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氷室の野望(仮)第弐巻 ~立志編~  作者: 和音


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21 現し世【新規プレイヤー】


その日、音羽卓(42)は仕事を終えるとスーパーで総菜とビールを買うと、単身赴任で一人暮らししているアパートへ向かって歩いていた。

今日は珍しく定時で帰れた。

商社に勤める卓は、陽の明るいうちに帰れることは滅多になかった。


今日のような早く帰宅出来た日はwebで繋いで妻と小学生の息子と話せる。

ゴルフ以外に趣味の無い卓にとっては何よりも楽しみであった。



アパートへ着くと、玄関ドアの前に荷物が置いてあった。


あれ?

何か頼んだっけ……?

あ。妻が何か送ってくれたのか?


などと思いながら荷物のラベルを見ると。

『モニタ当選!接続機器と特別招待権同梱パック』

と書かれていた。



おお、忘れてた。

二カ月ほど前に取引先のゲーム会社から「今開発中のゲームのモニター応募しませんか?」と言われて応募していたのだった。


その時にゲーム会社の担当者が言っていたことを思い出した。、


――詳細は言えないが、世界初のゲーム内容である。

――誰でも応募出来るものではない。

――応募しても当選できる確率は高くない。

――応募していなくても会社が独自調査からモニターを選定することもある。



そんな希少なモニターに当選するとはツイてるのか?などと思いながら、玄関前から家の中に荷物を持ち入ると早速開梱してみた。


その箱の中には、まずノートパソコン。

しかもゴツくて何か高そうなやつだ。


次にヘルメットのようなもの。

被ってみると自分の頭にピッタリはまった。

ただ普通のヘルメットとは違い、サングラスのようなものが付いていて目の前まで覆われる。


次に説明書。

ノートPCとヘルメットもどきの繋げ方とソフトの起動の仕方が書いてある。


そして最後に特別招待権と書かれた紙。

紙の中にはパスワードが記載してあり、その下に『ログイン時に入力してください』と書かれていた。



卓は総菜をつまみにビールを飲みながらそれらを読んだ。

そして飲み食いが終わって時計を見るとまだ18時過ぎ。

さすがに妻も夕食の支度中で忙しいだろうと考えた。


「やってみるか……」

卓はそう呟くと、説明書に従い機器をセットアップしてみた。

そして説明書に『必ず安定した椅子に座りプレイしてください』と書かれていたため、卓は仕事用の机上を整理し、ちょっと奮発して買っていたゲーミングチェアに座った。


そして説明書記載の通りヘルメット(ヘッドセット)を被るとゲームを起動した。



すると目の前に『タイトル未定』の文字が浮かんだ。

そしてその周りが明るくなるとバックにどこかの城と風光明媚な景色が広がった。


―おお、凄いなコレ。


普通に感動モノだった。

そして『タイトル未定』の文字の下には『新しくはじめる』の文字が。


―目力でクリック、だっけ……?


どうやるのかよく分からなかったが、説明書に書かれていた通り『新しくはじめる』の文字を睨みつけると、画面が切り替わり『パスワードを入力してください』の文字が。


卓は特別招待権に書かれていたパスワードを『睨みつけ入力』したのち、『ログイン』を同じように押した。



すると目の前が暗転。

そして身体がふわふわと浮く感覚に。


そして暗闇の中に突如文字が浮かんだ。


『ようこそ音羽卓様。特別招待に参加頂きありがとうございます。

音羽卓様は特別招待のため、キャラクター選択は無く当社指定の武将になります。

それでは、お楽しみください。』


―キャラクター選択?武将?


すると画面が再び暗転し、すぐに眩い光に包まれた。

光がおさまるとそこは、ある古びた部屋の中だった。

―な、なんだ?


目が慣れてくると、部屋を見回してみた。

ふと床の間に目をやると、

『1570年10月2日 武田家――』

の文字が。


―武田家?1570年???


武田家ってあの武田信玄の……?

西暦からすると多分間違いない。


そしてふと自分の左手の指先を見ると『△』のアイコンが。

睨みつけると空中にウインドウが出てきた。

そこに書かれていたのは


氏名:真田昌幸(23)

統率:80

武力:72

知力:85

政治:83

魅力:74


―おお、あの真田昌幸だ。……ん?コレ俺がそうなのか??


部屋に座っていた卓は、立ち上がってみた。

―すごい。これゲームなのか?


あまりのリアルさに若干混乱。

そして部屋の窓を開けると更に混乱した。


古びた木材家屋が多数連なり、炊事のものと思われる煙が各家屋から出ている。

そして遠くには山々があり、そして富士山が。


―リアル……じゃないよな?これ。


目の前に広がる景色だけではない。

少し感じる肌寒さや空気の匂い。


―五感で感じている……。



驚きと同時に、じきに怖さが出てきた。

―一旦ログアウトしよう。


あちこち睨みつけると『ログアウトする』の文字を見つけた。

すぐにそこを睨みつけた。


すると

『歴史乖離率が規定値を超えているためログアウト出来ません』

の文字。


―は?


何度やってもダメだった。


―ふざけんな。マジでふざけんなよ。


徐々に怒りが増し、震えながら何度もクリック。

しかしその表示が連なるだけで変化は無かった。


「何なんだよここは!!!」


思わず部屋の中で叫んだ昌幸(卓)であった。




<1570年10月2日時点>

―歴史乖離率:12.5%

―安定化モジュール:出力上昇

―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)

―管理者権限保有者:氷室真紀


<織田家>

織田信長 (36)…統86  武76  知85  政81  魅88 【真紀】

織田信広 (38)…統64  武77  知81  政83  魅84 【誠人】

柴田勝家 (44)…統89  武88  知61  政70  魅85

丹羽長秀 (35)…統82  武75  知83  政82  魅79

羽柴秀吉 (33)…統79  武67  知84  政80  魅86

林秀貞  (57)…統53  武44  知72  政76  魅60

前田利家 (31)…統80  武85  知69  政67  魅76

池田恒興 (34)…統72  武73  知72  政74  魅76

村井貞勝 (50)…統41  武33  知75  政90  魅84

羽柴秀長 (30)…統73  武64  知80  政85  魅88

森可成  (47)…統77  武80  知68  政65  魅69

森可隆  (18)…統74  武66  知78  政79  魅73

佐久間信盛(42)…統65  武70  知54  政52  魅48

黒田官兵衛(24)…統80  武63  知95  政82  魅77

藤堂高虎 (14)…統75  武77  知80  政71  魅74

<明智家>

明智光秀 (42)…統86  武80  知94  政78  魅81 【芳香】

細川藤孝 (36)…統76  武63  知88  政84  魅80

<松永家>

松永久秀 (62)…統85  武87  知88  政76  魅66

<徳川家>

本多忠勝 (22)…統73  武86  知59  政49  魅79

榊原康政 (22)…統75  武82  知72  政60  魅74

服部半蔵 (32)…統73  武83  知74  政45  魅73

<浅井家>

浅井長政 (25)…統82  武84  知75  政77  魅81

<武田家>

真田昌幸 (23)…統80  武72  知85  政83  魅74 【卓】

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