地球帰還
ぼくらは4次元遷移して医療施設で全員の健診を済ませると、アレシオン星とゼルカディア星にジャンプして封印の報告をした。アレシオン星のイリシア議長も衛星都市ハビタットのルミエラ市長も安堵して丁寧に感謝の意を述べてくれた。
そして、IK Android株式会社の創立500年に合わせてジャンプ&ワープ航法で、60年ぶりの3572年にアルカ・エリュシオン号とアルカ・ソフィア号は共に地球へ無事に帰還した。
羽田第一宇宙港へ着くと、マザーズに専用秘匿回線で連絡した。
「ただいまマザーズ」
「無事だったのね?お帰りなさいドクター」
「まず、データを渡すね」
「暴走意識体を封印したですって!」
「成り行きでね、疲れたけどね」
「あなたは本当に……」
「今年はIK Android社の創立500年だからそれに帰還を合わせたのさ」
「それから思いついた基本特許があるから、それを登録してくれるとありがたい」
「それはいいけど、あなたたちのことはどこまで公開できるの?」
「『調停者』とか『夢紡ぐ者』、『時の守人』、『封印者』、4次元知的生命体との関わりを隠せば公開しても構わないよ。リアルな現実を公開した方が地球内でくだらんいざこざや紛争なんかやって場合じゃないって誰でも分かるだろ?」
「世界的に大変な騒ぎになるわよ?」
「これぐらいのショックは今の地球に必要なんじゃないか?それに騒ぎにはぼくはもう慣れたよ、じゃ宜しくね」
「これからも気を付けてね。そして本当にお疲れ様」
アルカ・エリュシオン号とアルカ・ソフィア号の専用区画は、世界最高機密指定機体の発着場とされ、宇宙空軍の敷地内の特別区画に指定された。それから連邦議会で証言したりメディア取材を一通り終えたぼくらは佃の家に帰った。タワマンの入口はメディア陣がごった返していたので、仕方なくテレポートでだ。シャインは無事を喜んで迎えてくれ、60年のデータを旅の全員が共有して参照すると、社の軍事部門の収益も順調に伸びて事業展開は成功と言えるものだった。
ぼくは536歳になった。IK Android社を興して500年の節目だ。この後、IK Android社の第500回創立年記念日パーティが控えてるから、佃の家ではみんなが何を着ていくかでごった返している最中なんだが、ぼくはマルを肩に乗せてこっそり抜け出して『調停者』としての始まりの艦、アルカ・ソフィア号までテレポートした。
離陸すると青い地球がスクリーン一杯に映し出される。
「マル、この星はいつまでもこのままでいて欲しいな。また一緒に旅をしような」
ぼくの右肩で、赤い風船を持って長靴を履いた足をブラブラさせながら相棒マルが力強く返事をした。
「うん!」
「風の螺旋」
ゆくえ知らずの想い出は
置きっぱなしの古手紙
遠い記憶の最果てに
渦巻き霞むひとを追う
昨日、空を見ましたか
どんな雲を見ましたか
思い出せるといいですね
色やかたちや光のかげん
色やかたちや光のかげん……
忘れ去られた想い出は
波間にゆれるガラス瓶
朝日を抱いて安らぎつ
星の光にきらめきつ
昨日、空を見ましたか
どんな月を見ましたか
思い出せるといいですね
色やかたちや光のかげん
色やかたちや光のかげん……
先生、見ていてくれていますか?ぼくは、ぼくらはこれからも果てしない旅を続けます。
『転生アンドロイドは旅をするー始まりの章ー』完
読了ありがとうございました。




