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4話 収益



ーー大滝近くのテントにて


 「ふぅ、終わった終わったぁ」


 そう言って千春は、さっき沸かしたコーヒーに手を伸ばす。


 「……ちくしょお冷めてるじゃねぇか、ま、あの2人が無事だったし、まぁいいか」

 『ズズッ』


 千春は冷めたコーヒーを美味しそうに飲んだ。


 「にしても、穴蔵ドラゴンがなんでこんなところにいたんだ、あいつはもっと下の階層にいるモンスターのはず」

 『ズズッ』


 千春はそう呟くとコーヒーをまた1啜りした。

 穴蔵ドラゴンは、通常90階層~最下層である105階層付近によく出没する。

 そのため、ここ80階層には普段こいつはいないのだ。


 「もしかすると、こいつはダンジョンボスが復活したかもだな」

 『ゴクッ』


 そう言って千春はコーヒーを飲み干すのだった。



ーー兄妹にて


 「あ!お兄ちゃん、さっきのおっさんいなくなってるよ」

 「マジかよ、俺たちの稼ぎ頭!」


 そう言って兄妹達は、千春の行方を追うべく探し始めるのだった。


 「ね、ねぇ、お兄ちゃんAX見てる?」

 「え、まだ見てないけど」


 AXとは、若者に大人気の2大SNSの一つであり、サブカル的な事はもう一方のほうではなく、こっちに上げるという文化になっている。


 「ほら見てみてこれ」


 そう言って紗季は自身のスマホを兄へと見せた。


 「おいおい、なんだよこれトレンド俺たちの事ばっかりじゃんかよ」


 兄が見ると、紗季のスマホの画面には千春の話題でびっしりと埋まっていた。


 「見てこれ、謎のピッケル親父現るだってさ」

 「はは、何だよそれ、大体あの人親父ってほど歳でもないだろ」


 そう言って兄は笑みをこぼす。


 「さっきのハイコメの収益だけど、どうしようね?」


 紗季はそう兄へ確認する。


 「もちろんあのおっさんにも渡すよ、後からあのおっさんが俺たちからお金貰ってないとか言ってきたら面倒だし」


 今どきのSNS事情に詳しい兄はそう紗季へと説明した。


 「だね、それじゃあおっさん探さないとね」

 「ああそうだな、てかあの人どこ行ったんだよ」


ーー千春にて


 『ジュオオ』

 「お、焼けてる焼けてる、良い感じじゃん!」


 ドラゴンを倒したお祝いに千春は、昨日取れたダンジョンイベリコ豚の肉を焼いていた。

 

 「はふ、あっつ、でもうめぇな」


 千春はまだ切る前の豚肉の切れ端をつまみ味見をした。


 「いやぁ気ままなダンジョン暮らし、最高だな、やっぱり俺ここに住もうかな」


 自身がSNSで大バズりしている事とは知らず、千春は1人、お肉パーティーを楽しむのだった。


 

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