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創立記念日パーティー

 今日は自由行動の日だ。

「実は会社の第220回創立記念日パーティーに呼ばれていてね。ぼくは創立以降は今だに宇宙に旅立ってからも会長だし、今日はスピーチをしなきゃならないんだ」

「私たちにも招待状が届いていたわ。何を着て行こうかしら。黒に銀河を散りばめたデザインのスパンコールロングドレスはどう?」とソフィア。

「ソフィアは好きだったもんね、ロングドレス。とっても素敵だと思うよ」

「私は護衛として同行する。当然の職務だ!」とアテナ。

「私も護衛兼お世話係として随伴しますわ!」とネリネ。

「私も精神系護衛としてイクに密着する!」とルミナ。

一人だけおかしくないか?

「ちなみに四人とも大株主だから当然貴賓として参加出来るが、正式なパーティーなので全員ドレスな?それも最前列中央のいちばーん目立つ貴賓席な?」

「私もか?軍服以外着慣れてないんだが……」

「ネリネ、アテナの着付けを頼む」

「承知しました。とっても素敵にして差し上げます!」

「ぼくもどれすをきるの?」

「マルはそのままでいいし、スピーチ中も肩に乗ってていいよ。ただしスピーチ中に足ブラブラはだめな?」

「わかったー」


 創立記念日パーティーはスピーチ後に大拍手で無事終わった。会長なのだからお義理でも拍手はするもんさと思いながら肩の荷を下ろした。創立220年、思えば遠くへ来たもんだと言うほどぼくは仕事してないな。特許は出すものの実務はクレアに投げっぱなしな形だ。

「生ける伝説の創立者ってこの人だったのか。白衣姿なんだな」

ええ、万年白衣ですわ。

「あの瞳が赤にも金にも見える瞳が特徴的だな」

本人同様に変わってます。

「肩に乗ってる白いのは何だ?開発中の試作体小型アンドロイドか?なんか仕草がかわいいな」

宇宙規模で災害を起こせる意識体です。

「最前の貴賓席に座ってる四人の美女は誰だ?」

サルベージしたぼくの元AIペルソナたちです。あげません。

「たぶん大株主だろう。あの黒に銀河模様のドレスを着たプラチナブロンドの人のジュエリーを見たことがあるぞ。博物館の収蔵品と同じじゃないか!オーラがすごいな」

シャネルのコメットシリーズ全部です。ぼくの貯金が吹っ飛びました。

「ウェディングドレスのような白いレースのドレスを着た真っ白な髪の人が妙に会長と馴れ馴れしくして花嫁気取りだな」

まああれはあれで仕方ないのです。

「キリッとした赤い髪をした御婦人と穏やかそうな黒髪の御婦人もいるが、このテーブルだけ美形過ぎて雰囲気がおかしいだろう」

それは当然です、ぼくが作ったからね。


 ぼくはその後、社長と大株主四人と一緒に研究所を視察しに行った。

「わいわいがやがや」

「クレア、社をここまでにしてくれたことに本当に感謝するよ。ありがとうね、ほんとに」

「イクの創った会社だもの。礎はあなたがすでに作ってくれていたし、これぐらい当然よ」

「それにしてもあなた、相変わらず有能ね」とソフィア。

「ソフィアにそう言ってもらえるとなお嬉しいわ。それにみんなに会えて本当に嬉しい」


 研究所長が説明してくれる。

「今開発中の汎用人型アンドロイドはこれであります!」

「小型核融合炉内蔵型だな。人口筋肉と皮膚も組織が密で技術的に洗練されている」

「はいであります!特に頭脳がですね」

「ポジトロニックだな?」

「はい左様であります。外観を見ただけでお分かりになるのですか?」

「まあね。君は実によくやってくれている、ありがとう所長。これからも宜しく頼むね」

「はっ」

所長としっかりと握手する。


「クレア。これからも会社を頼むね。これからはちょくちょくぼくも顔を出すようにするから」

「イクにはイクのお仕事があるんでしょ?無理しないでね」

「ありがとう。クレアはやっぱりクレアだな」

「なによそれ。変わらないに決まってるじゃないの」

ろクレアは笑う。

「それもそうだな」


 ニュースを見るとIK Android社のニュースばかりだ。

「IK Android社の伝説の創立者会長、創立記念日パーティーに登場!」

「IK Android社の株価連日ストップ高!最高値更新中!」

「IK Android社の創立記念日パーティーに謎の来賓美女四人!一人は花嫁姿!」

「IK Android社の伝説の創立者兼会長の右肩に新型愛玩用アンドロイド登場、販売間近か?」


「やれやれ連日この話題か。しばらく表を歩けないなあ」

「私はウェディングドレスを着てイクと一緒に人通り多いところばかり歩いてもいいわよ?」

「あのね、ルミナ」

「地球でこの住み慣れた家みたいな艦でゆっくりするのも良いですわ」

「そうだな、ネリネ」

「そうね。直にこの騒ぎは収束するでしょうから」

とソフィア。

「うーむ。軍服しか着てこなかったから、ドレス姿は果たして似合っていただろうか。でも、鏡見た時は驚いたな……」と一人呟くアテナ。

「とっても似合っていたよ、アテナ」とぼく。

「そ、そうか?」照れるアテナ。

「ねえ、あいがんようあんどろいどってなに?ぼくのこと?」

「マルのこと勘違いしてるんだよ」


 IK Android社長室のクレアの机の上に、金色の五芒星が互いに回るエンブレムが蝋で刻印された白い封筒がある。


「クレアへ。

新しいアイデアを送るね。マザーズに認可を取ってあるから、秘匿回線でマザーズから受け取ってくれ。未来的な基本特許が多数あるから早々に手続きをお願いしたい。

ボディの調子はどうだい?なかなかナイスだろ?治療にが必要になるほどヤワな造りではないけど、念のため地球に寄るごとに定期検査するから安心してね。

君がいつも幸せでありますように。

イク」


「ありがとう、イク。帰りを待ってるわ。それにしてもテレパシー傍受まで心配して古風な手紙だなんて、とてもあなたらしいわね。懐かしい字ね……。」


 先生、ぼくは元気でやっています。研究所も社も順調そのものです。

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