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14 初クエスト薬草採取

ーーーーーー

クエスト名:薬草採取(初級)

達成目標:レムナ村近隣の森に自生する「レムナ草」を3束採取し、薬草を作る

達成ボーナス:《薬草の極意》の取得

内容:レムナ草は、淡い緑の葉と青白い葉脈を持つ薬草で、レムナ村の名の由来でもある。乾燥させると穏やかな回復効果を発揮する。

似た雑草も多いため、状態を見極めて採取し、速やかに処理すること。

ーーーーーー


「あっ、レムナ村の由来はレムナ草だったんだ」


思わぬ気づきを得るとともに、気になったのは達成ボーナスだった。


「クエストを達成するとボーナスがもらえて……ん? この《薬草の極意》って、なんだろう」


「極意」という言葉は、なんとも惹かれる響きだ。

これで改めて、レムナ草を採取する理由ができた。



「行ってきまーす!」


天気の良い翌日の朝。

今日は森へ出かける予定だが、まずは武器屋へ寄ることにした。


「ぎい……」


扉を開けた瞬間、鉄と油の匂いが鼻を突いた。

店内は薄暗く、壁には剣や槍、斧が整然と並び、刃先がランプの光を受けて鈍く光っている。どの武器も使い込まれているのか、装飾よりも実用性を重視した無骨な造りだった。


奥から現れた店主は、すすにまみれた腕で鉄槌(てっつい)を肩に担いでいた。


「いらっしゃい!」

「おっ、にいちゃん、今日は何を探しに来た?」


「ええっと……」


少しドギマギしてしまう。


「こういう店は初めてかい。少し説明しようか」


「あっ、はい。お願いします」


「俺の店では、剣や短剣、槍や弓に加えて、盾や(かぶと)なんかの防具も扱ってる。

街の武器屋ほど種類は多くないが、一通りの物は揃えてるぜ」


説明は続く。


「この村の周辺じゃ、大したモンスターは出ないから、武器は必須じゃない。だが森に入ってモンスターや動物を狩るなら、武器は必要だな。とりあえず、お前さんなら短剣くらいは持っておくと安心だ」


(やっぱり短剣か。それなら持ってるけど……)


「この辺りって、あまりモンスターは出ないんですか?」


「そうだな。森に入らなければ、滅多に遭遇しない。だが薬草採取なんかで森に入るなら、たまに出くわすな」


「おー、興味あります。どんなモンスターが出るんですか?」


「そうだな、ウサギにイタチにタヌキあたりか」


「えっ!? ちょっと待ってください。それってモンスターなんですか?」


「おう。見た目はただの動物だし、普段は食材として狩るんだがな。

時折、気性が荒くて襲ってくるのがいるんだ。だから念のためモンスター扱いしてるんだ」


「なるほど……確かに時期によって凶暴な獣っていますしね」


妙に納得してしまった。


(転生前では“モンスターペイシェント”なんて言葉もあったけど……)


少し懐かしさが込み上げる。


というわけで、短剣はすでに持っている。何も買わずに店を出ようとした。


「おい、にいちゃん。何も買わなくていいのか?」


「実は短剣、持ってるんですよ」


「まあそうか。ひとりでこの村に来たくらいだしな」


(ん? ひとりで来たなんてまだ言ってなかったけど……)


武器屋を後にし、次は道具屋へ向かった。



「こんにちは……」


「いらっしゃいませー」


幼い女の子の声が返ってきた。

道具屋の店内である。


扉を押し開けた瞬間、乾いた薬草の匂いと、わずかに甘い樹脂の香りが鼻をくすぐった。

店内は外から見たよりも広く、壁一面に木製の棚が並び、瓶詰めの薬草や粉末、見慣れない素材がぎっしりと並べられている。透明なガラス瓶の中には、淡く光る葉や色とりどりの液体が揺れており、それぞれに手書きの札がぶら下がっていた。


カウンターの向こうにいたのは、僕よりも背の低い女の子だった。

じっとこちらを見ている。


「あっ、あのー。薬草が欲しいんだけど……」


「お客さんだったのね。どこの子どもが冷やかしに来たのかと思ったわ」


(僕とあまり変わらない、というか僕より年下に見えるけど……)


「ははは。で、薬草ってある? あと、毒消しもほしいなぁと」


「もちろんあるわよ。道具屋だからね。薬草ね、ちょっと待って」


その小さな女の子は、見た目とは裏腹にテキパキと棚から薬草を取り出し、カウンターに並べた。


「どのくらい欲しい? 大抵の人は5つくらい買っていくけど」


「じゃあ、僕も5つもらうよ」


「毒消しは3つくらい?」


「あっ、そうだね。3つもらおうかな」


「準備するね」


これまた手際よく、毒消しを包んでいく。


「ちょっと聞きたいんだけど、薬草ってこの村の特産品なんだよね? レムナ草っていう」


「そうよ。この村の裏手の森の奥に群生地があって、そこで採れるの。ちょうどこの時期に生えるから、街から冒険者を呼んで一緒に採取するのよ」


「そっかー! 僕も興味あるんだけど、一緒に行ったらダメかなー?」


女の子が改めてじーっとこちらを見つめる。


「そうね。おじいちゃんに聞いておいてあげる。薬草の採取は、うちのおじいちゃんと村のおじさんたちで行ってるから」


「ありがと! 楽しみだよ」


「ふーん」


またじーっと見られる。まるで珍しいものを見るような視線だ。


「あっ、そうそう……」


「まだ何かあるの?」


「野宿するための道具とか置いてる?」


「えっ、あなた野宿するの?」


驚いた表情を見せた。


「あっ、うん。数日したら野宿しようかなって思ってて……」


(何かおかしなこと言ったかな?)


「まあいいわ。この辺りはモンスターも滅多に出ないし、森の奥まで行かなければ大丈夫だと思うわ」


(やっぱり、この村の周辺は比較的安全なんだな)


「野宿するなら、テントかハンモック、火打石、ナイフ、まな板は必需品ね。あとは水筒もいるわね」


「さすが、詳しいんだね!」


「当たり前よ。こう見えて道具屋の看板娘なんだから!」


(看板娘って自分で言うものなのか……)


「そうそう、釣り竿とかもあるかなー?」


「もちろんあるわよ。川で魚を釣れば、結構やっていけるかもね」


(ちゃんとサバイバルの本も読んでるし、大丈夫だろう)


「あっ、そうだ。マジックバックってある?」


「マジックバック!? そんな高級品、この村にはないわよ。大きな街に行かないと」


(まぁ、そうだよね……)


「じゃあ、とりあえず薬草と毒消しと、野宿グッズ一式。それと大きめのリュックをください」


「毎度あり!5,400ゼニーいただくわ」


欲しいものは一通り揃った。


「ところで、僕はノアって言うんだけど、君の名前は?」


「ミーナよ」


「ミーナか! 覚えた! また来るね!」


なぜか少しドキドキしている自分がいた。


(いよいよ僕もやばいな……気持ちも少年に戻っている)


店を出て、いっぱいになったリュックを背負う。


「おっと」


少しよろけたが、なんとか踏みとどまる。

12歳の体には、やや重すぎるようだ。


「念のため持ち物を確認しておこう」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

持ち物(10/15)

・フィルド家の短剣

・賢者の書(写)

・病の手引き(原)

・ランチボックス

・薬草×5

・毒消し×3

・テント

・火打石

・まな板

・水筒

ーーーーーーーーーーーーーーーー

お金

・82,500ゼニー(セレノア通貨)

ーーーーーーーーーーーーーーーー


これで準備万端。

とりあえず、村の北側。森の入口へ向かってみよう。

読んでいただきありがとうございます!

面白かったらブックマーク・評価いただけると嬉しいです。

次回もよろしくお願いします。

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