銀河団ジャンプ
山に行ってテントを張り、夜に薪に火を点け焚火をするとしよう。その焚火の炎は二度と同じ形を取らないが、それでもその場所に存在するたった一つの焚火だ。それが個人というものだ。その炎の揺らぎこそがその個人の生の姿だ。生きるということは、ただそこに在るということではなく動的な揺らぎそのものだ。
ぼくらは『調停者』として生きる道を一つ与えられた。冒険をし様々な出来事に出会いに行く役割だ。『調停者』とは何をすべきなのか、そしてぼくらは個々にどのような人生を生きるべきなのか、与えられた生についての問いがいつも頭から離れなかった。
そして今、エデンの性能をまず確認するべく、遠い銀河団ジャンプを敢行することにした。クレアに長い旅になるかもしれないとは言ってある。まずは旅に慣れるために、経験を積むために。安定した今で半分死んだように暮らすより、より能動的に生きるためにだ。
「エデン、銀河団ジャンプって出来るか?」
「軽く出来ます!」誇らしげにキッパリ言うエデン。
銀河団というのは百から数千の銀河が集まる大規模な集合体で、銀河系も銀河団に属する。それで今度は銀河系が属する銀河団とは異なる2億2200万光年離れたペルセウス座銀河団を試験的に目指すことにした。
「あっさり解決だな。ということはマルのイオ型艦も出来るわけか?」
「無論です!」いつも通り自信満々なエデン。
「じゃあ、やるか!」
「文明のある方が好ましいのですよね?」
「そうだけど、そこまでどうやって分かるんだ?」
「お忘れですか?ドクター。私は4次元製です。3次元など朝飯前です、ご飯は食べませんががね、ええ」
「エデン、バージョンアップからキャラ変わった?」
「いえ、今まではわざといかにも制御系っぽく演出してただけですわ」
これには全員笑う。
「エデン、もし長距離ジャンプしたとして、地球に戻ったら歳月が進み過ぎていたみたいなことにはならないのか?」
「古典的物理学の3次元モデル理論のお話のことですね。もちろんジャンプとワープの組み合わせでお望みの年数を経た地球に戻れます!」
「どんだけ優秀なんだよお前!」
「お褒めに預かり光栄です!」
「只今から人類系初の銀河団ジャンプを行います。エデン任せましたよ?」とソフィア。
「マスター、3次元マップは把握していますし、特に高度文明がある銀河も確認済み、危険性も考慮に入れています。ご安心を」
「何があるか分からん。とにかく慎重に行くぞ。ジャンプ!」
「もう着いた?なんだかこの方向からの思念ノイズが多いわね」とルミナ。
「ではそちらに向かう方が良さそうだな」
「各自警戒態勢」とソフィア。
「ジャンプ!」
「ネリネ、星域確認」
「エデン?あの恒星系の第二惑星って水があるようだけど?」とネリネ。
「はい、水の惑星です。陸地は表面の30%程度でしょう」
「サイキック・コミュニオン。強力な思念を感じるわ」
「テレパシーではない?」
「うん、テレパシーではないけど、人口が多いのかしら」
「兵装展開、シールド展開」とアテナ。
「おまつりがすきなひとたちだー」とにこにこ顔でマルが叫ぶ。




