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真剣勝負

(ぼくはイクだ)

(俺も名前を考えた、ゼノスだ)

光剣のスイッチを押すと金色の光が迸る。対してゼノスは禍々しい紫の光剣の光を迸らせた。

(いざ、尋常に勝負だ、ゼノス)

(ふん、所詮こんなもの座興だ)

テレポートと重力制御を生かした3次元超速戦闘で打ち合うこと数十合。

(お前、まだまだこんなものではないだろ。もっと真剣にさせてやろう)とゼノス。

9体の複製体を出現させると全員がぼくを囲むように掛って来た。

(鳳翔、(まどか)!)

7体は倒したが3体残っている。そこへアテナとネリネが以心伝心でテレポートしてきた。

(ほう、援軍か面白い、試合というよりもこれは合戦だな)とゼノス。

(ならばお前らの援軍も真似ないとな)

と言うと、2体のゼノスが黒のアテナ、黒のネリネへと変化した。

(ハイパーキネティック・ソードクラフト!)とアテナ。

(パーフェクト・ステルス!)とネリネ。

(コア・ディサーンメント!)とぼく。

(ふん、イクとやら、お前を倒せばこの座興はどうせ終わりだ、手足を捥いで無残にじわじわ殺してやる)

(何事もやってみないと分からんさ)

と赤と金色の瞳を燃やすぼく。振りかぶって打ち込んでくる黒衣のゼノス。

 ずしりと重い光剣が何度も何度も打ち掛かって来る。一撃受けるたびに艦に足がめり込むのではないかと思うほどの重さだ。

 ぼくは凡人だ。アテナやネリネのような芸当はできないし、増して天才でも超人でもない。だから型に忠実であること、それらを極限まで研ぎ澄ますことしかできない。修行で地力を底上げし続け、平静を忘れず、心身共に()()()()()()こと。この一点以外にぼくに道は無かった。それが凡人のぼくが極めた剣だ。

(死ね!)

(雲足!)

(死ね!)

(旋風!)

(死ね!)

(鳳翔!)

(死ね!)

(流水!)

(死ね!)

(金剛!)

(死ね!)

(心眼!)

ぼくの光剣がゼノスの光剣によって吹っ飛ばされた。

(死ねえ!)

刀取(とうどり)!終わりだっ、時空斬!)

ぼくが持ったゼノスの光剣によって星空に亀裂が入った時、ぼくの黒い姿をしたゼノスはその亀裂に吸い付けられたようになった。分散した意識体、黒のアテナ、黒のネリネを呼び戻し一体化して亀裂から脱出しようともがいている。

(クロノエル、ブラックホールボールの正四面体で囲め、ゼノスをリボンで結べ、メビウスループを掛けろ)

(マル、エターナルスランバーとエンドレスチョイスを掛け続けろ、サムニングスピリッツで四精霊を召喚)

(クレア、フォーチュン・ウィヴィングを)

(ルミナ、サイキック・コミュニオンで祝詞による思念干渉を)

(アテナ、ネリネ、アルカ・ソフィア号へ)

(セラフィーヌ、準備は出来てるかい?)

(ええ、あなた。あの空域だけまず聖別しますわね。セイクリッド・セプルチャー、聖なる葬送)

静かだが透徹した意志を感じさせるテレパシーがセラフィーヌから放たれた。

(聖別の儀)

ゼノスはの憎しみや怒り、悲しみが固定されていく。

(浄火の儀)

それらが聖なる焔で焼かれ祓われていく。

(浄滅の儀)

焼き祓われたものが塵となって消えていく。

(そして、封印の儀)

位相が閉じられ境界が完成された。


 気付けば艦上のぼくの隣に6枚の羽根を広げたセラフィーヌがいた。

 ぼくが開けた時空斬の後は閉じられ虹色に輝く光に覆われた小さな黒く丸い球となったゼノスの核が残されていた。その光はセラフィーヌの強固な封印であることは明白だ。

 そこはちょうど正四面体の頂点に位置するブラックホールの重心にあり、ぼくらの「黒色正四面体重力封鎖作戦(通称聖葬封印作戦)」は成功した。

(ゼノス、いつか今度こそ良い人生を送れよ)

 ぼくはゼノスの心の痛み、悲しみ、怒り、憎しみ、孤独を知った。いつか転生して体を持ち人生を歩めるように、祈りを込めてこの詩を手向けた。


「生まれかわる きみ」


真新しい光のしずく

涼やかに歌うかぜ

緩やかに紡ぐ天上の楽音

妖精達の見まもる虹のらせん

睦みあう静けさが清く整えた

朝に


   きみは

   虹で編まれた揺りかごにゆられ

   毎日 生まれかわることを許された

   ひとりの赤子


傷つき哀しむきみの本当の姿は

絶望から希望を生みだす

大地のちから


ある日きみは認められ

金の縁取りの真っ白な旗を天にかざす

そしてきみがきみを認める時

新しい大地に颯爽と旗は立てられる

睦みあう静けさが清く整えた

朝に


   きみは

   虹で編まれた揺りかごにゆられ

   その時まで 毎日生まれかわることを許された

   ひとりの赤子

   こころ 癒されるまで

   こころ 満たされるまで



 先生、ぼくらは『暴走意識体』を封印しました。

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