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『幼馴染じゃ足りないって、先に言ってよ』 朝霧律 × 星野灯真 #3

##3


****


夜。


「灯真」


律の声が落ちる。


低くて、静かで。

なのに、その一言だけで、灯真の身体は熱くなった。


「……ん♡」


キスされる。


深い。

舌を絡められるたび、頭がぼんやりしていく。


「っ♡ ぁ……♡」


律は、昔からキスが優しい。

小学生の頃から隣にいて、高熱の夜も、怖い夢の夜も、いつも灯真を安心させる触れ方をしてくれた。


でも今は違う。

優しいのに、離してくれない。


呼吸まで奪うみたいに、何度も深く重なる。


「灯真、こっち見て」

「ん、ぅ♡」


顎を持ち上げられる。

視線が合う。


律は、灯真が崩れる顔を見るのが好きだった。

それは、からかいたいからじゃない。


灯真がちゃんとここにいるか、苦しくないか、幸せか、確かめるみたいな目だった。


「目、閉じないで」

「っ♡ むり……♡」


「大丈夫。俺が見てる」


その声が、昔からずるい。

律の“大丈夫”は、灯真にとって何より効く。


その瞬間。

奥を、深く突き上げられた。


「ぁっ♡♡」


灯真の背が跳ねる。

同時に、律がまた唇を塞ぐ。


「んっ♡♡」


息ができない。

気持ちいいのに、全部律で埋まっていく。


キスも。

熱も。


奥を擦る感覚も。

全部一緒に来る。


「っ♡ り、つ……♡」

「うん」


返事と一緒に、また深く入る。

そのたびキスされる。


まるで、灯真が甘い声を漏らす瞬間を、律が全部受け止めてくれるみたいだった。


「ぁ♡♡ ん、ぅ……♡」


律の唇は熱い。

優しいのに、貪欲。


灯真が息を漏らすたび、もっと深く重なってくる。


「灯真」

「っ♡」


「今日も、ちゃんとここにいる」

「な、に……♡」


「俺の隣に」


その瞬間。

また奥を強く突き上げられる。


「ぁっ♡♡」


同時にキス。

頭が真っ白になる。


律はズルい。

灯真が気持ちよくなる瞬間を、絶対逃がさない。


昔からずっと、朝起きられない灯真を起こして、腹を空かせた灯真にご飯を作って、怖い夢を見た灯真の隣にいてくれた。

そういう全部を覚えた手で、今も灯真を離さない。


「ん、ぁ♡ ぁ……♡」

「そこ、苦しくない?」


聞かれて、答えられない。

だって、そのたびキスされる。


甘く。

深く。

蕩けるくらい優しく。


「ぅ♡ わか、んな……♡」

「じゃあ、俺が見る」


律が少し笑う。

でも目だけは余裕がない。


「灯真が無理してないか、ちゃんと見る」

「み、るな♡」


「無理」


律が一度唇を離す。

熱に濡れた灯真の顔を、じっと見つめる。


それだけで、律の呼吸が乱れた。


「……可愛い」


掠れた声。

でも、すぐに律は額を寄せる。


「でも、それだけじゃない」

「……ん♡?」


「灯真は、灯真だから」


胸の奥が、ぎゅっと熱くなる。


雄女化で、変わった自分を見た時。

律は最初に、変じゃないと言ってくれた。


灯真は灯真だと。

その言葉が、今も身体の奥まで染みてくる。


「律……♡」

「何が変わっても、俺の朝も、俺の家も、俺の隣も、全部灯真だから」


「っ♡ そういうの、今いう……?♡」

「今だから言う」


次の瞬間、また深く口づけられる。

そのまま、奥を擦り上げられた。


「っ♡♡ ぁ、や……♡」


涙が滲む。


気持ちよすぎる。

幸せすぎる。


律は、灯真が崩れる瞬間を全部知っている。

昔からずっと見てきたから。


「灯真」

「ん♡」


「好き」


その言葉と一緒に、深く突き上げられる。


「ぁっ♡♡」


同時にキス。

熱い。


優しい。

幸せ。


全部一気に来る。


「りつ♡ だめ、♡」

「だめじゃない」


静かな声。

でも、熱い。


「大丈夫。灯真は、俺に甘えていい」


その声に弱い。

律にそう言われると、身体の力が抜けてしまう。


「っ♡ ぁ、ぁ♡♡」


キスされる。

奥を突かれる。


抱き締められる。

全部同時。


灯真は、律に閉じ込められていた。

でも、それは怖い閉じ込め方じゃない。


朝寝坊しても起こしてくれる手。

寒い日は上着を掛けてくれる手。

泣きそうな時、何も言わず隣にいてくれる手。


その全部で包まれているみたいだった。


「ん♡ りつ、♡」

「うん」


「すき……♡」


律の呼吸が乱れる。

その瞬間、灯真の胸がきゅっとなる。


律は普段、こんなに余裕を崩さない。

静かで、淡々としていて、いつも灯真の生活を整えてくれる。


でも今は。

灯真の声一つで、全部壊れている。


「……灯真」


律が、苦しそうに笑った。


「好きすぎて、まだ足りない」


その言葉と同時に、また深く重なる。


「ぁっ♡♡」


キス。

熱。

鼓動。

全部が混ざる。


唇が離れても、すぐまた追いかけてくる。

離れたくないみたいに。


「灯真、好きって言って」

「っ♡ す、き……♡」


「もう一回」

「すき、律……♡」


律の腕が、ぎゅっと強くなる。


「うん」


低い返事。

それだけで、灯真の奥が甘く震える。


「ぁ♡♡ りつ、もう……♡」

「うん。分かってる」


「っ♡ ほんとに、分かってる……?♡」

「分かってる」


律は、灯真の髪へ口づけた。


「灯真が限界になる顔も、声も、呼吸も」

「っ♡ 言うな……♡」


「昔から、見てきたから」


その言葉に、胸が熱くなる。


昔から見ていた。

でも、幼馴染としてだけじゃなかった。


律はずっと、灯真を自分の人生の中心に置いていた。


灯真も、ずっと律の隣を当たり前だと思っていた。

その当たり前が、今はこんなに甘い。


「律……♡」

「うん」


「俺、ちゃんと帰ってきてる……?♡」


律の目が揺れた。


「帰ってきてる」


「律のとこに……?♡」

「うん」


律の声が、少しだけ震える。


「毎朝でも、毎晩でも、何回でも確認する」


深く突き上げられる。


「ぁっ♡♡」


「灯真が俺の隣にいること」


またキス。


「んっ♡♡」


「俺が灯真を好きなこと」


奥を擦られる。


「ぁ♡♡♡」


「灯真が、俺の帰る場所なこと」


その言葉で、もう駄目だった。

灯真の身体が、律の腕の中で大きく震える。


「りつ……っ♡ ぁ、ぁ……♡」


甘く弾ける。

視界が白く滲む。


律へしがみついたまま、灯真は完全に力を抜いた。

律がすぐに抱き締め直してくれる。


落とさない。

離さない。

でも、壊さない。


「大丈夫」


耳元で、律が言う。


「俺がいる」


灯真は涙目のまま、こくんと頷いた。


「……知ってる♡」

「うん」


「昔から、知ってる……♡」


律は息を詰めた。

それから、灯真の額へ何度もキスを落とす。


「灯真」

「ん……♡」


「明日の朝も、起こす」


灯真は、力の抜けた声で笑ってしまった。


「そこ……?♡」

「大事」


「うん……♡」

「朝ごはんも作る」


「卵粥はやだ……♡」


「じゃあ、サンドイッチ」


胸がじんわり熱くなる。


昔、教室で食べた律のサンドイッチ。

あの頃から、律の生活は灯真中心だった。


そして今も、変わらない。


「律」

「何」


「俺も、明日ちゃんと起きる」

「無理しなくていい」


「そこは信じろよ……♡」


律が少し笑う。


「じゃあ、一緒に起きよう」

「……うん」


灯真は、律の胸に顔を埋めた。


身体はまだ熱い。

息も整いきらない。


それでも、胸の奥は信じられないくらい穏やかだった。

律の腕の中は、昔からずっと、灯真の帰る場所だった。


****


数年後。

妊娠後期の灯真は、律へ寄りかかっていた。


律の手が、灯真の腹を優しく撫でる。


「あ」


小さく胎動が返る。

二人で顔を見合わせる。


自然と笑った。


「灯真」

「ん? 律」


律が、そっと腹へ額を寄せる。


「ここに、俺たちの子がいるんだね」


その声が少し震えていた。


目が潤んでいる。

灯真は泣きそうになる。


「……律、最近すぐ泣きそうになる」

「灯真のせい」


「俺?」

「幸せすぎるから」


灯真は笑った。

それから、律の頬へキスをする。


「やっと家族になれたね」


律が灯真を抱き締める。


壊れ物みたいに優しく。

でも、もう不安そうではない。


長い時間をかけて、二人でここまで来たのだと分かる抱き締め方だった。


「違う」


「え?」


律が静かに笑った。


「最初から、俺の人生は全部灯真だった」


灯真は真っ赤になりながら、律の胸へ顔を埋めた。


「……またそういうこと言う」


「何回でも言う」

「重い」


「今さら」


律の手が、灯真の腹をもう一度撫でる。

そこへ、また小さく胎動が返った。


灯真は笑う。

律も笑う。


幼馴染だった時間。

恋人になった時間。

夫夫になった時間。


そして、これから家族になっていく時間。


全部が、二人の中で静かにつながっていた。


「律」

「何、灯真」


「明日の朝も、起こして」


律は、少しだけ呆れたように笑った。

でも、その目は幸せそうだった。


「もちろん」


灯真は、安心して目を閉じる。


昔からずっと。

これからもずっと。


灯真の朝には、律がいる。




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