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浄化実験

 オレ「ゴトー」は……酔っぱらってます。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 いやー飲んだ。そして食った。更に併せて飲んだ。


 てゆーか泥酔です。泥です泥。


 で、この泥めが今から道具実験しまーす。


 ここで問題でーす。


 クエスチョン。なんでこうなったのでしょーか? 


 えーとそれはですねえ……。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 はぁー食ったわー。

 マジで「ジー・エー」の魔物料理が美味過ぎた。

 なんなんだろうなーこれ。

 なんというか……美味すぎて、オレの中にある魔力が刺激されるって感じがあるんだよなあ。


 そしてオレは飲みたくなった。

 美味い料理には適度なお酒が大人の嗜みってものだ。


 でも酒なんて持ってないしどうしようか……あ、あるかも。


 この《ラボ》の来客記録を見るに、どうやら前所長ヴィシュバーは、この場所を()()の場として使っていた節があった。


 まさかと思いながら『ジー・エー』に聞くと『ある』と言った。《エー・エー》に確認すると……《隠蔽された飾り窓(ハインド・ウインドゥ)》のストックにバリバリにあるじゃないか。

 えーと、蒸留酒に果実酒にエール酒に……こ、これは。


 異世界の酒だー。ヒャッホイ。

 

 ありがたく頂戴することにした。

 別に《時の停留》にかまけて飲んだくれちゃえ!……ってワケじゃないよ? 

 ちゃんと目的があっての飲酒なんです。


 オレは異世界に来てからずっと頭の中をフル回転させていた。

 元々決してスペックが高い方ではないので実感としてはパンク寸前って感じだ。

 滅多なことでは行わない心の整理作業ナンバリング・ルーティーンを連発しているのも、いかに精神的負担を感じていたかってことだ。


 緊張には緩和を与えなければならない。

 心の動きも同じだと思う。

 まずアルコールを入れることで張り詰めた緊張を解してみようと考えた。

 これこそがまさに大人の嗜み。

 古来より伝わる由緒正しき大人のストレス解消法だ。


 そして最大の目的は……《義手(メタモルフォシス)》の薬指スペースに合成(コンポーズ)した《回復オーブ》のパターン3《浄化》の実験だった。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 オレが《ラボ》で創成した中で最も苦労したモノは、オーブによる《魔法》の再現だったが、中でも特に苦労したのは《回復オーブ》だった。


 結論から言うと出来なかった。

 そう言うと身も蓋もないのだが、単体での再現は難しかった。

 オレが求めたのは、現状でのオレの唯一の回復手段である「スライムボール」へ入る、という行動を行わずに、「物質体(マテリアル)へのダメージの再生と状態の回復」を行うことだ。

 ファンタジーっぽく要約すると、キズをキラキラっと瞬時に塞いで、状態異常をホワホワっと治すようなヤツだ。有名どころで言うと「ヒール」と「キュア」を再現したかったのだ。

 

 その効果を発揮する希少素材はすぐに《エー・エー》が特定した。

 以前に創成した《キュア・スライム・ボール》でも使用したランク5《不滅虫の体液》、ランク6《生命草根エキス》に、ランク9《千年樹の唯一の一葉ワン・オブ・ワン・フォー・サウザンド》を組合わせてエネルギーを産み出せば、オレがイメージした効果を産み出すオーブが創成することは出来る。

 幸いにもそのランク9素材が《隠蔽された飾り窓(ハイド・ウインドゥ)》のストックに1つだけあった。

 大喜びで小躍りしたオレは、早速素材を取り出して創成した。

 1つしかない素材だから躊躇しそうなモノだが、回復魔法の再現に燃える心が後押ししたからか、コレは使わなければいけないと思った。

 そして起動実験したのだが……残念ながらオレはコントロールしきれなかった。


 回復と浄化をプログラム出来ればよかったのだが、キズの深さやダメージの大きさ、状態異常の種類など、想定される組合わせパターンはほぼ無限にある。とてもじゃないがオーブの容量ではプログラム出来なかった。

 ならばスキル道具支配(アイテム・ルーラー)と《エー・エー》の補佐を受けて力ずくでコントロール出来ないかとやってみたら……コレは出来た。

 ただし青筋立てて全力で、だ。

 それ以外の行動は不能状態。オレはもっとサラっと回復魔法の再現をしたかったのだが……コレジャナイ感が凄まじい。

 オレはもっとシステマティックかつオートマティックで回復をしたいのだ。


 なので途中で路線変更した。


 結論として《義手(メタモルフォシス)》の掌に合成(コンポーズ)したMサイズの《結界オーブ》と同時起動することでクリアした。

 オレ自身の行動の阻害は解消される代わりにオレへの魔力消費負担は増す、というヘンテコな状況になってしまったが……。

 まず結界を起動する。これは均一に「対象の全身」とした。サイズに関わらずだ。理論上はヴィシュバーのような小人でもティエムのような巨人でも等しく全身を包む結界を構築する。

 そして結界内に回復エネルギーを流し込む。パターンはシンプルに3つにした。1つ目はゆっくりと流入させて緩やかに回復させる。2つ目は急激に流入させて急速に回復させる。ダメージの大きさで使い分ける。イメージは「ベ○イミ」と「ベホ○」だ。現在進行形で受けたダメージが修復されるまで流し込む。修復完了でエネルギーの流入もストップし結界も解除。


 こんなシステムだ。


 このシステムの凄いところは、結界の範囲を調節することで対象の拡大が可能なこと、さらにその結界を複数展開することが可能なことだ。いわゆるエリア・ヒールであり、しかもそれを複数展開出来ちゃう。気分はワンマン・アーミーならぬワンマン・フィールド・ホスピタルだ。

 しかも()()()()の結界も展開可能だった。

 例えば回復結界を展開した上に防御結界を()()()()出来るのだ。

 さらに進行形のダメージを回復した後も任意で流入量をコントロールし続ければ……おそらく古傷とか肉体の欠損も再生できるかもしれない。ひょっとしたらハゲとかも治療出来るんじゃねえかな? 

 ランク9の《千年樹》の素材はやはり素晴らしかったってことだろう。

 凄くない? 

 状況によっては魔力の消費が半端なさそうだが……我ながら良く出来たシステムだと思う。

 コレなら()()の回復魔法にも大分迫れたのではないだろうか? 比較する機会が楽しみだ。

 

 そしてこの《回復オーブ》のパターン3に《千年樹》の癒しの力を使用した《浄化》を設定した。

 文字通り不浄な状態異常を回復するモードだ。

 ちなみにオレが想定したのは解毒・麻痺解除・石化解除・呪いの解除などの有名なモノだが……結果として「千年樹最強」だった。

 《エー・エー》の計算ではマジで何でも解除・回復出来るってことだ。

 そして……実行したならば、オレのステータスに表示されている状態異常《魔王の呪い》ですら解除出来てしまうってことだった。


 ちなみに実行は不可能だけどな。


 理由は単純。オレの魔力因子(マナ・ファクター)は《魔王の呪い》を受けたことで構成された魔王の因子で補填されて存在している。


 《魔王の呪い》を解除してしまったら魔王の因子が消失し、オレの存在も消滅してしまう確立なんと100%。

 《エー・エー》先生のお墨付きだ。

 オレは自殺願望はないので《魔王の呪い》は勿論スルーだ。


 それにしても《魔王の呪い》まで解除出来るなんて……《千年樹》マジでパネエっす。いつか機会があったら絶対に入手したい。


 そんなわけで呪いの解除は諦めて、代わりと言ってはなんだが、「解毒」を試してみることにした。


 その為の飲酒ってワケだ。



  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 さて、いい感じに酒が回って酔っ払ったオレがいます。


 本来なら仮の肉体で存在しているこの《ラボ》で飲み食いしたあげく酔っぱらうってのも奇妙な話だが、この辺りは《ラボ》からアーテラへ戻ったときに実感をするべきことだ。てかさー小難し過ぎんだよなー設定とかどうでもいいんだよーマジで。ひたすら設定とか伏線とかやってるヤツなんて所詮は自己マンだぜ自己マンー。マジ要らねーっすありがとーございますー。ちゅーわけでとりあえずは後回しでーす。


 とりあえずは《浄化》実験Go!だ。Go! 


 えーと、まずは立ち上がります。


 よっこらしょーいちっとー。


 おーフラフラ。世界が回るぜロックユー。


 フラフラすることを確認したら、次は《結界オーブ》と《回復オーブ》を並行起動しますシャキーン。


 酩酊状態でも問題なく起動出来ますね。なーぜーなーらーばー優秀な補佐がオレを支えているからだー。《エー・エー》補佐官流石っすヘイヘーイ。


 あんた最高にクールでユースフルでビューティーでダイナマイトなあんちくしょうだぜい!最高!フォゥーー!!フォゥー!! 



『《浄化》発動時に併せて感覚強化補佐を実行です:スキル発動を希望です《使役者(マスター)》』



 あいあいさー補佐官! 


 それーホワホワほわーーっとな。


 《浄化》が発動しオレの脳に回った()が取り除かれていく感覚があった。


 あー気持ちええ……。


 …………。


 …………。


 あれ、オレさっきめっちゃ酔ってたな……。


 なんかゴメンね《エー・エー》。



 

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