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銀河系パトロール12時方向

「ねえねえイク、今度はミルルのいた方へ行くんでしょ?あそこはミレアス星とカルドア星が近くで喧嘩してるんじゃないの?」とルミナが言う。

「彼らはもう喧嘩しないだろうと思うけどな。今頃はすっかり交流が進んでるかも知れないぞ」

「それなら良いよね」

「それはそうと、なんでルミナは荷物がそんなに多いんだ?」

「だって服たくさん買っちゃったんだもん」

「どうせぼくは代り映えがしないよ、437年ほど」

「イクは私たちより何歳年上なの?」

「39歳だな」

「その歳で若い娘を四人も五人も作るなんてロリコンなの?変態なの?」

「あのなー、400歳超えがいうセリフじゃないよそれ」

「あー、イクが私たちをBBAって言った!」

「言ってねえよ、1448歳って言われるよりマシだろ?」

「なんでペルソナ時代まで遡るのよ!」

なんて言いながらアルカ・ソフィア号の自室へ自分の荷物を運ぶ。これが超巨大企業会長と大株主の会話なんだからと周りは呆れてる、たぶん。


「しばらくぶりエデン。調子はどう?」とソフィア。

「ええ、いつも絶好調ですとも!ええ」

そうか、こういうノリだったなこいつと感覚を取り戻す。

「計器異常なし」とネリネ。

「こちらも異常なし」とアテナ。

「ルミナはまだ荷物を運んでるのね。私がチェックするわ。こちらも異常なし」とクレア。

「いつでも飛べるよ、ルミナなしで」とぼく。

笑いが起きる。

遅れてきたルミナがてへっとか言いながら通信官席に着くと、ソフィアが言った。

「銀河系パトロール12時方向、目標ルクシエル星系エイレナ星」

「兵装展開、防御シールド展開」とアテナ

「行くよ、ジャンプ!」


 海があるこの惑星大気の縁が特に紫色をしている。「なんだこの惑星の大気の色は?薄紫っぽいな」とぼくが呟く。

「主星が赤色星のせいでしょうね。大気成分は地球とさほど変わりません。重力は0.96Gで陸地1割海が9割という極端な水惑星ですね」とネリネ。

「ミルル、ここが君の言ってた星?」

「うん、かえってきた」

「都市ミレノアを探さないとな」

「あっち」と小さい手で方向を指すミルル。

「こっちね」と言いながら飛行するぼく。

「ここもとても古い星ね」とソフィア。

「あそこ」

「見えてきた、都市だな確かに」

「ルミナ、思念反応は感じられるか?」

「サイキック・コミュニオン。どういうこと?思念が非連続にあるという感覚は初めて」

「ここは、ときにとりのこされたの」

「時に取り残された?」

「そうなの」

「各自武装、防御シールドをして降りてみましょう」とソフィア。

一同、

「了解」


 艦のスロープを降りるとギリシャやローマを思わせる重厚な建築物が目に入る。

「クレア、南欧に来たみたいだな」とぼく。

「ほんとにそんな感じがするわ」

「アストラル・アーカイブ。一万年前まであったアイレナ文明。白金宮ルミナリエ。時禱神殿クロノエル。時蝕によりこの都市と人の時が閉ざされたまま、巻き戻すように繰り返されているということは読めたわ」とソフィア。

「人工物と人々の時だけが蝕まれたの?」とクレア。

「そのようね。だから建築物は時を経てもなお朽ちてはいないし人々はいるのよ。でも私たちには知覚できない。彼らも私たちを知覚できないの」

「王宮らしき所から調べてみるか。なんでそんなことになったのか」

「じしょくがおきたの。あたしがいしきたいになったあとに」

「時蝕というのはその字からして一種の厄災のようだな。何がどうなってこうなるのか、それを紐解かないとな」

時蝕というのは時食いとは異なって部分的に起きるもののようだ。それが生命体だけにどうして起きたのか、それを知らなければ。そしてどうしたらそれを解決できるのかを探さなければ。まずは白金宮ルミナリエを目指す。案内はミルルが方角を示してくれる。


 白金宮ルミナリエは、ギリシャを思わせる石造りの太い柱と黄金を散りばめられたレリーフからなる荘厳な建築物だ。階段を30段ほど上り中へ入ると、そこは見事な古代彫刻が随所に置かれ、一直線に玉座へと続く通路が現れ、この惑星の大気の色を思わせる薄紫の絨毯が敷かれている。その縁取りは金の刺繍が施されている。

 もしこの王宮の主が暴政の専制君主ならばこんな容易に入れる造りにはしないはずだ。構造から推察すると温和な政治が行われていたと見るのが妥当だろう。


 ミルルが手で「あそこ」と右にある扉を指しているので行って扉を開けるとそこは書庫だった。本を取り出してみるが無論読めないのでエデンを使う。

(エデン、白金宮ルミナリエの書庫にいるんだが文字が分からない。言語解析してくれ、ミルルとテレパシーで)

(了解です、ドクター)

(何の本だか判らないがページをスキャンするぞ)

(どうぞ)

ページをどんどんめくっていくとエデンが言う。

(およそ95%の単語レベルを習得しました、みなさんに言語セットをインストールします)

(オーケーやってくれ。手分けして本をみんなでスキャンするから逐次更新してくれ)

(了解しました)

「みんなで手分けして重要そうな本を読み込もう」

一同、

「分かったわ」

人のいない書庫に勝手に入り本を貪るようにスキャンする六人。時々エデンがミルルに意味を聞いている様子がテレパシーで伝わってくる。

(ドクター、ほぼ100%ですので言語セットを更新しますね)

(了解、やってくれ)

すると今まで意味不明な部分まではっきりと読めるようになった。ソフィアが一冊の本を広げる。

「これは王国史ね。何が起きたのか調べましょう」

「その本、かなり詳しく出来事が書かれてるわ」とクレア。

「地球で言えば魔術的な部類の本もあるな。イオ級艦の大賢者や大魔導士が喜びそうだ」

「こちらには戦略や戦術についての本がありますぞ」とアテナ。

「これは宮廷料理の本ね、美味しいのかしら」とネリネ。

「思念を力の源として書かれたこの星の科学書なのかな、これは」とルミナ。


 ソフィアによると、ここのアイレナ文明はおよそ4万年続いていて、温暖な気候と豊富な自然環境の中で戦乱もなく温和な王政の歴史を重ねてきた。この暮らしを守るという一点において執着が強く見られるという。そして、建物が朽ちることなく人々の暮らしが変わることなく続くことが人々の願いとなった。そこで考えられたのが外乱に会わずに緩やかに時を固定する方法を編み出すことだった。数々の研究者たちが時禱神殿クロノエルで研鑽を重ねた、そう記録にあるという。内向きの文化であったことがこれから推測できる。

「ミルル、時禱(じとう)神殿クロノエルってどこにあるの?」とぼく。

「るみなりえのもっとさきにある」

「じゃ、その場所を教えてくれる?」

「うん」

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