表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/130

手を貸してくれ


 少し欠けた月の登る良夜。

 シャルロットはいつも通りウルカの髪にブラッシングをして、ベッドに寝かしつけていた。


 「大丈夫ですか? 1人で眠れます?」

 「もう! 馬鹿にしないでよ」


 ベッドに入ったウルカが喚く。

 こんなに“子供らしい”反応をしてくれるのは久しぶりだ。

 ずっと残していた食事も、今日ばかりは少し食べてくれた。……もしかしたら少しずつ良くなっているのかもしれない。


 「きっと、明日には良くなってるわよ……」

 

 シャルロットの考えを見透かしたように、ウルカが呟いた。


 「そうですね。きっと良くなっています」


 希望を込めてシャルロットは答える。

 ウルカの言う通り、たまたま体調の悪い日が続いているだけかもしれない。明日になれば今までが全部嘘だったかのように、元気な姿を見せてくれるかもしれない。

 そのためにも、今夜―――


 「それではお嬢様、良い夢を―――」 


 そう言い残し、シャルロットは部屋から出た。余韻に浸るようにしばらく扉へもたれかかる。


 「少し前まで、眠れないと泣きついて来たのに……」 


 思い返すように目を閉じていると、警備員が走ってくる気配を感じ取った。


 「シャルロット様、準備が整いました」


 窓から刺す月光を受け、シャルロットの瞳が黄色に輝き、鋭くなった。




 「状況はどのようになっている」


 屋敷を大股で歩きながら、警備隊に尋ねる。


 「はい、屋敷を囲うように“結界魔術”と“防音魔術”を二重に設置しました。これで“移動魔術”の類を防ぐことが出来ます」

 「そうか……ご苦労」


 半日で出来る警備体制としてかなりのものだろう。

 しかし相手は“神”だ。万全の対策をしたとしても、それを有に超えてくる可能性が高い。


 「……兵力は?」

 「非番の者や知り合いの伝手を掻き集めて約200人程になります」


 こちらも半日にしては奮闘したと言えるだろう。

 ふと、シャルロットの脳裏に一人の少年の顔が浮かんだ。が、頭を振りかき消す。彼は巻き込むべきではない、と判断したのだ。


 「どうでしょうか……?」


 警備員が不安そうな顔を向ける。

 シャルロット自身、何とかなるとは考えていなかった。“グアリー教団”ならば、5倍の兵士だって集めることが出来るだろう。―――しかし、全く勝機が無いとも思っていない。

 シャルロットは包帯で隠された自分の右腕を見る。―――これをもって……。上手く行けばウルカにまとわりついた因果すらも断ち切ることができるだろう。


 「……こちらにも勝機はある。他に報告すべき事はあるか?」

 「ありますっ!」


 警備員が食い気味に声を上げた。


 「グリフォン隊長が行方不明です……」


 シャルロットの頭が真っ白になる。


 「はぁ?!」


 性にも合わず、シャルロットの口から素っ頓狂な声が出た。    



――――――――――――――――――――― 


 

 「なんて言うか……、足の折れたアメンボが溺れてるみたい」

 「どういう評価だよ!」

 

 寮の303号室には俺とビオラ、そしてミヤビの姿があった。


 「何となく予想はしてたけど、音楽とかリズム、それとダンスのセンスが病気かって思うくらい欠如してるね」


 ミヤビがこうして酷評を叩きつけてくるのにも訳がある。

 仲秋の候、ヴァルーチェ魔術学園では“学園祭”が催されるらしく、その一環として“舞踏会”が開かれるそうなのだ。

 元の世界には無かった舞踏会というイベントにワクワクして練習へ参加した。しかし、教師が投げ出す程踊りの才能が無いらしく、仕方なくミヤビにからかわれ半分、見てもらっているのだ。


 「おかしいな……。子供の頃音楽の先生に、三三七拍子を打つのは上手い!って褒められたからリズム感はあると思うんだが」

 「ただ単に拍手がでかかったんでしょ」


 たしかに、皆とワンテンポズレていた気はする……。


 「しかしマスター、舞踏とは個性が大事です。そういった面では素晴らしいと思いますよ」

 「お、おう……。そうだよな……! 流石ビオラだ、分かってらっしゃる」

 「“個性的”って便利な言葉だよね……」


 ミヤビが頬をかいていると、部屋の扉がノックされた。こんな時間に誰だろうか。


 「ふむ? 誰か来たみたいだし、この辺でお暇しようかな。―――ちゃんと練習しておかないと、ビオラっちと踊れなくなるぞ〜」

 「うるせぇ!」


 俺の返事を聞かずして、ミヤビは瞬間移動(テレポート)していった。

 特に指導をしてくれる訳でもなくて、ただ馬鹿にされただけであった。

 その時、再び扉がノックされる。


 「ああっ! 今出るよ」


 俺の部屋を訪ねてくるなんて大抵ろくでもない奴だ。ドアノブを乱暴に掴む。


 「ようヨツバ。久しぶりだな」


 扉を開くと、そこにはサングラスを掛けたグリフォンが佇んでいた。

 突然の訪問に驚いていると、グリフォンは急に膝を着いた。


 「え? ちょ……、どういうつもりだよ?!」

 「お前らの世界じゃ、頼み事する時に“土下座”なるものをするんだろ?」


 間違ってはいないが……。

 否定する間もなく、グリフォンは地面に頭をつける。


 「頼むヨツバ……。手を貸してくれ」


 状況は飲み込めないが、土下座までされてNOと言える程冷酷ではない。

話が発展してないとか、短いとかは言わんといてください………。時間が取れんかったとです。

代わりと言うには変なんですが、ここからの話は私が書きたかったものしかないんですね。私の書きたいものと、皆さんの望んでるものが全く同じとはもちろん言えませんが、私は興奮しっぱなしです。どうぞ、楽しみにしていてください


次回は日曜日です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ