつきが迷い込んできたのでな、これから迎撃する予定だ。」


すると一体の鎧が、拳を構える。その腕には小型のミサイルが並んでいた。小規模な爆発の後に、天皇は満足そうに頷く。


「獣人の護衛か?いや何階だと思ってるんだ、百メートル以上あるぞ。」


「おい警察、後片付けは貴様らの仕事であろう。」


その言葉に、固まっていた警察は動き出した。


「失敗か。」


レギル市長は怒りのままに机を叩く、どこかで見たような光景。


「防犯カメラの画像を取り寄せたが、あの鎧最低でも装甲車並みだ。小型ミサイル以外にも武器を複数搭載しているが、あの重量流石の獣人でも無理でしょう。王家に伝わる魔法でしょうか、はたまた改造人間が鎧をきているのか、あるいはあの鎧が機械で出来ているのか、チンピラでは無理ですね、手ごまもそれなりの準備がいりますし今回は諦めましょう。」 


ビルの地下に小さな店がある。そこに一人の男性が入ってきた。金髪の中年男性、上質なスーツを


「来たかね?」


そこには飄々とした五十がらみの壮年男性がバーテンダーをしていた。


「何かねそのかっこは。」


「な~に、今日はお客というか話す予定の人間が多いのでね、お客として居座るのは不審がられるのでね。さてちょっとしたアドバイスをしようと思いましてね。私の事は数学者とでも呼んでください。」


飄々とした様子で、金髪の男性の言葉を流す。


「で、何故私の娘がいるホテルを襲撃した。」


「おや私はただホテルの事故のニュースと手紙があるのだが、そう言うなら心当たりがあるのでは?アルマニカ合衆国の息がかかった武器商人君。」


むっと黙る。


「君らの諜報部も把握してるんじゃないのかな、今回の件は別件だと、言いたい事は分かるよ、そんな偶然ありえない、では何なのだろうねよく考えてみると良い、今回の偶然の事をね。」

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