↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷室の野望(仮)第弐巻 ~立志編~  作者: 和音
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/43

40 続きからはじめる(1570年12月2日 徳川家)【密事】


『1570年12月2日 徳川家――』 亀姫(真紀)



「ならぬものはならん!!」

廊下を歩いていた亀姫(真紀)は突然の大きな声に思わずビクッとした。


「信長亡きあとの畿内はどうなるか見えぬ」

この声は家康……?


すると廊下に面した障子が突然開いた。

「誰だっ!」

声の主は本多正信。

どうやら廊下に気配を感じて障子を開けたらしい。


「ひっ……!」

ビックリしすぎて思わず声が出た。


「なんじゃ、お亀か」

家康が笑いながら此方を見る。

正信も

「大変失礼いたしました」

そう言いながら頭を下げた。


「い、いえ……」

あー、びっくりした。


ふと部屋の中を見ると、そこには

家康と正信。

他には服部半蔵、そして見慣れぬ武士が一人。


誰?と思いながら目力クリックすると。

氏名:真田昌幸(23)

統率:80

武力:72

知力:85

政治:83

魅力:74



え……?

あの真田安房守昌幸??

というか何で武田の家臣がここに居るの!?


「姫様」

半蔵。

「なにゆえ此方に……?」

探るような鋭い目線で聞いていた。


「あ。いや、その……」

若干テンパった私。

ごにょごにょ言いながら考える。


「まあよいではないか」

家康が笑いながら言う。

「しかし殿……姫様の御母上が……」

正信。


すると家康はハッとなり、表情が厳しくなった。

「お亀や」

「はい」

「ここで見た御仁の事は他言無用だ」


要するに、今川の血をひく私に、武田の家臣と話し合う場所を見られた。

これを他の人に言うな、という事は……

「父上、承知いたしました。武田との事は誰にも言いませぬ」

跪き両手を揃えながらそう言って頭を下げた。


すると

「某が武田の者であると……?」

昌幸が言う。


あ"!しまった!!!


しばし沈黙。


頭を上げると、全員が渋い顔で此方を見ている。

マズい。

これはマズすぎる……。


「姫様。何を仰るかと思えば」

昌幸が笑いながら言う。

「某は商人でございます。

徳川様と取引の話をしていたのでございますよ」


ん?


「どなたかと見間違えられたのでございますかな?」

きょとんとする私に笑いながら昌幸が言う。


「なるほど」

正信も半笑いで言う。

半蔵は相変わらず厳しい表情のまま無言で此方を見ている。

家康がかぶせるように言う。

「そ、そうじゃ。

当家はいま今川と武田、北条と事を構えておるのだぞ」


よし。落ち着いた。


「父上」

「ん?」

「母上がどうかしたのですか?」


私の母上は瀬名――築山御前だ。

武田との密会。

そして正信が漏らした一言。

何があった?


「どうもしておらぬ」

そして

「いま母と其方の兄である信康は体調を崩しておる。療養中じゃ」


家康の声音が変わった。


ふと目線を上げて、そう言った家康の顔を見た。

その目は――冷酷。冷淡。


冷や汗が背中を伝い落ちる。

何だこの目は……娘に対しこれほど冷たい目線で見れるのか。



「家康様」

商人だと言う昌幸が声をかけた。

「某はこれにて失礼させて頂きます」

そして此方を見て

「次にお伺いする際には姫様にも何か土産を持参させて頂きます」

そう言ってにこりと笑った。


「そう気を使わずともよいぞ」

家康は先程の表情から一変し、笑いながら昌幸に言った。


「それでは……」

昌幸は頭を下げて立ち上がると、中腰気味に廊下側、此方側に歩み寄る。


そしてすれ違う瞬間。

「あなたもプレイヤーですね」

私にしか聞こえない言葉で、そう言うと廊下の奥へ消えて行った。



その瞬間。

身体が固まった。


まだ居た。

誠人と私以外のプレイヤーが。



そして。

「お亀」

ハッとなり家康を見る。

「これより正信らと話し合いがある。自分の部屋に戻るがよい」

家康は笑みを浮かべながら言う。


「……はい。大変失礼いたしました」

私はそう言い深く頭を下げると、その部屋を辞した。


私はすぐさま昌幸を追いかけるべく、城の出口へ向かった。

自然と速足になる。


見つけた。

昌幸はちょうど正門を出ようとしているところだった。


「もし!」

すると昌幸は振り返り、駆けてくる私を見るなりふっと微笑んで

「そうは知られずともよろしゅうございます」

あくまで商人の体で言った。


昌幸のところまで駆け寄ると、ストレートにぶつけてみた。

「あなたもプレイヤーなのですか?」

すると昌幸はふっと笑い

「ええ。そうです」

とあっさりと答えてくれた。


そして続けて

「また近いうちに参ります。それまでしばしお待ちくだされ」

「待って!」

すると表情が厳しくなり

「姫」

続けて

「上から見られております。

あ、決して振り向かぬように。

今は大人しくしていなされ。すぐにことは動きませぬ」

なるべく口を動かさずそう言った。


上から……?

まさか家康が?

金縛りにあったように動けなくなった。


すると昌幸はまたもや微笑みながら

「今は目立ってはなりませぬ。私はなるべく平和にことを収めたい」

続けて

「織田と徳川は切れ申した。何が火種になるか分かりませぬゆえ」

と言った。



昌幸は振り返り、門へ向かって歩き始めた。

私はそれを無言で見送った。


私も城へ振り向くとそのまま歩いて城内へ戻った。

決して上は見ずに。




<1570年12月2日時点>

―歴史乖離率:9.2%

―安定化モジュール:出力平常

―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)

―管理者権限保有者:氷室誠人


<徳川家>

亀姫   (10)…統29  武15  知87  政81  魅69 【真紀】

徳川家康 (27)…統83  武77  知85  政80  魅85

本多正信 (32)…統45  武22  知90  政87  魅75

<織田家>

織田信広 (38)…統72  武77  知83  政83  魅85 【誠人】

<明智家>

明智光秀 (42)…行方不明  【芳香】

<武田家>

真田昌幸 (23)…統80  武72  知85  政83  魅74 【卓】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。