鈴仙&てゐルートBADEND
……………動く、隙を見計らって動くことにしよう
ちょうどあいつが後ろに下がっていけば裏道とはいえ十字路のような形になっている
曲がろうと曲がるまいと一瞬の隙が出来るはずだ…………そこを狙う
ツキカゼ「……………よし、そのまま全員動くんじゃないぞ…………動くんじゃない…………」
鈴仙を人質にとったまま下がっていく
もう少し、もう少しなんだ……………
てゐ「鈴仙……………」
ツキカゼ「……………」
一瞬、奴の視線が曲がり角に向けられた
その一瞬を俺は見逃さながった
陽「っ!」
ダッシュで駆け抜けていき
小石を掌に創造しながらやつの顔面に投げつけるように投げる
その投げつけた小石はーーー
ツキカゼ「ーーーやはりここで仕掛けてきたか
狙いがバレバレなんだよ
だから貴様は甘いというんだ」
奴には当たらず、当の奴は俺の後ろにいた
陽「なん…………だと……………!?」
ツキカゼ「お前がどのタイミングで攻撃するかなんてはなから見えていたんだよ」
そして、奴は手に持った剣を一直線に俺に振り下ろした
陽「がっ…………」
背中に激痛が走る
とても、とても痛い
走っていた勢いもあってか俺はそのまま転び、少し滑ってから止まった
てゐ「陽!」
鈴仙「陽!!」
どうやら鈴仙は解放されたようで移動せずにそのままその場所にいた
ツキカゼ「お前らが何もせずに引けば命は見逃してやる」
鈴仙「陽を見捨てろっていうの!?」
ツキカゼ「そういう事だと言っている
この男は貴様らにとって………いや、幻想郷にとって害悪でしかないんだ」
陽「………な、にを……………」
こいつは何を言っているんだ
俺がこの世界にとって害悪だと?
何を根拠に…………
鈴仙「そんなわけないわよ
少なくとも貴方の方が害悪よ」
ツキカゼ「そうか、俺が害悪か……………まぁそうなのかもしれないな」
陽「………鈴、仙…………」
鈴仙「待ってて、ここを切り抜けたらすぐ治療してあげるから」
ツキカゼ「ふん…………治療なぞする暇は与えんに決まってるだろう」
鈴仙「っ……………」
陽「逃げ、ろ…………」
俺は激痛の走る背中を無視して立ち上がる
痛みが警告のようにズキズキと俺の意識を刈り取ってくる
鈴仙「陽!?」
陽「こいつは………俺が…………」
フラフラしながらも剣を構える
確かにとてつもない痛みがあるが戦えないほどではない
腕は動く、足も動く、なら戦える
ツキカゼ「こいつも同じことを言っている
何を躊躇う必要がある」
陽「理由は全然違うだろうが……………何が同じなんだよ」
ツキカゼ「結果が同じなら過程なぞ関係ない…………違うか?」
陽「違うな……………過程にこそ…………意味があるんだ…………」
やばいな…………意識がぐらついてきた……………気を抜けばそのまま吹き飛ぶような速さで俺は意識を失うだろう
まだ鈴仙達が逃げてない
というか
陽「早く逃げてくれよ………………」
鈴仙「何を言ってるのよ!」
てゐ「私達がこんなところであんたを見捨てるほど馬鹿じゃないっての知らないの!?」
………………優しいってのはこういう時に足を引っ張るのか
俺はこいつらを逃がしたいのにこいつらは優しいから俺を守ろうとする
それが無性に……………腹が立つ
陽「いいから…………早く永琳達のところに戻れ……………!!」
精一杯の威圧を込めた視線で鈴仙達を睨む
正直怒りも含まれていたんだと思う
それが伝わったのか
鈴仙「…………分かった、けど無理はしないでね」
鈴仙はてゐの手を取ってそのまま引っ張っていった
てゐ「鈴仙!?なんで引っ張るの!まだ陽が!!」
鈴仙「いいの!!私達はお師匠様達を予備に行くわよ………!!」
その叫び声を最後にてゐは何も喋らなくなり、そして二人の姿も肉眼では見えないくらいになった
陽「……………これでいいだろ?」
ツキカゼ「あぁ、と言ってもそれはお前が望んだものだ
お前が望まなければ全員ここで殺していた…………あぁ、殺していた」
自分に言い聞かせるような、そんな含みを込めたような気がしたが気のせいだろうか
……………まぁ、関係ないか
陽「お前はここで倒す」
ツキカゼ「今にでも気絶をしそうなやつが何を言っている…………馬鹿なのか?」
陽「あぁ、馬鹿さ
超大馬鹿だろうな俺は…………けど、今回はこれでいいんだ………これも…………一つの……………結末…………だからな……………」
やば……………意識が混濁してきた……………自分でも何言ってるのか全くわかんねぇや……………
ツキカゼ「一つの結末……………か、まるで他の結末を見たように聞こえるが……………まぁ貴様の妄言だとしておこう」
陽「うるせぇよ………………ほら、来いよ
こっちにはてゐの幸運があるからそう簡単には死なねーぞ」
ツキカゼ「幸運で死なないのなら…………不死薬なんていらぬだろうに!!」
陽「それもそうだな…………」
さて……………どこまでやれるのやら………………
鈴仙「お師匠様!!」
永琳「う、優曇華?一体どうしたの?」
鈴仙「早く来てください!!陽が…………陽が!!」
永琳「落ち着きなさい、陽に何かあったの?」
鈴仙「そ、それが………変な男が道中現れて…………そいつに陽が切られて陽が瀕死なんです!!」
永琳「…………まぁかなり雑な説明だけれども、一応理解はしたわ…………諦めなさい」
鈴仙「ど、どうして…………」
永琳「分からない?貴方は瀕死の人間をその男のところに置いてきてしまったのでしょう?ならどう足掻いてももう殺されているわ……………それが分からない貴女ではないはずよ、優曇華」
鈴仙「そ、それは…………」
永琳「………話はこれで終わりよ、早く人里に戻って仕事をしてらっしゃい」
てゐ「そ、それはあんまりにも酷くない!?」
永琳「…………私からすれば、酷いのはあなた達のほうね
瀕死の人間を見捨てておいてその言葉はどこから来るのかしら?」
てゐ「う………………」
永琳「早く戻りなさい……………今日は、綺麗な満月が出る日よ」
輝夜「…………綺麗な満月、されどその月はまるで血の色のように紅に染まった綺麗で不気味な夜…………1人のある男が死に悲しんでいるのやら、祝っているのやら
普段黄色い月は彼の血の色に魂を持って染まる
怒り、悲しみ、諦め、期待、喜び…………貴方はどんなことを考えながら死んだのかしら…………陽
因幡達は無事に家に帰ったわ、人里の異変も終わったわ、あなたを殺したやつも遠くに行ったわ……………貴方はこれ以上、何を気にかけるのかしらね………………おやすみなさい、月風陽
次は………………永琳が相手をするみたいなのだから…………私は永琳の後、かしらね」
BADEND




