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26 集団異常の発生

森の中で生活を始めて、約一年が経とうとしていた。

僕は誰とも過ごさない、13歳の誕生日を星空の下で迎えている。


「こんな孤独な13歳、この世界にいるのだろうか……」


そうつぶやいてみるが、かえって寂しさが増すだけだった。


今日は静かな夜だ。

だが、ここ数か月は多くのモンスターと戦ってきた。


一年前は、一日に一体遭遇するかどうかという頻度だった。

それが今では、一時間に一体以上遭遇するほどに増えている。


もちろん、スキル《生命反応感知》のおかげで見つけやすくなった、という側面もある。


だが明らかなのは――

普通の動物が減っていることだった。


(動物のモンスター化……?)


そう考えるのが自然だった。


動物とモンスターの違いは、見た目が明確に異なるものもいる。

だが、獣系モンスターに限れば、見た目だけで判断するのは意外と難しい。


もし何らかの影響でモンスター化が進んでいるのだとしたら――

それはかなり大きな問題だ。


地域の治安どころか、国全体に関わる。


一体、動物たちに何が起きているのか。

そして、この森で何が起きているのか。


僕は、このままの生活でいいのかと考える。


静かな夜。


なのに――


胸の奥に、異様な胸騒ぎが広がっていた。


(なんだ……?)


《臨床検査》というスキルを持っているがゆえの、感覚かもしれない。


その瞬間だった。


森の奥で、大きな魔力の動きを感じた。


スキルを発動していないにもかかわらず、ここまで明確に感じるのは異常だ。


「生命反応感知!」


真っ暗な森へ向けて、スキルを発動する。


「なんだ、これは!?」


ピッ。


ピッ。


ピッピッ。


ピッピッピッピッピッ……


ピー……


反応は軽く20体近く。

人間サイズのモンスターが群れをなして移動している。


(この数はまずい……どこに向かっている?)


僕の《生命反応感知》は、この半年でかなり精度が上がっている。

かなり遠距離まで感知可能だ。


モンスターの一団との距離は十分にある。

今なら逃げ切れる。


当然、向こうは僕に気づいていない。


僕はその場で、少し様子を見ることにした。


その一団は――南へ移動している。

しかも、かなりの速度だ。


(速い……いや、それだけじゃない)


通常、モンスターは近くの脅威に反応して動く。

それが、この森での生活で学んだことだった。


だが今回は違う。


何か“目的”があるかのように、一直線に進んでいる。


「あれ……この方向って……」


僕は、はっとした。


――レムナ村。


途中にレムナ草の群生地や川はある。

だが、この進行方向は明らかに村だ。


「これは……まずい」


次の瞬間には、体が動いていた。


テントも拠点もそのままに、リュックだけを掴んで走り出す。


正直、間に合うかは分からない。


夜の森では、人間とモンスターでは移動能力に差がありすぎる。


それでも――


(村が危ない)


「はぁ……!」

「はぁ……!」

「はぁ……!」


生まれて初めて、これほど全力で走っていると実感する。


村までは徒歩で四時間。

走れば、もっと早く着くはずだ。


静かな夜。


だが――確実に“何か”が近づいている。



「キャー!」

「おい、急げ!」

「そっちだ!」

「ダメーー!」

「ギャー!」

「キャーーーー!」


――間に合わなかった。


モンスターの速度に、僕が追いつけるはずもなかった。


すでに一団は村に到達し、襲撃を開始していた。


「……遅かったか」


そのモンスターたちは、荒々しく、異常な敵意をむき出しにしている。


姿は――


転生前の世界で動物園でも人気だった、ある動物に酷似していた。


「……ゴリラ」


この森にゴリラがいたことにも驚いた。

だが、それ以上に、この数は異常だった。


しかも、ゴリラは元々、人間の十倍近い握力を持つとも言われる生き物だ。


それがモンスター化しているとしたら――

その脅威は計り知れない。


村の外壁は無惨に破壊されていた。

木造や土壁の建物も、ひとたまりもないだろう。


「みんな、教会へ避難しろ!」


村の男たちが総出で、女や子ども、老人を避難させている。


「遅れてるやつはいないか!」

「早くしろ!」


怒号が飛び交い、状況は極めて深刻だった。


モンスターの大半は、北の入口から侵入し、

畑周辺で暴れている。


まだ中心部には到達していないが――時間の問題だ。


「あれは……!」


視線の先。


村人の男たちに加え、

ザック、ケイト、ミリス――あの三人が戦っていた。


だが、数が多すぎる。


いくら熟練の冒険者でも、このままでは押し切られる。


「ダメっ!」


ケイトが叫ぶ。


一体のモンスターが、戦線をすり抜け、住宅街へ侵入しようとしていた。


僕は村を見下ろせる森の高台にたどり着いていた。


そこから見える光景。


そして――


「あっ……!」


そのモンスターは、道具屋の前に到達していた。


扉を叩き壊し、今にも中へ侵入しようとしている。


僕はすぐに《生命反応感知》を発動する。


建物の中――


小さな反応が一つ。


「ミーナだ!」


考えるより先に、体が動いていた。


僕は、目の前の崖を一気に駆け下りた。


読んでいただきありがとうございます!

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次回もよろしくお願いします。

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