表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/34

18 スキルツリー

「おかえりー」


僕とトマスは、無事に村の道具屋へ戻ってきた。

本日のレムナ草の採取は、いつも以上の収穫になった。


――その理由は、たぶん僕だ。


「それにしても、ノア君の活躍ぶりはすごかったな」


「ははは……つい調子に乗っちゃいました。すみません」


「いやいや、村としてはむしろ助かったんだ。レムナ草は薬草のもとになる植物だからな。薬草は国中どこでも需要がある。いくらあっても困らんよ」


「そうなんですね。なら、ひと安心です」


「おじいちゃん、ノアってそんなにすごかったの?」


ミーナが不思議そうに尋ねる。


「おそらく、今日の収穫の三分の一はノア君じゃないかな」


「えっ!? そんなに!? ノアって変な才能あったのね」


(変な、って……)


「とりあえず、今日採取したレムナ草は明日、薬草にするための加工をする。明日また来るといい。加工も見たいんだろ?」


「はい、ぜひ見たいです!」


「了解だ。じゃあ、また明日な」


「ありがとうございます! 今日は本当にありがとうございました。ミーナも、おやすみ」


「はーい、おやすみー」

「気をつけてお帰りなさい」


僕は宿屋へ戻ることにした。



「ただいまー」


「おっ! 本日の功労者が来たぞ!」


宿屋の一階が夜は居酒屋になることを、すっかり忘れていた。

今日の採取隊に参加していた村人や冒険者たちが、さっそく打ち上げをしている。


「にいちゃん、どんな手を使ったらあんなに採れたんだ?」


声をかけてきたのは、冒険者の一人――大剣使いのザックだった。


同じテーブルに座る弓使いのケイトと、魔法使いのミリスも、興味ありげにこちらを見ている。


「ええっと……なんとなく、ですかね」


「なんとなく!? そんなわけないだろ。村の誰よりも採ってたじゃねえか」


どうやら納得がいっていないらしい。


「ザック、そんな問い詰めてどうするのよ」

「そうですよ、ザック」


ケイトとミリスが助け舟を出す。


「わりぃわりぃ。あんなの見たことなかったから、ついな。すまねぇ」


(あれ……案外いい人なのかも)


「ところで、あなた名前は?」


ケイトが尋ねた。


「ノアです」


「ノアっていうのね。私は弓使いのケイト。で、こっちがミリス。魔法使いよ。こいつはザック。見ての通り剣士」


「おいっ、こいつ呼ばわりかよ!」


「ザックが悪い」

「うん、ザックが悪い」


わはは。

ははは。

くくく。


なんだか、気持ちのいい冒険者たちだった。


「よかったら、ノアも一杯どうです?」


ミリスが小声で尋ねてくる。


「おい、ミリスが誘うなんて、どういう風の吹き回しだ?」


「たしかに。ミリス、もしかして……」


「違う違う。薬草採取の様子を見てて、あれってスキルじゃないかなって思っただけ」


(おお……ちょっと僕も勘違いしかけたぞ)


「そういうことね。確かに私も気になるわ。どういう仕掛けなのかって」


そこで僕は逆に尋ねてみた。


「そういえば……皆さんって、スキルは持ってるんですか?」


「もちろん! じゃないと冒険者としてモンスターと戦えないからね」


「俺は剣術スキル持ちだ。あと、その派生スキルもいくつかあるな」


「僕は、水魔法のスキルかな」


「私は、弓術系のスキルと、シーフ系のスキルをいくつか持ってるわ」


(って、ミリスは僕っ子だったのか)


「僕も一応、あるにはあるんです。ただ、ちょっと変わってて……。あの時使ってたのは『薬草ポテンシャル検査』っていうスキルです」


「えっ!?」

「えっ!?」

「えっ!?」


三人の声がきれいに重なった。


「そんなの聞いたことないわ。ミリス、知ってる?」


「本でも見たことないし、師匠にも聞いたことない」


「なんか、いかにも難しそうなスキルだな!」


「とにかく、普通じゃないスキルってことは分かるわね」


「そうなんですよね……。実は僕も、まだよく分かってないんです。だから、自分のスキルをもっと知るために、ちょうど旅に出たところで」


「おー! ノア、一人旅か!」


どんっ。


ザックが勢いよく僕の背中を叩いた。

力加減を知らないのか、普通に痛い。


「まあでも、今日は村の人たちも喜んでたし、よかったんじゃない?」

「うん、僕もそう思う」

「そうだな。いい仕事したと思うぞ、ノア」


「ありがとうございます。ところで3人に聞きたいんですけど、スキルってどうやって見るんですか?」


「えっ!?」

「えっ!?」

「えっ!?」


またしても三人の声がそろった。


「えっ?」


「ノア、それ知らないで使ってたの?」

「あっ、はい。なんとなく感覚で……」

「不思議」

「そうね。スキルも不思議だけど、ノア自身が不思議ね」


わはは。

ははは。

くくく。


(笑われたけど、悪い気はしない。心地いい人たちだ)


「あっ、ごめんごめん。で、スキルの見方だったわね。それは簡単よ。『スキルツリー』って唱えるの」


「ツリー???」


「そう。ツリー。スキルの一覧が木みたいに枝分かれして表示されるのよ。だから『スキルツリー』」


「なるほど! じゃあ、さっそく……」


僕は一度息を整え、唱える。


「スキルツリー!」


その瞬間、クエスト閲覧のときと同じように、目の前にウィンドウが表示された。

ただ、どうやら他の人には見えていないらしい。自分のウィンドウは自分だけに見えるようだ。


(とりあえず、細かいところは後で部屋で見よう)


「あっ、表示されました! ありがとうございます」


「よかったわね」

「うん、よかったよかった」

「うんうん」


すると、ケイトが少し真面目な顔で続けた。


「ノア。スキルっていうのは、自分の手の内なの。だから基本的には、あまり人に話さない方がいいわ」


「あっ、そうなんですね」


「そう。私たちみたいに、見た目で分かりやすい剣術とか弓とか魔法ならまだしも、そこから派生するスキルは隠しておいた方が有利なことも多いの。戦闘では特にね」


「なるほど……」


「もちろん、冒険者として誰かとパーティを組むなら話は別だけどね。仲間のスキルを知ってるからこそできる連携もあるし。ねっ、ザック」


「おう、その通りだ。俺たちは今回3人でパーティを組んでるが、スキルの情報も共有してる。そのおかげで連携技もできるんだ」


「おおー……なんかすごいですね」


「おっ、ノアも分かるか! 見込みあるなお前!」


「なに得意げになってるのよ、ザック」

「ほんとほんと」


わはは。

ははは。

くくく。


気づけば、眠気がじわじわと押し寄せてきていた。

今日は朝から初めてづくしで、体力も精神もかなり使ったらしい。


「ケイト、ザック、ミリス。僕、そろそろ部屋に戻ろうと思います。いろいろありがとうございました」


3人はまだまだ飲み続ける雰囲気だった。


僕は見た目も中身も、今はしっかり12歳だ。……厳密には、精神は違うが。


そんなわけで、階段を上がり、自分の部屋へ向かうことにした。



「スキルツリー」


ベッドの上で、寝転びながらウィンドウを開いた。


「うぉっ!?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ユニークスキルツリー(4)


  原理理解ー✔︎原理の理解向上(生活)

  |     xxx

  |

  体質ー✔︎学び体質

  |   xxx

  |

✔︎臨床検査ーxxxーxxxーxxx

  |

  植物検査ー✔︎薬草ポテンシャル検査

  |     xxx

  |

  xxx


ノーマルスキル(1)

✔︎虫取り名人


※取得済みは「✔︎」で表示されます

※ツリーは関連スキルから発展します

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あっ、虫取り名人!?」


……と、ネタのようなスキルはさておき。


「「臨床検査」から、どんどん派生していくわけか」


今日覚えたスキルも「臨床検査」というベースから来ているのが分かる。


それに、気づいていなかったがーー

「学び体質」というスキルも持っているらしい。


「これ……もしかして、スキル名にタッチすれば……」


ポチッ。


ピコン!


「やっぱりな……」


学び体質の説明が表示された。


>>>学び体質:100日連続して本を読むことで取得できる。経験や観察から「独自クエスト」を発生させる効果がある。クエスト達成で新たなスキルや特殊なアイテムを獲得でき、理解と成長が加速する。


「だから、いきなり『薬草採取(初級)』のクエストが出たのか」


腑に落ちた。


「で、肝心の『臨床検査』は……」


ポチッ。


ピコン!


>>>臨床検査:

対象の“状態変化(=流れ)”を観測・解析し、最適な介入へ導くユニークスキル。発動条件がある。段階的進化の可能性を持つが、現時点では詳細は不明。


「ん……これは、まだよくわからないな。ちゃんと検証しないと」


(とにかく、ただのスキルじゃない気はぷんぷんする)


かなりの可能性が見え始めた1日だった。


押し寄せてきた眠気に、意識が沈んでいく。


「おやすみなさい……」

読んでいただきありがとうございます!

面白かったらブックマーク・評価いただけると嬉しいです。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ