ザルク星帝国軍とテロス星
「この恒星系外縁部まで進みましょう」とソフィア。
「小惑星体が以上に多いですね。不思議です。惑星は全部で4つ。その水の第二惑星は地球の1.5倍ほどの大きさで二つの月を持っています」とネリネ。
「エリオナ星系で主星は第二惑星のテロスですね。どうやら小惑星の多さは小さな外惑星の残骸でしょう」とエデン。
「誰がそんなことを。原始恒星系でもないのに小惑星が多すぎる。恒星系外縁部を直進。ルミナ、思念を恒星系のどの方向から感じる?」
「サイキック・コミュニオン。イク、それがおかしいの。恒星系外からと、恒星系の第二、第三、第四惑星、二つの月から感じるわ。ところが恒星系外からの思念は質が違うの」
「マル、恒星系外から何か感じるか」
「てきいがあるよ。うちがわのほしのひと、わるくない」
「マスター、恒星系外部より異なる生命体の大型戦艦5隻が接近中、ジャンプしてきた痕跡があります。ザルクス星系第三惑星ザルク星のザルク帝国の軍かと」
「それって現在進行系でこの恒星系の生物が絶賛侵略中ってことじゃないか?」
「大型戦艦は我々と恒星を中心に90度の位置で停止、ポッド状の物体を100ほど排出した。それらが小惑星帯に向かってる」アテナが報告する。
「外惑星を破壊してその残骸がこの小惑星の多さの原因だとするとそのポッドは恐らく推進装置。小惑星の軌道を変えて内惑星に落とすつもりだな。近距離戦では第二惑星にもそれなりに対抗手段があるから恒星系内には迂闊に入れないのかも知れない。あるいは降伏目的と見た。惑星の技術や自然資源は極力失いたくないのかも知れないな」
「マル、手を貸して。まず内惑星を守るわ。エデン、双方の言語解析をお願い」とソフィア。
「いいよー、どーん!」
マルがイオ級艦を4次元から出現させた。
「大型戦艦のポッドを全て撃ち落とす。イク、向こうに向かってくれ」
「アテナ、任せろ。ちょっと荒っぽい操縦になるけどな!」
「よし敵艦隊正面だ。エデン、全てのポッドの軌道を随時ぼくとアテナに渡せ」
「了解ドクター。ポッド群、小惑星到着まで5分」
「アテナ、5分で100個叩き落とすぞ」
「任せて、ハイパーキネティック・ソードクラフト。パルス砲発射!」
「てきかんたいしょうめんに、えいこーんしーるどはるね」
「マル、助かる。これでビーム砲等は敵は使えない」
「敵戦艦に動揺が感じられるわ」とルミナ。
「どれぐらい落とせたか?アテナ」
「残り3割ぐらい」
「右方向に残ってるな、旋回!」
「敵戦艦から高エネルギー反応!」
「はずす?やっちゃう?」とマルが事も無げににこにこしながら言う。
「マル、わざと敵艦隊をかすめて反射させてやれ。やろうと思えば直撃させることがきると分からせるんだ」
「ちょこっとはずす」とマル。
「高エネルギー反応、エイコーンシールドに反射され、敵艦隊5隻のブリッジ付近をかすめて拡散しました」とネリネ。
「敵に大きな動揺が起きたわ」とルミナ。
「ポッド全部落としたぞ!」
「アテナ、イク、ネリネ、ルミナ、ありがとう。エデン、両言語解析は出来ましたか?」とソフィア。
「完了しています。ザルク艦隊との通信を開きますか?」
「水惑星側にも届くように双方の言語で通信を流すわ。お願いね、エデン」
「了解です、マスター」
その頃敵艦体では。
「どういうことだ?なぜ我が軍のポッドが次々と落とされる?」
「謎の黒い機体に金色のエンブレムがある機体が迎撃しています!」
「100ものポッドをあっという間にか!?」
「第二惑星の連中ではないようです。我々が性質の知らない砲で全て撃ち落としています」
「荷電粒子砲開け。我軍の威を見せるのだ!」
「了解。荷電粒子砲開け。目標黒い機体!」
「我軍全面に透明な盾のようなシールドが張られています!」
「構わん、シールドごとぶち抜け!」
「発射!」
無論、エイコーンシールドに反射される。
「うわあ!」
「反射しただと?全艦被害状況を伝えろ。戦闘機と機動部隊を出せ。あの黒い機体が目標だ!」
「全戦闘機、全機動部隊出動せよ。目標黒い機体!」
「出動!」
「こちらの動きを見ても敵は動かない。どういうことだ?それにあんな青い惑星がここにあったか?」
ブリッジでぼくはマルに頼んだ。
「マル、敵戦闘機と機動部隊にエンドレスチョイスを使ってくれ」
「えんどれすちょいす!」
敵艦体では。
「なぜ戦闘機隊も機動部隊も止まったままなのだ?」
「分かりません。宇宙軍戦闘機隊長、機動部隊隊長、応答せよ!応答せよ!」
「……」
「敵黒い機体より通信が入って守ります。繋ぎますか?」
「繋げ」
モニターには3体の異星人。三人とも腕にエデンの通訳ブレスレットを付けているが、彼らにはただの幅の広いブレスレットに見える。一人は中央に立ち光る石を散りばめたものを身にまとっている異星人。左には白い衣を着た背の高い異星人。頭と思しき横に小さなにこにこしたものを乗せている。右には全身真っ白な衣装の光を思わせる異星人。
「言葉は通じるか?」
「ええ、分かりますよ?」とソフィア。
「お前たちは何者で、なぜ我々の邪魔をする?」
「私たちは『調停者』。貴方がたの企みはこのエリオナ星系を掌握することですね?」
「それとお前たちと何の関係がある?宇宙は弱肉強食だ。弱いものは支配されるものだ」
「それが出来ないことは、たった今お分かりになったでしょう?私たちはあなた方の全戦力が例え来たとしても阻止することが出来ます」
「そんな戯言を!出来る訳がな」
「黙れ!」と赤金の瞳を燃え立たせたぼく。
「!……」ビクッとする敵艦隊司令官。
「よいか?この星域には二度と近づくな。次は無い!」
「ご理解いただけましたか?」とソフィア。
「分った……理解した」
「全艦本星へジャンプしろ!」
「我々は敢えて生かされたのだな……」
ブリッジでは。
「敵の戦意喪失確認したわよ」とルミナ。
「全敵戦艦5隻、ジャンプしました」とネリネ。
「ほう、あそこが本星ですか、なるほどなるほど」と含みのあるエデン。
「一段落ね」
「ソフィア、お茶にしましょうね」
「アテナ、よくぼくの無茶な操縦に着いてきてポッドを全部破壊出来たな、感心するよ」
「そ、そうかな」と顔を赤くして嬉しそうにアテナが答える。
「ねえ、これからどうするの?」とルミナ。
「ちょっと間をおいてから、親善訪問許可を取り付けましょう」とソフィア。
「ま、半日もすれば通信が第二惑星にも届くだろうからな」
「まるがんばった」
「良くやった、マル」




