光の民
首都フェスタリアの中心部を見学することになった。テロス側の護衛付きなのだ。
「ここに大きな教会があるわ。何を祀っているのかしら?」とルミナ。
「入ってみましょうか」とソフィア。
「美しい造形の建築物ですね。重要な文化財的な施設なんでしょうね」とネリネ。
「地球の教会っぽいな、でもちょっと違う、どこかで似た建物を見た気がするが、まあぼくの気のせいか」
「女神様でも祀ってるのか?」とアテナ。
「!」
「どうしたんだ?ルミナ」
「入れば分かるわ」
祭壇にいた大神官が取り乱しながら入口に走って来た。
「あ、あなたは『光の民』ではありませんか?」
「えっ?そうですが?」
「文献では、太古にこの惑星に訪れた『光の民』と呼ばれる一族がいたのです。その信仰と教えを守ってきたのが我がルミナス教なのです!全身が光るような民だったと記録されています。貴方様はどこからいらしたのですか?」
「地球という惑星で、私はペルソナ時代はそこでは『光の民』の直系に当ります」
「であるなら今は文献通り広範囲に思念を拾えるのですか?」
「ええ、まあ」
「大神官どの、ここでは何を祀っていらっしゃるのですか?」
「光の女神です」
「私の里と一緒じゃないの!」
「なんと!ルミナス教は時空を超えて残っていたのですね」
嬉し涙を流す大神官。
「とすると、その隣の方が婿殿ですね!」
「この下り、ペルソナ時代にやったよなあ」とぼく。
人間だった頃ルミナとそういういきさつがあったのだ。
それを知ってるソフィア、アテナが爆笑している。
「昔、イクがルミナに半ば拉致されて婿になった経緯は聞いたことがあるわ」
とソフィア
「あらあら、うふふっ」
とネリネ。
「ともあれ、貴賓室へどうぞ!」
大神官に先導されて一同歩く。
貴賓室で歓談してからレリーフのある密室へと案内される。
「ここに太古に描かれた『光の民』と我々の祖先との関係を示すテロス遺産があります」
「これは!ルミナの衣装と冠、錫杖そのものじゃないか」とぼく。
「それに『光の民は』全身から光が放たれてますわ」とネリネ。
「まるでルミナそのものね」とソフィア。
「きれいに保存されていますね。状態がとても良い。どれぐらい前に描かれたものなんですか?」
大神官「婿殿、テロン歴でおよそ10万年前と年代測定で判明しています」
「こんな偶然があるものなのね」とルミナ。
「宇宙は広いけど意外とこういった共通する概念が残っているかも知れないわね」とソフィア。
大神官「ルミナ様、この教会に今信者たちが続々と集まって来ています。恐らくは惑星着艦後のパレードの衣装から直感的に『光の民』だと確信してしまったようなのです。そこでお願いがあります。どうかこの大聖堂で放送で祝詞を唱えていただけないでしょうか?このような出会いはまさに光の女神のお導きかと思いますので」
「ええ、いいわ。やらせていただきましょう、皆様のために」
大聖堂には人が溢れかえり、メディアまで押しかけてきている。
大神官が高らかに宣言する。
「この方が『光の民』の直系であらせられるルミナ様です」
信者たちのどよめき。
ルミナは祭壇の中央に立ち、錫杖を鳴らすと祝詞を唱え始めた。その思念は直接信者たちに伝わるようで、涙する者たちも多かった。
「ルミナ様!」
「ルミナ様!」
「ルミナ様ぁ~!」
多くの観衆に歓声を受けながらぼくたちは教会を後にした。
それが映像で放映されるとルミナス教に入信する人々が殺到した。何しろ宿痾ザルク帝国を永遠に遠ざけた五人の一人が『光の民』だったのだから。テロスではルミナはこの後、『光の民』の再誕者ルミナ様と呼ばれ伝説となったのだった。
一通り首都の観光を終え、アルカ・ソフィア号に戻ったぼくたちは、エデンにこの一連の出来事やこの文明に纏わる情報を一通り上げると休憩に入った。
ぼくが自室に戻ろうとすると、ルミナがぼくの部屋のドアに何か張り紙をしていた。走って逃げるルミナ。ぼくはドアの張り紙を見た。
「ルミナ様と婿殿のお部屋」
操縦席へ行くと、こんな張り紙があった。
「ルミナ様と婿殿の席」
ブリッジでは、
「何かみんなが私を熱狂的に呼んでるわ!あの教会なんだけど、外にもものすごい人がいるの」とルミナ。
「祝詞とか上げてちょっと顔だしてきたらみんな落ち着くんじゃないの?」とぼく。
「行ったほうが良さそうよね?」
「君が余計なことをしなければね」
「着替えて行ってくる!」
ルミナス教大聖堂からの中継が急遽始まった。
祭壇に、冠、錫杖、祭服姿の光るルミナがテレポートで宙に出現。大歓声。その後宙に浮いたままで祝詞を思念全開で上げる。
「やっぱりやらかした!」
それを見たぼくら四人は爆笑していた。
ついにテロスから旅立つ日が来た。歓迎されただけに正直心残りでもある。
「連邦議長、そのようなわけで我々は新たな目的地へと向かいます」
「名残り惜しいですなあ。いつか御恩をお返し出来たらと思います。テロスの民はこの度のことを語り継ぎます」
「お言葉に感謝致します。楽しいひと時をありがとうございました。それでは、またいつか」
テロスから小ジャンプして小惑星帯外へ。
「なんか、ぼくは疲れたぞ。年老いた気すらする」
ソフィア、アテナ、ネリネが笑ってる。
「私は元気を貰ったわ!」とルミナ。
「君はね!そうだろうよ」
「これからどうするんだ?」とアテナ。
「一度地球に戻ってクレアとみんなの定期検診をしたい。ネリネ助手を頼む。ぼくの定期検診は、ネリネに任す」
「私がイクの定期検診を?」
「うん、君に任せた」
「時間を掛けて、精一杯丁寧に検査しますねっ!」
「ん?まあ念には念を入れることには越したことはないが」
「私がネリネの助手やろうかなあ」アテナも乗ってくる。
「だったら私も助手に!」ルミナも当然のごとく乗ってくる。
「ぼく、ていきけんしん、いくとおなじにぜんぶできるよー」
マルが突然の冷や水を浴びせるようなことを言う。
「!」しゅんとする三人。
「エデン、航路地球。200年後の未来ね」
「了解です、マスター」
200年か。ちらっとクレアの怒った顔が浮かぶが、クレアのボディは4次元製だし問題ない。ただぼくが怒られるだけだから、まあいいか。
「では行くよ。ジャンプ&ワープ!」
先生、ぼくは元気です。侵略されそうだった高度な文明の星を助けることが出来ました。




