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東方月陽向  作者: 趙餡
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小町ルート2

小町「んー!今日も元気に一日働いたねぇ」


陽「よく言うよ、途中何回か河原の寝やすそうな石を見つけては寝ようとしていたくせに」


小町「けどあたいはサボらずに無事仕事を終わらせたじゃないか」


陽「普通はサボらないもんだろうに…………」


彼岸に来てから数日、すっかり俺は小町を見張る仕事が板についてきた…………って自分で言っても何も嬉しくないな

正直人を見張る仕事って気持ち的な意味でこんなに苦行なものだとは思わなかった

が、やはりものは慣れというかなんというか…………すっかり慣れてきてしまったようである


小町「それはそうとこの後少し寄りたいところがあるんだが構わないかい?」


陽「ん?それは俺がついてきていいものなのか?いや誘うってことは誰かを誘っても問題ないって言うのはなんとなくわかるんだが」


小町が少し真面目な顔で聞いてきた

俺としては小町は基本笑っている………無論悪い意味ではなくいい意味で常に笑っているのだがあまり真面目な顔をしているのは見たことがないのだ一体どんな用なのだろうか


小町「そんなたいした用じゃないさ

ただ少し買い物に付き合って欲しくてね」


陽「あ、買い物か

ということは荷物運びだな…………まぁなるべく任せてくれ、力はある方だと思うから」


買い物と聞いて少し拍子抜けしたがどちらにせよ受けて欲しいと言われたのなら俺は喜んで受けよう

そして俺の台詞を聞いた小町が少し苦笑する


小町「なんだいそりゃ、仮にも男なんだからあたいより力がないと困るよ

というかその鉄球を振り回していて腕力に自信が無いってどういうことなのさ」


陽「あー、そういえばそうだな

すまん」


そういえば小町は俺が映姫から貸して貰ったこの鉄球を本物と信じていたんだったな

実は鉄球の本体はすごいぷにぷにしてるからたとえ当たったとしてもただ皮膚が痛いだけで済むんだけど鎖と持ち手の部分が本物なせいで本物だと勘違いしているようなのだ

それをついつい忘れてしまう


小町「なんだい、微妙に歯切れが悪いじゃないか」


陽「まぁ気にすんな、それよりも用事があるんだろ?さっさと買い物しに行こうぜ」


小町「…………確かにその通りだね、さっさと買い物しに行くとしますか」


まだ若干疑っているかのような声音と表情をしているがまぁこの場は無理やりだが誤魔化すことが出来ただろう……………多分

にしても買い物なら今まで付き合ってきたのに急にどうしたのだろうか………


小町「あたいにもやらなきゃいけないことがあるんだが…………どうせなら一緒にその場所まで行くかい?」


陽「ん?買い物の後に行くところがあるのか?」


恐らくその買い物でそこに行くところに持っていくものを決めるんだろうけど……………買い物で何を買うのだろうか?どこかへ行くため……そのどこかがわからないんじゃその後にどこに行くのかそこで何をするのかさえわからないなーーー












数十分後


陽「結構買ったな…………」


小町「出来ればもっと分けて持っていきたかったんだけどね………折角の男手だし使わないと損だと思ってね

ほらほら、力仕事頑張るんだろ?」



陽「いや、確かに頑張るけどさ…………これは多すぎないか?」


あの後小町の能力で人里まですぐ行けた、相変わらず便利だなこの能力は

そして今は俺が荷物運びをしながらどこかに運んでいる最中だ

小町も能力をちょこちょこ使っているみたいだがそれは買いすぎで荷物が小さい塔の様に積み重なっているのを持っている俺に対する配慮なのかそれとも気まぐれなのか……………何故か後者がすごくしっくりくるな


陽「それで?一体どこに行くんだよ

ここまで連れてこられたのにまだ俺一切何も聞かされてないんだけど………」


小町「もう少しで……………ほら、見えるかい?あそこが目的地だよ」


陽「んー……………?あれって………………墓場か?」


なんとか荷物の塔の脇から顔を出して目の前の場所を凝視する

そこは石で象られたものが綺麗な並びで大量に存在していた、俺はそれを墓場だと思った


小町「あぁ、あそこは墓場だよ

死んだ人を供養する為の大事な大事なものさ…………特に、あたいはあれの大切さをよーく知ってるからね」


陽「……………誰かのお墓参りか?」


俺が恐る恐る聞くと小町はあっけらかんとしながらすぐに答えた


小町「全員だよ、全員」


陽「全員って…………割とすごい数だぞ?」


小町「…………あの墓は全員彼岸で会ったことがあって……………それでそこそこ仲良くなった奴らなんだよ

まぁもう白だか黒だかの判決を言い渡されてるから今がどうなってるのかわからないけど…………せめて祈りは届かしてやろうかと思ってね」


陽「……………小町専用の墓場なのか?あそこに全員くることなんて確率が低すぎるなんて話じゃないぞ」


一人や2人ならまだ可能性があるかもしれないが目の前にある墓場は10や20を余裕で超えている…………確率論とかそんなもんじゃないぞ


小町「いや、もしかしたら実は逆かもしれない

『私が運んだ霊達がこの墓場』じゃなくて『この墓場に埋められたやつが私が運ぶようになっている』みたいなさ」


陽「なるほど…………確かにそれなら辻褄は合うかもしれないな」


しかしこの様子だと小町も事情を知らないっぽいけど……………うーん、知っているのは映姫だけなのか?けどもし知らないとなると彼岸と墓場の関係性がそういう風に世界が作られてるのかもしれないな


陽「……………そう言えば、小町と一緒だから何も気にしなかったけど………なんで死者の世界である彼岸に生者の俺達が入れてるんだ?」


小町「あぁあれはね…………死者と生者は同じようで微妙に違う世界にいるのさ

死者…………もしくは死にかけのやつは彼岸に来る、後者は基本追い返してるけど

けど生者は一応彼岸に来ることは可能だ、三途の川に入れば死ぬけどね

けどそれは妖怪の賢者、八雲紫がーーー」


陽「い゛っ……………!」


小町の話してる最中に不意に頭にくる激痛

まるで小町の話していたどこかに俺自身の頭が考えることを拒否したかのようなそんな感じの痛み


小町「…………どうしたんだい?なんかすごい顔してるけど…………具合悪いなら墓場についたら近くのとこで休んでおくかい?」


陽「…………いや、大丈夫………もう収まった」


小町「…………そうかい?兎も角墓場にはついたから荷物はこっちで預かっておくよ

一応ここも『あいつら』の所有地みたいなもんだし私が能力でパパッと終わらせないといけないしね」


小町が言っていることはもう耳から通り抜けてしまっている

それくらいに拍子抜けしてしまうほどにあっさり終わってしまったあの激痛は一体なんだったのかが気になる


陽「…………んじゃ俺はここで待っとくよ

何かあったら呼んでくれ…………まぁ能力使えばなんとでもなりそうだけど」


小町「あいよ、そっちも気をつけておきなよ

この辺りは少ないけど一応妖怪もいるんだしね

今のあんたにはあたいしかいないんだから無茶しない方がいいからさ」


そう言いながら小町は墓場に入っていく

普通に歩いているはずなのに凄く早く見えるのは能力を使っているからなのだろうか


陽「……………一人、か」


そして小町の姿が見えなくなった頃にまた俺は一人考え事をする

この幻想郷で、俺がいる意味とは何なのだろうか

よくよく考えてみれば俺は弾幕ごっこなんて出来やしない

弾幕っぽいのなら出せないこともないが割とすぐに霧散してしまうしはっきり言ってかなり近くで使わないと相手に当たることすらないだろう

そんな俺がみんなに勝てるのは陽鬼、月魅…………そして今は黒音、光がいるからだ

つまり俺は一人きりだとそこら辺にいるただの人間だ

霊夢のように空を飛べるわけでもないしな


陽「んじゃあ俺って……………ただの腰巾着……………いや、金魚のフンみたいなもんか」


ただただ足を引っ張る存在、そんな俺がどうしてこの世界にまるで滞在し続けているのだろうか

最初の頃こそ何も覚えていないから懇意にしてもらっていた

だが本当はあの時帰ってたら良かったんじゃないか?霊夢に厄介になるのなら俺は帰っていた方が…………良かったんじゃないか?


小町「なーに黄昏てんだい、あたいがいなくてそんなに寂しかったのかい?」


陽「……………まぁ確かに寂しい思いはしてるかもな」


ずっと同じことをぐるぐる考えているうちに小町が帰ってきていたようだ

全く気づかなかったがそれは多分俺が単純に気づいてなかっただけだろうし俺が悪い

そう考えている俺の顔をじっと見ている小町

顔に何かついてる…………なんてベタなネタをする気は無いがしかしずっと見られているのも中々気恥しい………というより反応に困る


陽「…………な、なんだよ

俺の顔になにかついてんのか?そんなじっと見て」


小町「…………うんにゃ、なんだか気難しいしてるもんで何を考えているのか考えていた」


陽「…………そうか」


そう素っ気なく返事をすると興味を失ったのか小町は俺に背を向ける


小町「………なるほど、あたいが1人がどうのこうの言ったからそれで考えている…………って考えているのかい?」


前言撤回、むしろ興味津々だった

素っ気なく顔を逸らしたのは答えがわかったからだったのか

やっぱりさとり何じゃないのかお前


陽「…………その根拠は?」


小町「いや?特にないよ

強いて言うなら女の勘、あんたより長生きしてるあたいの勘………その他諸々なあたいの勘…………かな」


陽「…………つまり100%勘だったってことか

その勘は外れてるな」


嘘だ、100%当たっているけど認めたくないから違うと言ったんだ

認めたくない、何でかそう強く思っている自分がそこにはいた


小町「ま、何にせよ…………もしあんたが本当に幻想郷で生きていく自信が無いのなら…………博麗の巫女にでも頼んだら返してもらえると思うよ

なんだかんだ言ってそれも仕事の一つではあるんだからね」


陽「帰る…………帰るのは……………」


『嫌だ』

そう言葉にしたかったのにできなかった

まるで何かが俺の邪魔をしたかのようにその言葉は俺の口からは出ることは無かった


小町「…………陽?」


陽「な、何でもない…………」


小町「そうかい?なら一緒に戻って酒瓶でも組みかわそうや」


そういう冗談交じりの会話をしながら戻っている最中、俺はずっと考えていた

ーーー何故1度目の幻想入りの時に俺は幻想郷から帰ろうとしなかったのかーーー


何か、なにか重大なことを忘れている気がするんだ…………何かが……………

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