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6話 隠れ家

ーー大滝近くにて


 「おいお前ら、いつまでついてくんだよ」


 逃げる千春を追っていたところ、2人は千春の隠れ家近くまで来てしまっていた。


 「あなたから、良いお返事が貰えるまで俺たちは離れませんよ」


 そう言って兄は千春に追いつくため歩速よりも早く歩く。


 「だから、ついてくんなって」


 千春も追いつかれないように歩速を上げていく。


 「なんでそんなに嫌がるんですか、お金が沢山貰えるんですよ」

 「わかってねぇな、世の中にはお金よりも大切なもんがあんだよ」


 兄から甘い誘惑を昭和風で千春はそう吹き飛ばす。


 「一体なんなのよ、そのお金より大切なものって!」

 「あ?興味あんのか、男のロマンによぉ」


 そう言って千春は立ち止まり、そう発言した紗季をじっと見つめた。


 「きょ、興味は……」


 紗季はその先の言葉に迷い兄に視線を送ると、兄は"興味があると言え"と目で訴えかけていた。


 「あります、興味あります」


 紗季はそう言い切る。


 「なんだそうかのか、ついて来い案内するよ」


 千春はそう言って、紗季と兄を自身の隠れ家へと案内した。


ーー5分後


 「さぁ、着いたぜ」


 千春に連れられてやって来たのは、テントと焚き火そして良い感じの椅子が設置された空間だった。


 「うわぁ、めっちゃいいですね」


 そう話す兄の目はキラキラと輝いていた。


 「だろ?」


 自慢げに千春は兄にドヤ顔を決める。


 「……何これ?」


 その光景にあまり感動しなかった紗季は、小さくそう呟く。


 「大滝が近いから、あっちの水辺で軽く身体を洗ったりもできるから、良かったら使うと良い」


 そう言って千春は大滝近くの川を指差した。


 「このロケーション、まさしく男のロマンって感じですね」


 お金目的ではあるが、少なからずロマンも求めている兄はそう嬉しそうに話す。


 「まぁな、そのせいでここに1週間くらいいるんだけどな」


 千春は頭の後ろを掻きながら、照れ臭そうにそう話す。


 「1週間もいるの!こんなとこに!」


 紗季は驚きそう叫んだ。


 「おうよ、俺はダンジョンが好きだからな」


 千春は嬉しそうにそう話す。


 「ダンジョンが好きか、忘れてたけど俺も元々はその気持ちが強かったなぁ」


 千春のその言葉を聞いて、兄は感慨深そうにそう言った。


 「なら、お前も俺のようになればいいんじゃん」


 千春は兄の言葉を聞いてそう提案する。


 「いやいや、今更そんな……いや待てよ、そうだよ、別にダンジョン攻略の配信なんかしなくても、これを映せばいいんじゃないか」


 兄は何か閃きそう呟く。


 「ど、どしたのお兄ちゃん」


 兄の様子を心配そうに見つめ、紗季はそう訊ねる。


 「なぁに簡単なことさ、千春さん良かったら貴方のここでの暮らしの様子を僕らに配信させてもらえないでしょうか?」

 「え?」


 兄の突然の提案に戸惑う千春。


 「本当に映すだけで、特に何もしなくて良いんです、貴方のロマンを配信で映すそれだけでいいんです」

 「俺のロマン……」


 ロマンという言葉に千春の心は少し動くのであった。



 

 

 

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