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11 最初の目的地

「一番近い村まで、外門から歩いて二時間くらいだったかな」


あれから少し歩いているが、想像していたよりも整備され、見通しの良い道が続いている。


辺境国家とはよく言ったもので、起伏の少ない草原のような地形が広がっていた。


この道を進む限り、モンスターに遭遇することもなさそうだ。


塀の外の世界は、本の中でしか知らなかった。

だが――思っていたよりも、安全なのかもしれない。


「辺境国家セレノアは、昔は森しかなかったんじゃ」


先代の領主ーーつまり僕の祖父が、よくそう話していた。


この街道も、この草原も、もともとはすべて森だったらしい。

それを代々の領主たちが開拓してきたのだという。


(そう考えると……すごい話だな)


「なるほど……だから」


領主の子どもが、こうやって護衛も付けずに一人で旅に出る。

何を考えているのだろうと心の底では思っていたがーー


単純に、この地域がそれだけ平和だということだと分かった。


「そろそろ、お腹が空いてきた……」


家から外門までで約2時間、さらにしばらく歩いている。

もうすでに、家へ帰るより村へ辿り着く方が早い距離だ。



「この辺で、食べるか」


お腹が空いた時のために、サンドイッチを持たされていた。


ハムと野菜を挟んだシンプルなものだが、探検のときはいつもこれだ。

手軽で、何より美味しい。


道の脇に、大きな岩と二本の木が立っている。

ちょうど休憩にはよさそうだった。


腰を下ろし、鞄から地図とサンドイッチを取り出す。


そして、サンドイッチをほおばりながら、辺境国家セレノアの地図を眺めた。


「最初の村は……レムナ村か」


近くに森と川があり、農業を中心に成り立っている村らしい。


出発前、その村出身の使用人から話を聞いた。


「何もないけど、のどかで暮らしやすい村ですよ」と。


「……いい村なんだろうな」


そう、自然と思えた。


さらに話によると、近くの森では薬草として使える良質な植物が採れるらしい。


そのためか、冒険者もよく訪れるという。


ただし、村には冒険者ギルドのような施設はなく、彼らは主に宿屋兼食堂に集まるのだそうだ。


「冒険者か……」


アニメや漫画でのイメージは、なんとなくある。


だが――


(コミュ力低めの僕には、ちょっとハードルが高いな……)


無理に関わろうとはせず、まずは遠くから様子を見ることにしよう。


そう思うのだった。



街道を歩いていると、村への案内板が見えてきた。

どうやら、ここから少し外れた道に入るらしい。


分かれ道に差しかかり、案内に従って北へ進む。


「もうすぐかな…」


少しだけ、足取りが軽くなった。

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