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05 転生

第1章 転生と幼少期

「おぎゃああああああ……!!」


(はっ……? えっ、泣き声?)


そこで、理解した。


――やはり、転生したのだと。


「おめでとうございます、奥様。元気な男の子です」


「……ええ……」


重く響く足音が、廊下の奥から近づいてくる。そして、勢いよく扉が開いた。


「エリシア! 男か!」


「は、はい、アルヴェルト様。男の子です」


「では――『ノア』だな」


「はい、ノアです」


「よくやった!」


その瞬間、辺境グレイヴェルを治める領主アルヴェルトと、その妻エリシアの四男――ノアが誕生した。


そして。


令和の時代を生きた田中悠真、40歳。彼の新たな人生が、ここから始まる。



(……なんか、とんでもない世界に来たな)


僕――いや、ノアは、前世の記憶を持ったまま、母エリシアに抱かれていた。


部屋の雰囲気は、中世ヨーロッパを思わせる。石造りの壁、重厚な家具、そして整った衣装の人々。


すぐ近くで僕を見下ろしている、厳格そうな男。おそらく、あれが父だろう。


周囲には侍女と思しき女性たちが数人控えている。


(……これは、かなりの金持ちの家だな)


令和の感覚でも、それはすぐに理解できた。


「あう……」


当然だが、言葉は出ない。身体も思うように動かない。


どうやら、スペックは完全に0歳児らしい。


ただし――


(頭の中だけは、別だな)


日本という豊かな国で、昭和・平成・令和と40年生きてきた記憶と知識。それを丸ごと持っている。


(……これ、チートってやつじゃないか?)


そんなことを、ぼんやりと考える。


――とはいえ。


生まれたばかりの無力な身体で、大勢の大人に囲まれている状況は、少しばかり気恥ずかしい。


(……なんか、めちゃくちゃ見られてるんだけど)


そんなことを思った矢先。


急激な眠気が襲ってきた。


(あ、これ……抗えないやつだ……)


意識が、ゆっくりと沈んでいく。



「これで、フィルド家もますます安泰ですね」


「ああ。息子たちそれぞれに、役割を持たせねばな」


和やかな空気が、部屋を満たしていた。


挿絵(By みてみん)

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