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氷室の野望(仮)第弐巻 ~立志編~  作者: 和音


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18/20

18 続きからはじめる(1570年9月2~10日 多家)【思惑】

『1570年9月2日 徳川家――』



三河岡崎城。


岡崎城の広間には、重苦しい空気が漂っていた。

上座には徳川家康。

その左右には、本多忠勝、榊原康政を始めとした重臣たちが並んでいる。


そして。

その中央に静かに座す一人。

黒田官兵衛。


「……以上が、織田様からのご説明にございます」

官兵衛が淡々と語り終えると広間は静まり返った。


「証はあるのか」

低く問うたのは忠勝だった。

「ございます」

官兵衛は即答する。

「現場の軍旗、火縄銃の細工、上陸経路――いずれも織田家のものとは一致いたしませぬ」


「だが、織田の紋を掲げていたのは事実であろう」

別の家臣が口を挟む。

「その通り」

官兵衛は頷いた。

「故にこれは、『見せるための戦』にございます」


空気が揺れる。


家康は目を細めた。

「……続けよ」

「敵の目的は、徳川家と織田家の離間」

一拍。

「つまり、我らが争えば最も利を得る者が黒幕でございます」


その言葉に、何人かの視線が自然と集まった。


「……明智か」

誰かが呟いた。

忠勝が即座に言う。

「証拠はあるのか」


「断定はできませぬ」

官兵衛は首を振る。

「しかし、京の流通を押さえて鉄炮と情報の両方を扱える者――限られております」


沈黙。

その時。


「殿」

口を開いたのは康政だった。

「某も、織田殿がこのような真似をするとは思えませぬ」

忠勝も腕を組みながら言う。

「同じく」


家康はゆっくりと頷いた。

そして――

「よい」

その一言で空気が変わる。

「織田との同盟は維持する」


ざわめき。


「ただし」

家康の目が鋭く光る。

「疑いは消えぬ。故に備えは強める」

「はっ!」


「官兵衛殿」

家康は静かに言った。

「此度の説明、確かに受け取った」

一拍。

「されど――」

その先の言葉はあえて濁された。


――信頼はした。

だが、信用はしきらぬ。


官兵衛はその意味を正確に理解していた。




--------------------------




『1570年9月8日 明智家――』



勝龍寺城。一室にて。


「ほう……徳川は踏みとどまったか」

明智光秀は文を読むと静かに呟いた。


「はい。織田との同盟は維持される模様にございます」

細川藤孝が答える。

「つまらぬな」

光秀はあっさりと言った。


だがその口元には、わずかな笑みが浮かんでいる。

「だが、よい」

文を畳むと机に置く。

「疑念は残った」


一拍。

「それで十分だ」


「次はどうなされますか」

藤孝が問う。


光秀は立ち上がり、障子の向こうにある京の方角を見る。


「次は火だ」

「火……?」

「京は、火に弱い」

静かに言った。


「そして人の心もまた、同じだ」

振り返る。


その目は、既に次の盤面を見据えていた。

「織田が守るべきものを、揺らしてやる」

「……帝、にございますか」

光秀は答えない。


ただ――笑った。




--------------------------




『1570年9月10日 織田家――』



岐阜城。信長(真紀)の自室。


「……嫌な流れだね」

真紀がぽつりと呟く。

向かいには誠人。

「徳川は持ちこたえた。でもヒビは入った」

「うん」

「そして光秀は、多分満足してる」


沈黙。


「次はもっと分かりやすく来ると思う」

誠人が言う。


「うん。しかも、こっちが守らざるを得ない場所を狙う」

「京……?」

真紀は頷いた。

「もし京で何か起きたら、私たちは動かざるを得ない」

「でも動けば、畿内に引きずり込まれる」

「そう」

そして。

「……詰み筋が見え始めてる」


誠人が苦笑する。

「将棋で言うなら、『受けても負け、受けなくても負け』ってやつか」

「最悪だね」

でも、と真紀は続けた。

「まだ詰んでない」


一拍。

「詰み筋が見えるなら、外せる可能性もある」


誠人が顔を上げる。

「どうやって?」


真紀は少し考えて――

「光秀の前提を崩す」

「前提?」

「光秀は、私たちが守る側に回るって思ってる」


一拍。

「だったら――」

その目が、静かに鋭くなる。

「攻める」




<1570年9月10日時点>

―歴史乖離率:12.5%

―安定化モジュール:出力上昇

―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)

―管理者権限保有者:氷室真紀


<織田家>

織田信長 (36)…統86  武76  知85  政81  魅88 【真紀】

織田信広 (38)…統64  武77  知81  政83  魅84 【誠人】

浅井長政 (25)…統82  武84  知75  政77  魅81

柴田勝家 (44)…統89  武88  知61  政70  魅85

丹羽長秀 (35)…統82  武75  知83  政82  魅79

羽柴秀吉 (33)…統79  武67  知84  政80  魅86

林秀貞  (57)…統53  武44  知72  政76  魅60

前田利家 (31)…統80  武85  知69  政67  魅76

池田恒興 (34)…統72  武73  知72  政74  魅76

村井貞勝 (50)…統41  武33  知75  政90  魅84

羽柴秀長 (30)…統73  武64  知80  政85  魅88

森可成  (47)…統77  武80  知68  政65  魅69

森可隆  (18)…統74  武66  知78  政79  魅73

佐久間信盛(42)…統65  武70  知54  政52  魅48

黒田官兵衛(24)…統80  武63  知95  政82  魅77

藤堂高虎 (14)…統75  武77  知80  政71  魅74

<明智家>

明智光秀 (42)…統86  武80  知94  政78  魅81 【芳香】

細川藤孝 (36)…統76  武63  知88  政84  魅80

<松永家>

松永久秀 (62)…統85  武87  知88  政76  魅66

<徳川家>

本多忠勝 (22)…統73  武86  知59  政49  魅79

榊原康政 (22)…統75  武82  知72  政60  魅74

服部半蔵 (32)…統73  武83  知74  政45  魅73

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