6 続きからはじめる(1570年6月25日 明智家)【もののけ光秀】
『1570年6月25日 明智家――』
「あははは、よいぞよいぞ!」
闊達に笑っているのは明智光秀(芳香)である。
目の前では猿回しの一団が芸を演じていた。
山城と南近江、河内と摂津のほぼ全域を手中に収めていた光秀は、京に居た。
この場には側近の細川藤孝に加えて、大和と伊賀を領する松永久秀、足利義昭の家臣だった一色藤長、三淵藤英らも居た。
「皆も楽しんでおるか?」
光秀が明るく問う。
「「「はっ……」」」
皆、表情は十人十色である。
そんな微妙な空気が立ち込めていたその時である。
「失礼いたします」
小姓が部屋の外から声を掛けてきた。
「如何した?」
藤孝が聞く。
「はっ。お楽しみのところ申し訳ございませぬ。
近江の浅井久政様から御使者でございます」
小姓が応えた。
藤孝は身体の向きを変えて光秀の方へ向くと言った。
「殿。浅井久政殿より御使者でございます」
「ん?ああ、そう」
光秀は猿回しから目を離さない。
「殿……」
藤孝が再度、言う。
「ああもう、分かったって。待たせておいて」
まだ光秀は猿回しから目を離さない。
「そういう訳にはまいりませぬ。恐らく援軍要請でございますぞ」
藤孝が食い下がる。
すると手に持て遊んでいた扇子をパチリと閉じて、光秀が藤孝を見る。
表情が一切ない目で。
「藤孝。うるさい。分かったと申しておる」
藤孝は背筋がゾクリと冷えるのを感じた。
「はっ……」
思わず頭を下げたまま、動けなかった。
「あーもう、興醒めだ」
そう言うと光秀は手をひらひらとさせて猿回しの一団をそこから下げさせた。
「で。使者は?」
「は。控えさせております」
藤孝が震える声を頑張って抑えて答えた。
「首を刎ねよ」
光秀が一言。
「は……?」
藤孝が訊き返す。
「聞こえなんだか?使者の首を刎ねよ。そして信長に送り付けてやれ」
光秀が何でもないことのように言う。
「なんと……」
一色藤長が思わず呟く。
松永久秀、三淵藤英は無表情のまま無言だ。
底冷えする空気の中、冷や汗を垂らしながらも藤孝が食い下がる。
「……殿。さすがにそれはありえませぬ」
「何がだ?」
光秀がきょとんとした顔で藤孝の顔を見て問う。
「御使者ですぞ、しかも御味方の――」
「何が味方か」
遮るように光秀が言う。
またもや冷徹な、あの表情が一切ない目だ。
「未だに北近江を掌握しきれず、家臣も纏められない。
かといって朝倉と織田に対抗出来るだけの策もない。
無能すぎでしょ」
そして皆を見据えて
「信長は本願寺と通じ、我らが近江へ出ようものなら一向宗が蜂起するぞ」
光秀が言う。
皆が驚いた顔で光秀を見る。
「気付いていなかったのか?」
逆に驚いた顔で光秀が皆を見る。
「思った以上にみんな無能なんだね……」
独り言のように呟いた。
「ま、いいや。なので浅井久政は放っておけ。
北近江ぐらい信長にくれてやってよい」
光秀が笑いながら言う。
そして
「もう一度言う。使者の首は刎ねよ。
そして首を信長に送り届けてやれ。
"こうなりたくなければ歯向かうな"の一文を添えてな」
光秀はそう言って大笑いしていた。
それはまるでもののけが人間を馬鹿にするかのような笑い声だった。
<1570年6月25日時点>
―歴史乖離率:12.5%
―安定化モジュール:出力上昇
―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)
―管理者権限保有者:氷室真紀
<織田家>
織田信長 (36)…統86 武76 知85 政81 魅88 【真紀】
織田信広 (38)…統64 武77 知81 政83 魅84 【誠人】
柴田勝家 (44)…統89 武88 知61 政70 魅85
丹羽長秀 (35)…統82 武75 知83 政82 魅79
羽柴秀吉 (33)…統79 武67 知84 政80 魅86
林秀貞 (57)…統53 武44 知72 政76 魅60
前田利家 (31)…統80 武85 知69 政67 魅76
池田恒興 (34)…統72 武73 知72 政74 魅76
村井貞勝 (50)…統41 武33 知75 政90 魅84
羽柴秀長 (30)…統73 武64 知80 政85 魅88
森可成 (47)…統77 武80 知68 政65 魅69
森可隆 (18)…統74 武66 知78 政79 魅73
佐久間信盛(42)…統65 武70 知54 政52 魅48
黒田官兵衛(24)…統80 武63 知95 政82 魅77
<明智家>
明智光秀 (42)…統86 武80 知94 政78 魅81 【芳香】
細川藤孝 (36)…統76 武63 知88 政84 魅80
<松永家>
松永久秀 (62)…統85 武87 知88 政76 魅66
<徳川家>
本多忠勝 (22)…統73 武86 知59 政49 魅79
榊原康政 (22)…統75 武82 知72 政60 魅74




