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氷室の野望(仮)第弐巻 ~立志編~  作者: 和音


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16/16

16 続きからはじめる(1570年8月17日 織田家・明智家)【調査】


『1570年8月17日 織田家――』



信長(真紀)は岐阜城に居た。



丹羽長秀による『三河の変』の調査状況については芳しくなかった。


北近江/若狭の戦いの援軍に来た徳川勢は5,000。

奇襲とはいえ、それを瓦解させたほどの兵がどこから湧いたのか。

全く分からないのだ。


ただ、調査と同時にすぐに徳川家へ対して使者として黒田官兵衛を遣わした。

織田家が徳川家に対し敵意は無いこと。

もちろん襲ったのは織田家の軍勢ではないこと。

襲われた将兵への御見舞いとして多数の品を携えて向かわせた。


その官兵衛が帰ってきたのが一週間前。

家康は此方の言い分を理解し受け入れていたものの、家臣の中には露骨に敵意を見せる者も居たそうだ。

救いだったのは、襲われた当人の本多忠勝と榊原康政が「織田家がそんな事をするはずがない」と明言してくれたことだった。

その結果、織田家と徳川家が決裂する事は無く、長秀の調査も正式に受け入れてくれた。


徳川勢の三河への帰還ルートは東海道。

襲われたのは現代で言う刈谷市へ入ってすぐのところだ。

後背から一気に襲い掛かって来たらしい。

そりゃ織田家が疑われて当然である。


しかし、前述の通り現時点でまだ何も分からなかった。




--------------------------




一方その頃。

尾張と三河の境。

街道沿いには未だ戦の痕跡が色濃く残っていた。


折れた槍。

焼け焦げた荷駄。


「……ここで間違いないのだな」

丹羽長秀が静かに問う。

「はっ。徳川方の申す場所と一致いたします」

配下の足軽大将が答える。

長秀はゆっくりと周囲を見渡した。


――奇襲にしては……妙だな。


通常、奇襲であれば混乱の中で戦線は乱れ、戦場は広く散らばる。

だがここは違う。

戦闘の痕跡が妙にまとまっているのだ。


「誘い込まれたかのようだな……」

長秀の呟きに周囲の者たちが息を呑む。

「それに、これを見よ」


長秀は地面に落ちていた旗の破片を拾い上げた。

そこには確かに織田木瓜が染め抜かれている。

「……本物、に見えますね」

家臣が言う。

「見えるだけだ」

長秀は即座に否定した。


「織田の軍旗は、家ごとに微妙に織りや染めが違う。これは……雑だ」

「では偽物……?」

「あるいは急造だな。意図的に、織田に見せるため、の」


一同に緊張が走る。

「織田と徳川を争わせるつもりで……」

長秀の言葉は重く地に落ちた。


その時――

「報告!」


一人の足軽が駆け込んでくる。

「西の林に、不審な集団の痕跡を発見いたしました!」

「案内しろ」

長秀は即座に立ち上がった。


林の奥。

人の出入りがあった形跡は明らかだった。


長秀は地面に膝をつき、土を指でなぞる。

そして――止まった。


「……これは」

そこにあったのはわずかな金属片。

拾い上げると光にかざす。


「火縄銃の部品……だが、この細工……」

長秀の目が細くなる。

「見覚えがある」

「どこでございますか?」

「京だ」

一言で、空気が凍りついた。


「まだ断定はせぬ。だが、この細工は堺の商人が扱う上物だ。そこから流れる先は限られる」

長秀は言葉を切った。

「……明智か」

続けて呟く。

「しかし、どこから……」


誰も声を出せなかった。




--------------------------




『1570年8月17日 明智家――』



「……織田は動いたか。早いね」

静かな声が広間に響く。

明智光秀は文を読み終えた。


「はっ。三河国境にて調査を進めております」

細川藤孝が答える。


「ふむ……」

光秀はゆっくりと目を閉じた。

「信長は、こちらに気付いたと思う?」

「……いえ。しかし、いずれは」

「それでいい」

光秀は目を開ける。


その眼には一切の迷いがなかった。

「これは“疑念”の種」

一拍。

「芽吹けばよし。芽吹かずとも土は確実に汚れる」

「……」

「徳川は疑い、織田は疑われる。それだけで十分」


そして静かに笑った。

「戦は、刃だけで行うものではない。そして本番はこれからだ」

その言葉に誰も逆らえなかった。




<1570年8月17日時点>

―歴史乖離率:12.5%

―安定化モジュール:出力上昇

―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)

―管理者権限保有者:氷室真紀


<織田家>

織田信長 (36)…統86  武76  知85  政81  魅88 【真紀】

織田信広 (38)…統64  武77  知81  政83  魅84 【誠人】

浅井長政 (25)…統82  武84  知75  政77  魅81

柴田勝家 (44)…統89  武88  知61  政70  魅85

丹羽長秀 (35)…統82  武75  知83  政82  魅79

羽柴秀吉 (33)…統79  武67  知84  政80  魅86

林秀貞  (57)…統53  武44  知72  政76  魅60

前田利家 (31)…統80  武85  知69  政67  魅76

池田恒興 (34)…統72  武73  知72  政74  魅76

村井貞勝 (50)…統41  武33  知75  政90  魅84

羽柴秀長 (30)…統73  武64  知80  政85  魅88

森可成  (47)…統77  武80  知68  政65  魅69

森可隆  (18)…統74  武66  知78  政79  魅73

佐久間信盛(42)…統65  武70  知54  政52  魅48

黒田官兵衛(24)…統80  武63  知95  政82  魅77

藤堂高虎 (14)…統75  武77  知80  政71  魅74

<明智家>

明智光秀 (42)…統86  武80  知94  政78  魅81 【芳香】

細川藤孝 (36)…統76  武63  知88  政84  魅80

<松永家>

松永久秀 (62)…統85  武87  知88  政76  魅66

<徳川家>

本多忠勝 (22)…統73  武86  知59  政49  魅79

榊原康政 (22)…統75  武82  知72  政60  魅74

服部半蔵 (32)…統73  武83  知74  政45  魅73

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