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氷室の野望(仮)第弐巻 ~立志編~  作者: 和音


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10/16

10 続きからはじめる(1570年6月29日 浅井家)【降伏勧告という名の脅迫】


『1570年6月29日 浅井家――』



昼過ぎ。小谷城の大広間。

目の前には頭を深く下げた武将が一人。

左右には、家臣たちが皆眉間に皺を寄せてその武将を見つめながら座って並んでいる。


「頭を上げよ」

浅井久政が言うと、その武将は頭を上げて言う。

「は。お初にお目にかかります。

某は織田家家臣、羽柴秀吉と申します」

そう言うと再び頭をわずかに下げた。


「うむ。まずは用向きを伺おう」

久政がそう言うと、秀吉は頭を上げたのち久政の目を見て口を開いた。

「は。それでは早速でございますが、此度、織田家は北近江を制するがべく、小谷城を取り囲んでおります」


「見ればわかる。だが、大儀は何か」

家臣の一人が聞く。

すると秀吉はその家臣へ目線を移し、答える。

「大儀も何も……我らは北近江の、小谷城の正当な主をお連れしただけにございます」


「正当な主?」

久政が聞く。

秀吉は久政へ向き直り

「左様」

と言うと続ける。

「浅井長政殿でございます」


その瞬間、広間の空気はピンと張りつめた。


「はて。我らの知る長政は、身体を壊したため療養しておるが?」

久政が言う。

「これはまた異なことを……」

秀吉が一笑。続ける。

「その御方はどこの長政殿ですかな?」


「どこも何も浅井家……」

「黙られよ」

秀吉が表情を消して、遮って言う。


「貴様!」

「無礼な!!」

家臣たちが腰の刀に手を伸ばす。


「どちらが非礼かっ!」

秀吉が一喝。


「なっ……!」

明らかに狼狽える家臣たち。


「黙って聞かれよ」

秀吉は表情を消したまま、落ち着いた声音で続ける。

「言葉遊びはもうよろしい」

そして続ける。

「久政殿。城を、小谷城を明け渡して頂きたい」


久政は鼻で笑い

「何を申すかと思えば……」

「容赦はしませぬぞ」

秀吉がまたもやピシャリと遮って、言う。

「お忘れめさるな。其方等はお市の方様を亡き者としているのですぞ」


空気が、凍りつく。


「それだけでも大儀としては十分。

にも拘らず、まだ戯言を述べられるか」

「くっ……」

家臣の一人が唸る。


「もし勧告を受け入れぬ場合」

秀吉がまだ続けて言う。

「そなたら、浅井家とその家臣全てを根絶やしにしてやる」


一息。

久政を見すえて

「明智は来ませぬ」

とどめ。


そして次に頭を振り、家臣一同を順番に見たのち

「近江の、小谷城の明日を共に創るか、死ぬか。

よくよく考えられよ」


そう言うと返答待たず秀吉はすくっと立ち上がり

「これにて失礼いたす」

大広間を去っていった。




--------------------------




秀吉が去ったのち、広間はしばし静寂に包まれた。


ある者は冷静に考え込み。

ある者は恐れおののき。


しかし主である久政は、そのどれでもなく怒り心頭であった。


「おのれ、田舎の猿めが……」

バキッと聞こえると、それは久政が扇子を叩き折った音だった。


「誰か!追いかけて秀吉の首を持ってまいれ!

生かしてこの城から出すな!!」

久政が立ち上がると叫んだ。


しかし――誰も反応しない。


そして。

「御屋形様。もはやこれまでにございます」

そう言ったのは、右列の最下段に座る藤堂高虎(14)であった。


「貴様っ……!儂の言う事が聞けぬか!」

高虎は答えず、じっと激高する久政を見る。

「高虎ああ!」

久政、さらに激高。


「付き合いきれませぬな」

別の者が言う。

それは、左列最上段に座る浅井家の名高い武将である磯野員昌(かずまさ)(47)であった。


「員昌、何だと……?」

「付き合いきれぬと申したのです」

員昌は平然と言いのけて久政を見る。

そして

(いさぎよ)う腹を召されよ」

言った。


「き、貴様ああ!」

最上級に激高した久政が、小姓が持つ太刀を手にしようとしたその時。

「……あ、ああ……」

ドシンという音とともに、倒れた。


「殿!」

その他の家臣たちが慌てて近寄る。


が、久政は目を見開いたまま、息をしていなかった。




--------------------------




同日夜。小谷城攻め第一陣の本陣。



小谷城から生きて戻った秀吉は、事の次第を柴田勝家らに報告。

同じ内容を書状に記し、信長へ早馬を飛ばした。


そして陣幕内で夕餉を取っていたその時。


「申し上げます!」

伝令が陣幕に飛び込んできた。

「如何した?」

森可成が聞く。

「は。ただいま小谷城より降伏の御使者が参りました!」


全員がガタッと音を立てて床几から立ち上がった。



--------------------------




同じ頃。織田信長本隊。



頭上の表示が、光った。


「ほえ?なにごと?」

一人で考え込んでいた信長(真紀)は、思わず我を忘れて普通の言葉で独り言を言ってしまった。

あ、やばっと思ったその時。


そこには

『織田軍・徳川軍:38,000 対 浅井軍:6,500』

の表示ののち、


『攻城成功』

の赤い文字が夜空に高く、そして大きく浮かんでいた。



「え……?はい???」

信長はまたもや我を忘れてきょとんと、していた。




<1570年6月29日時点>

―歴史乖離率:12.5%

―安定化モジュール:出力上昇

―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)

―管理者権限保有者:氷室真紀


<織田家>

織田信長 (36)…統86  武76  知85  政81  魅88 【真紀】

織田信広 (38)…統64  武77  知81  政83  魅84 【誠人】

浅井長政 (25)…統82  武84  知75  政77  魅81

柴田勝家 (44)…統89  武88  知61  政70  魅85

丹羽長秀 (35)…統82  武75  知83  政82  魅79

羽柴秀吉 (33)…統79  武67  知84  政80  魅86

林秀貞  (57)…統53  武44  知72  政76  魅60

前田利家 (31)…統80  武85  知69  政67  魅76

池田恒興 (34)…統72  武73  知72  政74  魅76

村井貞勝 (50)…統41  武33  知75  政90  魅84

羽柴秀長 (30)…統73  武64  知80  政85  魅88

森可成  (47)…統77  武80  知68  政65  魅69

森可隆  (18)…統74  武66  知78  政79  魅73

佐久間信盛(42)…統65  武70  知54  政52  魅48

黒田官兵衛(24)…統80  武63  知95  政82  魅77

<明智家>

明智光秀 (42)…統86  武80  知94  政78  魅81 【芳香】

細川藤孝 (36)…統76  武63  知88  政84  魅80

<松永家>

松永久秀 (62)…統85  武87  知88  政76  魅66

<徳川家>

本多忠勝 (22)…統73  武86  知59  政49  魅79

榊原康政 (22)…統75  武82  知72  政60  魅74

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