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東方月陽向  作者: 趙餡
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小町ルート

陽「……………小町の監視をするよ

流石にサボるのはよくないと思うし……………やる時やってんだったらいいんだけど」


映姫「ふむ、分かりました

ではまずこれを持っていってください」


そうして映姫は服の内側に手を入れて双眼鏡を取り出す…………何故に双眼鏡?


陽「…………これをどうしろと?」


映姫「遠くから見ててください、もしサボってるようなら…………これを投げて対処してください」


そうして今度は壁を蹴る

そしたら壁がひっくり返って中から鎖付き鉄球…………の見た目をしたプニプニした何かだ

取り出し方にも突っ込みたいが何でこんなものまで入ってんだ


映姫「陽さんが言いたいこともわかります

まず壁ですが大抵こんなものが入っています

魂になっても生前の肉体の形をかたどった者も少なからずいます

そしてそういった者に対処する為、なおかつ魂に傷をつけないために見た目が派手で柔らかい素材を使った武器があちらこちらに埋め込まれています

まぁ大抵魂が肉体の形をかたどっている者は自分の行った罪を反省しているかそもそも白な人物ばかりですけどね」


なんとなく映姫の言っていることはわかるが…………なんでほんと鎖付き鉄球なんだ…………うわしかもこれ鎖本物だ


陽「でも川の向かい側からでもこれが届くとは思わないんだけど」


映姫「問題ありません

三途の川の長さはそれを渡っている者の罪の総計的な重さで変わります

そもそも罪がない物に関しては三途の川なんてないようなものなので充分に届きますよ」


まぁ……………届くと言うなら別にそれでもいいんだろうけど……………にしても誰もやってないと言ってる割には凄い準備が丁寧というかなんというか……………


映姫「前々から準備はしていたのですが使う機会がなくて本当に困っていたのです

陽さんが来てくれて助かりました」


陽「そ、そうか……………」


まぁ、プニプニしてて思いっきりぶつけても全然痛くないだろうしやっても問題無いだろうけど…………なんだかなぁ


映姫「では、お願いします

今から小町が基本的にいる場所の位置を教えますのでそこの対岸側にいてください、サボっていたら真っ先にぶん投げても構いませんからね」


陽「あ、あぁ………………………」


こうして俺は少しおかしなサボりの観察役となった

なんで偽物とはいえ鉄球を振り回さないといけないんだ……………










陽「いたいた、あそこにいるな」


対岸側に移動してから双眼鏡で確認、にしてもほんとに距離なんてないのか?双眼鏡が無いと全く見えないんだが……………


陽「って大きめの石を背もたれにして河原で寝始めたぞ……………痛くないのか?」


絶対石が刺さって痛いだろうに…………ともかく俺は、鉄球を回してその遠心力を使って距離の限界まで伸ばすために………投げるっ!!

すると鉄球が…………というか目の前の川の範囲内に入ると『まるで元々』その長さだったかのような感じで小町のところめがけて飛んでいく

…………ほんとにどうなってんだこの川


小町「今日もいい天気…………………うん!?」


飛んできたものを目で確認してから咄嗟に手持ちの鎌で叩き落とす

そういやあの鎌はあんなに波打ってる形してるけど絶対切れないよな


小町「びっくりしたねぇ………………陽!流石にやりすぎじゃないのかい!!」




あれ?小町からは俺の姿がどうやら見えているらしい

小町の能力だと距離を縮めるだけだから咄嗟に俺だとわかったのには凄いけど…………


小町「まったくーーー」


双眼鏡で見ながらだが、溜息をついたと思ったらいつの間にか小町の姿が消えていた


陽「うおっ!?」


小町「あたいの能力のこと忘れてんじゃないだろうね?いやあたいの能力関係ないけどね」


そしていつの間にか俺の後ろに

恐らく小町自身の能力を使って移動したんだろうけど…………俺の姿が見えたことに関しては能力が関係ないって言いたいのか?


小町「あたいからしてみれば三途の川の長さはそこら辺にある河原の川と同じくらいさ、そして物からしてみれば三途の川の長さは0だ

だからこそ鉄球はあたいに届いたんだよ」


陽「それ確か映姫も言ってたな……………じゃあ何か?双眼鏡を使わないと向こう側が見えない俺はどういう理屈でそんなに長くなるんだ?」


それを言うと小町は困ったような顔をして言葉を紡いでいく


小町「あー……………あんたはその、あれだ……………というかほかの人間にも当てはまることなんだけど……………三途の川の長さは当人の罪の重さによって決定づけられるんだよ

つまり、双眼鏡を使わないと向こう側が見えないあんたは本来かなりの罪の重さのはずなんだけどねぇ………」


なにやら困った表情になっている小町、いきなり罪の重さがどうのこうのって話をされて少し困惑しているが小町すらも困惑する様なことがあるのだろうか?


小町「…………普通、自分の罪を再認識できるように三途の川を渡る時、ある程度罪が重いやつは霧が濃くなって前が見えなくなるんだ

けれどあんたは距離だけが長くて霧がないってよくわからないことになってる

罪が重いってことはわかるんだけど霧がないっていうことがよくわからなくてねぇ…………」


…………そう言えば確かにかなり景色が良かった

双眼鏡を使わないと向こう側が見えないっていうのはあるけどそれでもかなり景色がいい方だと思っていた

全く気にしてなかったがそれが異常だったんだな


小町「…………ま、あんたを放っておいてまた鉄球振り回されちゃかなわないからしばらく真面目に仕事するよ、しばらくはね」


陽「…………映姫が言ってたけどサボってるようなら鉄球を問答無用で力いっぱい叩きつけても問題ないってさ」


小町「んなっ!?四季様あたいを殺す気かい!?いやそんだけ怒ってるってことなんだろうけどねぇ……………しばらくは目立たないようにちゃんと仕事しておくとしますか…………」


…………もしかしてこの鉄球を本物と勘違いしてるのかな小町は

本当のことを言ってやりたいが映姫には仕事をサボらせないように言われてるし仕方ないからこの嘘を貫き通すか


陽「…………あ、ところでさ

一つの船に複数の魂を乗せればなにか弊害でもあるの?」


少し気になったことだ、映姫に聞いても良かったのだが鉄球やら双眼鏡やらで聞くのを忘れていた

小町は当の本人だし聞いてもいいだろう


小町「ん?あぁ、その船に乗ってる全員の罪の重さが加算されて合計で距離が伸びていく」


陽「それ本当にやっちゃいけないやつじゃないか

何してんだお前」


小町「私の能力を使えば早いしねぇ…………問題は無いと思ったからね」


合理的っちゃ合理的だがそれは所謂不正を行ってることにならないのだろうか

罪の重さを再認識しないといけない、今までの罪を懺悔しないといけないのにそれが異様に短かったり長かったりすると魂たちも困惑しそうだ


陽「それ今度からやらないほうがいいと思うぞ

下手をしたらクビになりかねないぞ」


小町「クビは困るねぇ…………この職場以外にこの能力活用できる職業があるとは思わなんだ」


そんなこと思ってなさそうな顔でそう言う小町

………そう言えば、小町って死神だっていうことはわかるんだけどーーー


陽「小町って職業が死神なのか種族が死神なのかどっちなんだ?」


小町「…………さて!仕事しますかねぇ!!」


あ、誤魔化したな今

ということはこれ聞いちゃダメなやつか、しょうがない…………聞くのはやめておいて別のを聞くとしよう


陽「…………で?小町の監視とは言ったが俺は一体いつまで小町を見張っておかないといけないんだ?」


小町「あたいが仕事を終わらせるまでじゃないかな………………ってそうなると少なくとも交代するまでずっと見てもらわないといけないってことかい?」


陽「いや俺に聞かれても困るんだけど…………」


実際映姫は何も言ってなかった、そう考えると映姫は小町と同棲しろって言ってるようにしか聞こえないんだが……………


小町「四季様が休むところって割と多いから聴ける時に聞けばいいんじゃないのかい?」


陽「え?閻魔って休めるもんなの?」


ってよく考えたら俺が目を覚ました時に部屋にいたよな、ということはあれは休みがてら様子を見に来たってことでいいのか…………?


小町「あるに決まってるだろ?妖怪ですら休まないといけない時があるっていうのに四季様が休んでないとなると四季様の体力は下手をすれば妖怪以上になっちまうよ」


陽「それもそうだ、ずっと仕事してるやつなんてそうそういないもんな」


仕事人間って言っても仕事ばっかりだと疲れちまうよ

妖怪だって人間だってずっと同じことしとくのは流石に辛いもんさ…………時間の幅が違うだけで同じことを何度も繰り返すのは流石に辛いもんだよ


小町「お、そうそう

一つ思い出したんだけどさ」


陽「なんだよ」


小町「その鉄球どうするんだい?まさかあたいを見張ってる間ずっと振り上げ体制をしているわけでもないだろう?」


陽「………………」


小町「おい!何とか言ってくれよ!!流石にそう何度も振られるのはあたいの体力が尽きちまうよ!主に緊張で!」


これに関しては正直に答えたら映姫に怒られそうな気がするし黙っていよう、その方が小町は真面目に仕事しそうだし

俺が黙っているとついに諦めたのかため息をついて持っていた鎌の柄で自分の肩を軽く叩きながら船へと向かう


陽「どこへ行くんだ?」


小町「仕事に決まってるじゃないか、こうしないとあたいの体力がさっきも言ったように緊張で磨り減っちまうよ」


疲れたかのような声音で俺に背を見せながら手をヒラヒラと振って離れていく小町

それに対して俺はその場を動かず双眼鏡を再び取り出し向こう側を見る


陽「……………これすごい退屈なんだろうな」


この時になって仕事のミスしちまったんじゃないかと疑うばかりである











それから数時間後〜


小町「…………あんたずっとここにいたのかい?よく体が疲れなかったと感心するよ」


陽「正直途中からかなり苦行だった、何時間も同じところ座れないから歩きながら見張ってた」


その途中で気づけば魂達が周りをふよふよしながら飛んでたから何事かと焦った瞬間もあったが船渡しの船が来た時には皆散らばっていったということは言わないでおこう


小町「あのさ…………さすがにそう何時間も見続けられるとあたいもなかなか嫌な気分になるよ…………?というより、あんたの体力も相当やばいんじゃないのかい?」


陽「体力というよりここまで退屈なものだってことがわからなかった」


もしかしてこれずっと見続ける仕事じゃないんじゃないだろうかと思い始めてきた


陽「……………少し加減するか」


小町「ぜひそうしておくれ、あたいも四季様の知り合いが仕事で人をずっと見るだなんて犯罪をしているだなんて信じたくないからね」


何で見るだけで犯罪なんだ…………と思っていた矢先、俺の考えていることがやはり顔に出ていたのかわざとらしく俺の顔に胸を近寄らせてこう言ったのだ


小町「ほら、あたいってこういう服装だから谷間見えちまってるだろ?」


陽「よし、今日早速サボってたって映姫に言ってやるからな」


小町「ちょ!冗談だからやめておくれよ!!四季様の説教長いんだからさ!!」


俺だって無論知っている、映姫の説教は最低でも1時間はかかるって事を

もっといえばその間背筋を伸ばして例えそこがどこであろうが構わず正座させることも知っている


陽「そう思うのなら説教されないようにサボらなきゃいけないんじゃないか?サボるって言うかこれはどっちかと言うと仕事を悪い意味で合理的にしてるだけだが」


小町「うぐっ………確かに正論だけれどもさ…………」


解っているのについついしてしまうというのはよくわかる、小町がそうなんだから小町と比べると恐らくまだ子供である俺がそういうのも良くしてしまう


小町「はぁ…………とりあえず今日はもう仕事終わりだし帰ろう……………」


そう言って小町はとぼとぼ歩いていく

後に俺が密告したせいで呼び出しを食らって説教三時間コースを小町は食らっていたが流石に悪いと思ったので適当な酒を買って家の前に置いておいた

入る前に確認したが喜んで飲んでいたようで良かったと思っている

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