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8話 配信開始


ーー大滝近くにて


 『ザパァン』


 水竜はそのまま千春に向けて、突進を開始する。


 『ガチャ』

 「うし来い、ウナギ野郎!!」


 千春もパワーピッケルを持って応戦しにかかる。


 『シャアアアア』


 迫ってくる水竜を躱すため、千春はジェットブーツを起動する。


 「いくぜ、ジェットブーツ起動!!」

 『ゴオオオオ』


 ジェットブーツにより千春は10メートルほど浮き上がり、水流へと向かっていった。


 「お兄ちゃぁぁぁん」


 紗季は千春が水竜の相手をしている隙をつき、シャツだけ着て兄の方まで走って来ていた。


 「紗季!」

 「し、死ぬかと思ったよ」

 「ほれパンツ」

 「ありがと」


 命からがら逃げてきた紗季はそう言って、兄からパンツを受け取った。


 「……紗季、準備できたら配信の用意を頼む」

 「りょ、了解、あのおっさんと話は纏まったの?」

 「ああ、おおよそは纏まってる、詳しくは後で話すから配信の準備だけ頼むよ」

 「う、うん」


 紗季は素早くパンツを穿くと、カメラとスマホを取ってくるため、おっさんの隠れ家の方へと走っていった。


 「さぁて、ここから千春さんと俺ら兄妹の伝説がはじまるんだ」


 兄は走っていく紗季を見ながらそう呟く。


ーー千春vs水竜にて


 『ドゴォン』


 水竜の放った水弾が空飛ぶ千春に命中し、水蒸気が千春を覆った。


 『シュウウウ』

 「くっ、痛えなぁ」


 水弾をモロに受けた千春だったが、かすり傷程度で済んでいた。

 千春は1級攻略士になる前に、女神の聖水と呼ばれる超級アイテムを手に入れ、それを飲んでいる。

 女神の聖水は、飲んだ者の身体機能を著しく向上させる力があり、千春の異様なタフさの正体でもあるのだ。


 『ガチャ』

 「さぁてウナギ野郎、今度はこっちが攻撃する番だ」


 千春はそう言ってパワーピッケルに薬莢を装填した。


ーー兄妹にて


 「お兄ちゃん、準備できたよ」

 「おっけ!ならカメラは俺が持つから紗季は実況を頼むよ」

 「え、私が実況すんの?」

 「おう、紗季は演者で俺がプロデューサー的な感じでいく、そして千春さんはたまたま映ってるおっさんっていう設定でいくから!」


 そうこれが、兄が思いついた配信収益をいらないと言った千春を無理なく配信に映す方法である。

 メインは紗季で千春はあくまでも偶然映り込んでしまったおっさん。

 そしてこの事は千春も了承済みである。


 「よしそれじゃあ、配信開始5秒前、4、3、2、配信開始!」


兄はそう言って配信スタートのボタンを押すのだった。

 


 



 


 

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