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氷室の野望(仮)第弐巻 ~立志編~  作者: 和音


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17/25

17 続きからはじめる(1570年8月27日 織田家)【歴史乖離率】


『1570年8月27日 織田家――』



調査を終えた丹羽長秀が岐阜城に戻ってきた。


「長秀、ご苦労であった」

「ははっ」


長秀は三河の変について根拠を理論構築し、結論を出した。


一、現場に落ちていた織田木瓜の染め紋様から織田家に所属するいずれの武将のものではないこと。


一、現場に落ちていた火縄銃の部品の細工は、織田家で使用しているものではないこと。また、その細工は京で見られたものであった。


一、敵は海から上陸した痕跡が確認できたこと。


一、徳川家への聞き取り調査の結果、敵の話す言葉が尾張のものではなかったこと。



以上から、襲ったのは織田勢ではないと結論付けた。

この事は徳川家のみならず周辺国へもその結果を周知するつもりだ。



「家康様もこれで御納得頂ければいいですが……」

長秀の報告に同席していた林秀貞が呟く。


「納得せねばその時はその時よ」

長秀の報告を聞きに来ていた大垣城城主の柴田勝家が言う。


「納得はされずとも良いかと」

黒田官兵衛がそう言うと、皆が彼を見た。

そして続ける。

「納得はされずとも、収めて頂ければよい」



そう。

ここで徳川家と手切れになるのは非常にマズい。


徳川家は単なる同盟勢力ではない。

織田家から見ると武田家との緩衝帯であり、何よりも織田家が後背を気にせず畿内へ対応出来ているのは信頼できる同盟勢力が居るからだ。



「殿」

家臣らの会話を聞いていた信広(誠人)がこちらを見て言う。

「徳川様への報告は……」

途中で遮り言った。

「官兵衛を再び遣わす」


官兵衛を見て続ける。

「此度の件、(ふみ)での報告だけでは懸念も残る。其方が再び行き、家康殿に面前で報告せよ」

「はっ。承知いたしました。すぐに出立いたします」

「うむ」


そして、皆を見て続けた。

「恐らくこれで終わらぬ。仕掛けたのが明智ならば、な」

沈黙。

「秀貞。領内の警戒を怠らぬよう再度周知せよ」

「ははっ」


こうして長秀からの報告会は終わった。




--------------------------




報告会ののち、信長(真紀)の自室に信広と二人で居た。


「姉ちゃん、これからまだ何か起こると思う?」

「うん。必ず何か仕掛けてくるはず」

沈黙。


そして。


「……やっぱり戻れないのかな」

「……」

ここ最近、二人で自室に籠ってもこの世界の話しかほとんどしていなかった。

「あれから、歴史乖離率のパラメータが変動していないんだよね」

誠人が呟く。


そう。

1568年4月の『真・本圀寺(ほんこくじ)の変』で10%以上に変動した歴史乖離率が、全く変動していない。


あれから色々あった。


黒田官兵衛が来たり。

北近江/若狭の戦い。

そして今回の三河の変。


史実とは経緯も結果も全く異なる出来事がたくさん起きている。

それでも歴史乖離率はピクリとも動かない。


――歴史乖離率が10%を下回らないとログアウト(現実世界に復帰)できない。


これは恐らく間違いない。

ただ、その歴史乖離率の変動規則が分からない。


「死んだらどうなるのかな……」

誠人が再び呟く。

「それ、私も考えた。何度も」

「けど、死んだからといって戻れる保証がない、か……」

歴史乖離率が10%を超えたトリガーは、明智光秀が足利義昭を殺害したからだ。

ただ、私らが知る限り、以降でプレイヤーが亡くなった事はない。


――プレイヤーがこのゲーム上で死んだらどうなるのか。


分からない。

強制ログアウトになるかもしれない。

逆に現実世界でも死ぬかもしれない。

そう。何も分からないのだ。


「何よりさ、今この状態で私(織田信長)が死んだら間違いなく史実との乖離は取り返しがつかなくなると思う」


史実では、織田信長は明智光秀に殺害される。

そしてその明智光秀は羽柴秀吉に殺害される。

いま、私が死ぬと明智光秀が羽柴秀吉に殺害される可能性は限りなく低い。

そうなるともう取り返しがつかない。


死ねない。

抜けれない。

分からない。


まさに八方塞がりだ。


「結局さ。俺らに出来るのは『生きること』しかないのな」

誠人が笑って言う。

「……そうだね。生き抜くしかない」

私も力なく笑って応える。



はたして私たちは現実世界、(うつ)()に戻れるのか。

その日、二人は答えの無い自問自答を繰り返した。




<1570年8月27日時点>

―歴史乖離率:12.5%

―安定化モジュール:出力上昇

―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)

―管理者権限保有者:氷室真紀


<織田家>

織田信長 (36)…統86  武76  知85  政81  魅88 【真紀】

織田信広 (38)…統64  武77  知81  政83  魅84 【誠人】

浅井長政 (25)…統82  武84  知75  政77  魅81

柴田勝家 (44)…統89  武88  知61  政70  魅85

丹羽長秀 (35)…統82  武75  知83  政82  魅79

羽柴秀吉 (33)…統79  武67  知84  政80  魅86

林秀貞  (57)…統53  武44  知72  政76  魅60

前田利家 (31)…統80  武85  知69  政67  魅76

池田恒興 (34)…統72  武73  知72  政74  魅76

村井貞勝 (50)…統41  武33  知75  政90  魅84

羽柴秀長 (30)…統73  武64  知80  政85  魅88

森可成  (47)…統77  武80  知68  政65  魅69

森可隆  (18)…統74  武66  知78  政79  魅73

佐久間信盛(42)…統65  武70  知54  政52  魅48

黒田官兵衛(24)…統80  武63  知95  政82  魅77

藤堂高虎 (14)…統75  武77  知80  政71  魅74

<明智家>

明智光秀 (42)…統86  武80  知94  政78  魅81 【芳香】

細川藤孝 (36)…統76  武63  知88  政84  魅80

<松永家>

松永久秀 (62)…統85  武87  知88  政76  魅66

<徳川家>

本多忠勝 (22)…統73  武86  知59  政49  魅79

榊原康政 (22)…統75  武82  知72  政60  魅74

服部半蔵 (32)…統73  武83  知74  政45  魅73

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