第3章7話 異世界初の巨大モール開店!〜しまくらの実用性とユニクオの機能美の前に、全異世界人がひれ伏す〜
「クハハハ! 見よ蓮! これが我が魔王軍の新たなる巨大要塞……ではなく、商業の城だな!」
異世界の広大な平原に突如として爆誕した、白と赤の巨大な建造物。
そこには異世界の言語と並んで、現代日本人が見れば一目で卒倒するようなロゴ――『メガしまくら & ハイパーユニクオ』の文字が神々しく輝いていた。
売上金10万ポイントを限界まで注ぎ込み、ついにグランドオープンを迎えた実店舗の巨大ショッピングモールである。
「よし、お前ら。今日からここが異世界の物流の中心だ。まずはスタッフ(身内)のお披露目からいくぞ!」
俺――蓮の合図とともに、自動ドア(異世界人からすれば超高度な自動開閉結界)から、新衣装に身を包んだ面々が次々と現れた。
「蓮サマぁ! この『ハイパーユニクオ』の『うるとららいとだうん』ってやつ、信じられないくらい軽くて暖かいですぅ!」
王道のミニスカサンタや振袖から一転、スポーティーかつスタイリッシュな防寒着を纏ったリリス。あえて前ジッパーを少し開け、中のタイトなリブニットでボディラインを強調するスタイルは、サキュバスの魅了スキルを限界突破させている。
「私はこの『メガしまくら』で仕入れた、ちょっとギャルっぽい裏起毛スウェットにしてみたわ。動きやすいし、ダボッとしたシルエットが逆に可愛くない……?」
シルフは、しまくら特有の絶妙なトレンド感を押さえたカジュアルコーデ。網タイツから一転して「ストリート系のオシャレ女子」へと変貌を遂げ、新たな属性を開拓していた。
そして、前回の初詣でみたらし団子に釣られて拉致された隣国の第一王女、エリザベートが、自身の変貌ぶりに顔を真っ赤にしていた。
「な、何なのですかこの『ひーとてっく』という極薄のインナーは……! 魔法の付与もされていないのに、肌に触れているだけでじわじわと熱が湧いてきますわ! 私の国の最高級の毛皮が、ただのゴミのようですわ……!」
彼女が着せられているのは、ユニクオが誇る現代日本のテクノロジーの結晶。その上からしまくらの上品なチェックスカートを合わせ、すっかり「モールの看板娘」として完成させられていた。
「クハハハ! 我が輩のこの、機能性と威厳を兼ね備えた漆黒の外套も見事なものだ! これならいつでもドンキの駐車場に立てるぞ!」
「グルルル……(主よ、この『極暖』とやらは、我のドラゴンスケイル(竜鱗)よりも通気性がよくて暖かいぞ……)」
漆黒のフリースを着て完全に近所の優しいおじさんと化した魔王と、特大サイズのフリースを腹に巻いたバハムート(竜王)も、現代の繊維技術の前に完全敗北していた。
「よし、準備はいいな? 開店だ!!」
「な、なんだこの果てしなく広い空間は……!? 迷宮か!?」
「おい見ろ! この棚に並んでいる服、どれも信じられないくらい縫製が綺麗だぞ! 糸のほつれが一つもない!」
「しかも安い! 銅貨数枚でこの肌触りのインナーが買えるだと!? 狂っているのか!?」
店内は一瞬で大パニックに陥った。
これまで異世界の服といえば、ゴワゴワした麻か、クソ高い毛皮、あるいは重い鎧しかなかったのだ。そこに突如として現れた「安くて、軽くて、頑丈で、機能性が極限まで高い日本の私服」。売れないわけがない。
特に『メガしまくら』のエリアでは、試着室から悲鳴にも似た歓喜の声が上がっていた。
「お、おい! この服、私の体型にピッタリだ! ドワーフのずんぐりした体にも馴染む伸縮性……しまくら、恐るべき技術力だ!」
「この『もこもこパジャマ』、肌触りが良すぎて一生脱ぎたくないエルフ~……」
さらに『ハイパーユニクオ』のエリアでは、他国のギルドマスターや騎士団長たちが、一着のジャケットを囲んで驚愕していた。
「防風・防水、かつこの軽さ……。我が騎士団の重い鉄の甲冑など脱ぎ捨て、全員この『ぶろっくてっくぱーかー』を支給すべきでは……!? これぞ至高の軍装だ!」
圧倒的な口コミは一瞬で広がり、レジには長蛇の列ができた。
自動レジ(商品を置くだけで一瞬で計算される魔導具)を通るたびに、チリンチリンと蓮の脳内に売上ポイントが爆発的な勢いで加算されていく。
「ふ、ふふふ……すごいわ蓮、売上が大変なことになってるわよぉん!」
「蓮サマ、もう倉庫の在庫が足りなくなりそうですぅ!」
悲鳴を上げるシルフとリリス。だが、大富豪となった俺の辞書に「在庫切れ」の文字はない。
「問題ない、Shopsで無限に一括補充だ! 異世界の衣服をすべて『しまくら』と『ユニクオ』の二色に染め上げてやれ!」
他国の王女エリザベートも、最初は恥ずかしがっていたものの、今や自国の商人が買い出しに来ているのを見つけ、ダウンジャケットをはためかせながらビシッと指を差した。
「そこのあなた! 国の兵士たちに冷え性は天敵ですわ! 早くその『ひーとてっく』を箱買いしなさい! 広告塔の私が保証しますわ!」
「は、はいぃっ! エリザベート様がそこまで仰るならぁっ!」
王女の知名度を活かした悪魔的マーケティングにより、モールの売上はさらに加速していく。
異世界の商業、物流、そしてトレンド。そのすべてが、蓮の手によって完全に支配されようとしていた。
「クハハハ! 蓮よ、このまま異世界中の人間も魔族も、全員同じフリースを着せて『メガしまくら』の民にしてやろうぞ!」
ぬくぬくのダウンジャケットを着た蓮は、熱気に包まれるモールを見下ろし、不敵に笑うのだった。




