小町ルート4
例の酒飲みの日からまた数日が経過していた
あの日の事は全員が暗黙の了解になったかのように誰も話題に挙げなくなった
かく言う俺もあの時のことについて詳しく話す気も聞く気もなかった
そしていつも通り小町に仕事をさせてた時の話である
陽「…………魂狩り?」
小町「あぁ、私はまだ被害にあってないんだが同僚が何人か被害にあったらしくてね
割と思い罪になって幅の長さが長い魂がいる時に起きてるみたいなんだけど……………消えるんだってさ、いくつかの魂が」
小町が言うには少し前からその傾向があったらしい
だが三途の川の上で成仏した訳では無いらしいが生き残ってた他の魂に聞いたところなにやら黒い影が船を横切ったとのこと、その頃から魂狩りの噂が出たようだ
陽「けど魂が消えてるのは船の上……………んで三途の川の上だろ?しかもど真ん中の…………そんなことが可能なのか?」
小町「普通は無理さ
たとえ飛んでたとしても飛びながら三途の川を超えようとするバカはいない
あの世とこの世を繋ぐ川をたとえ飛んでたとしても超えられるのは数が限られているさ」
小町の言う『数が限られている』というのは恐らく幻想郷でそれなりに名がある奴らのことだろう…………だがそれでもかなりの人数が出されるから犯人と決めるのはまだ難しそうだ
陽「てかなんで魂………?取るメリットってなんかあるのか?」
小町「うーん…………肉体や内蔵と同じように魂も食べることは出来るよ
自分自身…………つまりは強くなろうとして魂を食らう自体もありえる話だからね」
強くなるために魂をか…………どう考えてもそれ肉とか食らうよりデメリットが大きい気がするな
小町「もっと言えば魂を食らって起きるデメリットは食らった魂が自分の魂よりも強かった場合まず存在そのもののが消えて逆に取り込まれちまうってことだね
まあ今回それをやってる犯人はそれが起こってないみたいだしそこそこの強者みたいだね」
陽「何で強いってわかるんだ?」
小町「簡単に言えばここに並んでる魂は今の所全部一般市民や低級妖怪ばかりだ
その魂を狩り続けて自分の糧としてる…………そんなことをすれば普通意志が溶けて混ざりあって自分がわからなくなっちまう
何せ取り込んだ魂の数が数だ
ヘタをすれば廃人一直線にもなりかねるもんだしね」
廃人…………確かにそうだよな
意思もあって考えることの出来る魂を取り込み続ければそんな弊害が起きても不思議ではない
陽「…………けど犯人はそんな危険を犯してまでも魂を取り込みたいって思ってるんだよな…………」
小町「……………一応、魂を食えばその寿命を伸ばすことも可能だって言われてるね
けどそんなの試そうとする人なんているわけないしね」
陽「まぁ…………そうだよな」
寿命が伸びる、今よりももっと強くなれると言われても自分が自分じゃなくなると言われちゃやるやつなんて相当の物好きか迷惑な自殺志願者しかいないだろう
陽「……………とりあえず、小町がなぜ狙われてないのかわからないけど……………ちょっと調べる必要が出てきたな」
小町「そういうと思って…………ほら、受け取りな」
そう言った小町は俺にある1枚の書類を渡してくる
………なんだこれ
小町「四季様から貰った書類さ
まぁ簡単に言えばここに住まわしてるんだからなにか良くないことが起きたら手伝ってねっていう強制の書類だよ」
なるほど…………たしかにこれはちょうどいいかもな、俺も調べようとしていたわけだし
小町「その書類の効果が有効な間はたとえ破かれたとしても問題ないし今請け負ってる仕事の全てが一時的に停止するんだよ
……………これであたいも気張らずに仕事をさぼれるってもんだ」
陽「聞こえてるし今言ったことと代わりを派遣させるように映姫に相談しておくからな」
小町「…………口に出さなきゃ良かった」
俺がいてようやく仕事するくらいなのにそんなのたとえ口に出してなくても分かりきってることだというのは言わないでおこう
なんとなく、だが
陽「とりあえず映姫のところに行ってくる
小町から教えてもらった情報だけじゃあ情報が足りないし襲われた舟渡しの人達の警備も一応やっておいた方がいいと思うしな」
小町「…………はいはい、行ってらっしゃい行ってらっしゃい…………」
サボれないと分かった時点で凄い落ち込んでるな
どうしてサボる時に見せるやる気を仕事で生かせないのか
嫌ならやめた方がいいと思うんだが…………とは言っても案外合ってるんだろうから止めないんだろうな、本人もなんだかんだ言って楽しそうだし
陽「…………陽鬼達に小町を見張らせておくか
必要な時に呼べばいいだろうし」
うわ見張られるのが陽鬼達ってわかった瞬間すごい嬉しそうな顔してる
何かで篭絡させようとする気満々だな
陽鬼はともかく他三人は大丈夫…………だと思う
なんだかんだ言って何かで釣られそうな気がしてくるんだよな……
陽「まぁいいや…………とりあえず行くか………」
話をとりあえず聞きに行くとしよう、ここで油売ってる場合じゃ無いからな
数時間後〜
陽「はぁー………………疲れた………にしてもほとんど収穫なしか」
小町の家を出てからとりあえず色んな人に情報を聞いて回っていた
無論、例の舟渡しの人も含めてだ
だがこれといった収穫も無かった…………得られた情報は小町とほぼ同じ
よってほぼないに等しい状況となってしまった
陽「他に何か聞けるような人いるかな…………」
魂達に聞いても全く意味をなさないしなぁ………他に誰か有力な情報を持ってる人って誰かいたかな…………
陽「…………考えてもしょうがない、地道に足を使って探すしかないんだよな」
とは言ったものの三途の川が1番証拠集めやすそうなんだよな…………けど直にあの川の水に触れようものなら死ぬだろうし舟渡しに乗せてもらって探すにしても穴居触れないから意味を成さない
そもそも渡ろうとしたら川の距離が変わるんだから探しようがない
陽「うーん…………どうしたものか………距離………距離か………小町に手伝ってもらえればもしかしたら行けるか?」
小町「あたいがなんだって?残念だけど手伝えそうにもないよ」
陽「うおぉ!?なんだいたのか!?」
いつからいたんだ本当に……全く気づけなかったぞ
小町「いたもなにもここはあたいの仕事の担当場所だよ
どっちかと言うとさっきの台詞はあたいが言うべきだろうね」
あぁなるほど………そう言われてみれば確かに小町の仕事エリアっぽいな
小町がサボってる時に使ってる大岩も近くにあるし…………ずっと見てたしよく分かるぞ
陽「………無意識で来てたみたいだ、すまん仕事の邪魔したな
俺も頑張るからお前も仕事頑張れよ」
小町「ちょっと待ちなって、三途の川の中に証拠があるから取りに行きたいって話以外なら聞いてやるからさ
何をどうしたんだいあんたは」
陽「何をどうしたい、って言われてもな………俺は三途の川の中を見たいんだけどそれは不可能だってわかってるし………そんで今小町に手伝ってもらおうかと思ったんだけどそれも不可能っぽいし」
はっきり言ってもうやれることを全部やり尽くしたと言ってもおかしくないだろう
小町「あー…………そりゃ悪かったね
でもこればっかりはあたいの良心でいってるんだよ、三途の川の水に触れるのはいい事が起きるなんてありえないし、デメリットしかないと思うからね」
そんなことは俺にもわかっている、だがこれでは頼まれたことが出来るとは到底思えない
時には何かしら危険な綱渡りをしなければならないというのもわかっている…………けど今回は小町の助け無しだと流石にキツすぎる
というかあまり仕事中の船渡しの邪魔をしたくない
陽「どうすればいいんだ………」
小町「…………囮作戦でもするかい?」
陽「………囮作戦?別に囮になるのは構わないけど……………相手が引っかかるとは思えないんだが……………」
俺が囮になる、って話しなら全く問題ない
だがこの場合での囮というのは船で三途の川を渡っている途中で、あの小さな足場の少ない船の上で小町と一緒に戦うという事にならないか?
小町「まああんたなら感づいてるとは思うけど………あの狭い船の上で戦うことになるって話さ………まぁあたいの能力を使えばある程度のカバーは出来ると思う」
小町の能力は距離を操る能力………だが、あくまで距離だ
船の上で戦うことになったとしても本当にカバーしかできなくなるくらいだ
陽「…………いや待て、犯人が乗った時に小町の能力を使ってどっちかの岸に激突でも何でもさせて無理やり陸に上がらせればいいんじゃないか?」
小町「…………まぁ、出来ないことはないだろうけどね、無理矢理陸に上げるってのは大分難しい話だ
……………けど、やらない価値がないわけじゃない」
小町の顔が若干の笑みを含める、と言うことはこの作戦に乗って………って大元を作ったのは小町だけど
とりあえずこの作戦に賛成でいいってことかな
陽「となるとまずはことが起こった時間をまとめてそこから犯人がどの時間で行動するかを推理しないといけない」
小町「と言ってもここは時間が分かりづらい土地だからねぇ……案外それを利用してやってるのかもね」
となると犯人には時間の確認ができる道具、もしくは方法があるってことか?道具なら無いこともないが今の時間が分からなければ不必要なものになるのは目に見えてる
さてどうするか……………
小町「………襲われた同僚の働いてる時間を確認してもっかい聞きに行けばいいんじゃないかい?それならなんとかできそうなもんだけど」
陽「……………そうするしかないか
小町はこれから…………仕事か?」
小町「そんなところだよ
けど同僚の方は仕事じゃなくて多分仕事終わってるやつもいれば終わってない奴もいる
ほれ、被害にあった奴の住んでる場所書いてる紙を渡すからさ
これ見てまた情報聞き出してきたらいいじゃないか」
そういいながら若干はだけてる服の内側から一枚の紙を取り出す
どこから取り出してるとかもう今更言ってもしょうがないことのような気がしてきた
陽「………ありがとう
あとあんまり人前でそういうことしたらダメだと思うぞ……………とりあえずありがとう」
小町「まぁまぁ、気にしなさんなって
四季様から直属の命令受けてるなんてプレッシャーだろうしちょっとした手伝いだからお礼なんていいよ」
ともかくこれで少しは捗るだろう
そう思って俺はその場をあとにしてまずはここから一番近い住所の人へ聞き込みをすることとなった




