第3章4話 重課金ボスvs限定トレカ!「勇気王」と「パチモン」のオリパ罠
ついにあの有名カードゲーム達が!!!
「ククク……店の在庫ごと、この俺が『リアルマネー(裏取引)』で買い占めてやろう!」
空中から傲慢に見下ろす、重課金廃プレイヤーの魔剣士カイザー。
奴の足元には、他サーバーで裏取引(RMT)を繰り返し、システムを崩壊させて手に入れたという、ドス黒い魔力を放つ大量の「違法ゴールド」が唸っていた。
「蓮、大変よ! 奴の持っているゴールドは、運営の監視を掻い潜るための不正バグデータよ! もしあれをショップの売上として受け取ったら、今度こそお店ごと一発で永久閉鎖(垢BAN)されるわ!」
ピンクドレスのリリスがスマホの規約画面を指さして叫ぶ。
(チッ、裏金で在庫を買い占めて、こちらの Shops アカウントを汚染する気か……。だがな、重課金プレイヤー。お前がどれだけ金(不正データ)を持っていようが、現代日本の『カードゲーマーの狂気』の前に、その程度の資金力で太刀打ちできると思うなよ……!)
俺――織田蓮は、現在のショップ売上金【45,500ポイント】の莫大な資産から、事業者専用モールの検索窓に指を叩きつけた。
『新品 勇気王カード レアコレ カートン仕入れ』
『限定 パチモンカード ヒーヒエの誘惑 BOX』
それは、現代日本で時に数千万円、数億円で取引され、大人たちを狂わせる最強の資産(紙切れ)――限定トレーディングカードである。
『【公式Shops限定】勇気王(YU-KI-OH)レアリティコレクション・50BOX(カートン入り)。送料込み 20,000ポイント』
『【初回生産】パチモン(PACHIMON)カードゲーム「お嬢様の誘惑」プレミアム限定BOX・10入。送料込み 20,000ポイント』
「大人の財力を一瞬で溶かす、紙の絶対神……! 合計40,000P、ショップ決済ォォォ!!」
ピコン♪
【ショップ仕入れが完了しました! レジカウンターへ転送します】
カイザーがコンテナの服を強奪しようと闇の魔剣を抜いた、まさにその瞬間。
俺の目の前のレジカウンターに、ピカピカと輝くお洒落なデザインの小さな「箱」が大量に、うずたかく積み上げられた。
「……ん? なんだその、ただの薄っぺらい紙切れの束は。我がリアルマネーに恐れおののき、子供のオモチャで命乞いか?」
カイザーが鼻で笑う。
「ただの紙切れだと? 笑わせるな。これは現代日本の最高峰の資産形成アイテム、カードゲーム界の伝説――『勇気王カード』と『パチモンカード』の、市場に一切出回っていない【完全限定生産BOX】だ!!」
俺は箱の中から、ホログラム加工で虹色にギラギラと輝く、最高レアリティのカードを2枚引き抜き、カイザーの眼前に突きつけた。
「見ろ! こちらは勇気王カードの最高峰、
【パープルアイズグリーンドラゴン(通称 赤艶)】!
そしてこちらはパチモンカードの入手困難品、【ヒーヒエ(SR)】だ!!」通称 がんばひヒーヒエ
その瞬間、カイザーの目に内蔵された「アイテム査定機能」が、2枚の紙切れを捉えて激しくアラートを鳴らした。
ピピピピピピピピピピピピ!!!!!
『警告。対象のアイテムから、多次元宇宙の時価総額を揺るがすレベルの『希少価値』の概念を検知。この小さな紙切れ1枚の推定価値――我が不正ゴールド『100万枚』に匹敵……!』
「な、何だとォォォ!? ただの紙きれ1枚が、我が重課金装備よりも高いだと……!? 馬鹿な、そんな理不尽なステータスがあってたまるか!」
カイザーの顔面が驚愕で真っ青に染まる。
異世界の住人(および廃プレイヤー)から見れば、それは【ただそこに存在するだけで、全世界の富豪やコレクターたちの精神を狂わせ、紙切れ1枚のために国家の予算すら動かせる、天界の絶対資産『狂気と魔札』】。
日本のカードショップが長年のレアリティ商法で生み出した「コレクター魂」の前に、異世界の重課金プレイヤーの資金力など、ただの「お小遣い」に過ぎなかった。
「ククク……面白い。その紙切れ、否、その『聖札』の在庫、すべて我が資産で買い取って――」
「おっと、Shops の規約上、直取引は厳禁だ。お前がその不正ゴールドを全部ヘルカリの『ポイント』に正規チャージ(変換)するなら、このカードの在庫を賭けた、 Shops 限定の【1回1,000Pの特製オリジナルパック(オリパ)自販機】を回させてやってもいいぜ?」
俺はネームランドで手早く作った『勇気王&パチモン 激アツ!1回1000円オリパ(※当たり演出あり)』のポップをコンテナの横に貼り付けた。
「オリパだと……!? つまり、我が金をポイントに変えてガチャを回せば、その数千万の価値があるカードが手に入るということか! フハハ、お前はバカだな! 我は数々のスマホゲームで『天井』を叩き叩いてきた伝説の廃課金兵! ガチャで我が財力に勝てると思うなァァァ!!」
カイザーは目を血走らせ、持っていた違法ゴールドをヘルカリのシステム(正規チャージ)に全額ぶち込み、怒涛の勢いでオリパの即ポチ(決済)を連打し始めた。
ピコン♪ ピコン♪ ピコン♪ ピコン♪
『【購入】オリパ1回目:ハズレ(ただのパチモン・サバキング)』
『【購入】オリパ20回目:ハズレ(ただの勇気王・強力な壺)』
『【購入】オリパ50回目:ハズレ(ノーマルカードの束)』
「おかしい! なぜ当たらん! 我はもう5万ポイントも溶かしているのだぞ!?」
「フッ、甘いなカイザー。これが日本のカードショップが誇る『闇の確率(ハズレの山)』だ。当たるまで回さなきゃ、確率はゼロと同じだぜ?」
「おのれえええ! 出るまで回せば確率は100%だァァァ!!!」
完全に「オリパの魔力(ガチャの沼)」に取り憑かれたカイザーは、狂ったように決済ボタンを連打。奴が他サーバーから不正に集めていたゴールドは、ヘルカリShopsの正規ポイントとして、我がショップの口座へ滝のように吸収されていった。
ピコン♪ ピコン♪ ピコン♪
【売上金:30,000P】
【売上金:70,000P】
【現在のショップ所持ポイント:105,500P(ついに10万ポイント突破!)】
「が、ガハハ……我が……我の、全財産が……ただの紙の束(サバキング100枚)に……」
光が収まった時、あれだけ傲慢だった重課金ボス・カイザーは、すべての資産と魔力をオリパの沼に買い叩かれ、床に四つん這いになって「…パ、パープルアイズ…ヒーヒエ…どこ…」と虚ろな目でブツブツと呟いていた。
衣服(魔装備)のすべてのステータスをガチャの対価として吸い取られたカイザー。全年齢対象のこの小説において、これは精神的に最もグロテスクな「爆死(自己責任)」の瞬間であった。このままでは読者の心がBANされる。
だが、ショップ店長の俺は、最後まで顧客(爆死した廃人)へのケアを怠らない。
「安心しろカイザー。お前は100回もお店に貢献してくれたからな。ショップの特典として、これをプレゼントしてやるよ」
俺は「しまくら」のコンテナの奥から、今回の仕入れで1着だけ混ざっていた、日本の全ゲーマーが深夜のコンビニに行く時に必ず穿いている、あの伝説のズボン――。
横に白い2本の線が入った「しまくら安心価格の黒いジャージ下(1,200円)」を引っ張り出し、床のカイザーに投げつけた。
「ほら、それ穿いて実家に帰れ。部屋着にぴったりだろ」
「う……あ……。横の2本線が、我が廃課金のアイデンティティ(線の数)を優しく満たしてくれる……。ジャージ、すごく動きやすいです……」
魔剣士カイザーは涙目で絶望しながら、しまくらのジャージを穿き、実家で一日中ゲームをしているプロのネトゲ廃人のような姿へと完全デグレードした。
【現在のショップ所持ポイント:105,500P】
【アカウントステータス:超大富豪モード】
「よし、規約違反の重課金ボスも、オリパの力で合法的に実家へ送還完了だな!」
こうして、現代日本のトレーディングカードバブルの前に、異世界の重課金プレイヤーすらも完全無力化した俺たちの前に、ショップ画面からさらなる「超ド派手なシステムアナウンス」が流れ出した。
それは、売上金が10万ポイントを超えたことで、このお店がさらに『とんでもない規模』へと進化することを示す通知だった。




