11 最初の目的地
「一番近い村まで、外門から歩いて二時間くらいだったかな」
あれから少し歩いているが、想像していたよりも整備され、見通しの良い道が続いている。
辺境国家とはよく言ったもので、起伏の少ない草原のような地形が広がっていた。
この道を進む限り、モンスターに遭遇することもなさそうだ。
塀の外の世界は、本の中でしか知らなかった。
だが――思っていたよりも、安全なのかもしれない。
「辺境国家セレノアは、昔は森しかなかったんじゃ」
先代の領主ーーつまり僕の祖父が、よくそう話していた。
この街道も、この草原も、もともとはすべて森だったらしい。
それを代々の領主たちが開拓してきたのだという。
(そう考えると……すごい話だな)
「なるほど……だから」
領主の子どもが、こうやって護衛も付けずに一人で旅に出る。
何を考えているのだろうと心の底では思っていたがーー
単純に、この地域がそれだけ平和だということだと分かった。
「そろそろ、お腹が空いてきた……」
家から外門までで約2時間、さらにしばらく歩いている。
もうすでに、家へ帰るより村へ辿り着く方が早い距離だ。
◇
「この辺で、食べるか」
お腹が空いた時のために、サンドイッチを持たされていた。
ハムと野菜を挟んだシンプルなものだが、探検のときはいつもこれだ。
手軽で、何より美味しい。
道の脇に、大きな岩と二本の木が立っている。
ちょうど休憩にはよさそうだった。
腰を下ろし、鞄から地図とサンドイッチを取り出す。
そして、サンドイッチをほおばりながら、辺境国家セレノアの地図を眺めた。
「最初の村は……レムナ村か」
近くに森と川があり、農業を中心に成り立っている村らしい。
出発前、その村出身の使用人から話を聞いた。
「何もないけど、のどかで暮らしやすい村ですよ」と。
「……いい村なんだろうな」
そう、自然と思えた。
さらに話によると、近くの森では薬草として使える良質な植物が採れるらしい。
そのためか、冒険者もよく訪れるという。
ただし、村には冒険者ギルドのような施設はなく、彼らは主に宿屋兼食堂に集まるのだそうだ。
「冒険者か……」
アニメや漫画でのイメージは、なんとなくある。
だが――
(コミュ力低めの僕には、ちょっとハードルが高いな……)
無理に関わろうとはせず、まずは遠くから様子を見ることにしよう。
そう思うのだった。
◇
街道を歩いていると、村への案内板が見えてきた。
どうやら、ここから少し外れた道に入るらしい。
分かれ道に差しかかり、案内に従って北へ進む。
「もうすぐかな…」
少しだけ、足取りが軽くなった。
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