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もうこれ、彼女とかいらねえな


 雨がしそしそと降る静かな真夜中、レイビア家からビオラの悲鳴が響く。

 

 「があああああっ?! どういうことですか! マスターがおっ、女の子になってるではありませんか!?」

 

 いつになく取り乱したビオラは、頭を抱えながら悲鳴をあげた。

 

 「ネウト族の守り神である、アシレイ様と長時間接触した影響だと思う……。僕が起きたら、事の済んだ後だったから正確には分からないけど……」

 

 レイビアは困り顔で頬をかく。

 

 「経緯はいいんです。マスターは元に戻るのですか? それとも永遠に“あのまま”なのですか?!」

 「それに至っては大丈夫だよ。アシレイ様が言うにはいつでも戻せるらしいから……、でも問題なのは―――」

 

 ビオラが騒いでる最中、当の俺は鏡の前でポーズをキメていた。

 レイビア母に借りた女性用の衣服を纏い、モデル並みに様々なポーズをして、それを自身で見て楽しんでいる。

 見れば見るほど恐ろしくなる……。鏡の前にいる少女は、紛うことなき理想の女性像なのだ。

 

 「大好きだよ! ヨツバ“さん”」

 

 鏡の前で、そんなことを言ってみる。

 

 

 「―――もうこれ、彼女とかいらねえな……」


 

 「どうするんですか!? マスターが更に変態化してしまったではありませんか!」

  「そりゃあ僕だって、男に戻るよう説得はしたんだけど……、本人がどうしてもこのままでって言うから……」

  「レイビアの言う通り、俺がこのままの姿を望んだんだ」

 

 ひとまず満足した俺は、ビオラ達の元へ歩み寄っていく。

 

  「腰まである長い髪、整った顔、可愛らしい声、どれをとっても理想の一級品。こんな“宝物”、手放す方が馬鹿みたいじゃないか」


 その姿を見せびらかすように、俺はその場で回転して見せる。髪の先がビオラの顔を掠める。

  

 「それに考えてみろ、女性というのはメリットが多すぎる。女子更衣室だって、女風呂だって入りたい放題、裸体も好きなだけ見れるんだぜ?」

 「発想が女性になりきれてないけどね…………」

 「ところで、この美貌を記録として残しておきたいんだが、そういった魔術は存在するのか?」

 

 ビオラに対して聞いたつもりだったが、彼女の返事は無かった。代わりに頬を膨らませ、自身の肩にかかった髪を指で摘んでいる。

 ビオラは俺の顔をしばらく見つめると踵を返し、ズカズカと足音をたてて部屋を出て行ってしまった。

  入れ違いになるように、レイビア母が入ってくる。

 

 「ビオラちゃん……、怒ってたみたいだけど何あったの?」

 「ちょっとデリカシーが無かったみたいだね……」

 

 レイビアに苦言を呈される。

 

 「それで何で母さんは、僕が“着なかった”服をそんなに持ってきてるの……?」


 そう、レイビアが言うように、御婦人はこれでもかと言うくらい衣服を抱えていたのだ。

 

 「レイビアちゃんも、ミルカちゃんもこういう“女の子”らしい服着ないんですもん。せっかくだからヨツバちゃんに着させようかと思って〜」

 「おおっ! それは嬉しいですな」

 

  俺は御婦人の持つ服の山から、一着を抜き取ると自分の身体に合わせてみる。

 よく見れば、宮殿のお姫様が着るようなふりふりのドレスや、少々過激な布面積の少ないものまであるようだ。

 

 「おいおいレイビア、なんでこんな“可愛い”の着ないんだよ」

 「一応、男性志望だからね……。そういう恥ずかしいのはちょっと……」

 「いや〜、娘がもう一人できたみた〜い」

 「ハッハッハ、とことん付き合いますわよ“お母様”」

 「じゃあ、僕は寝るから……」

 

 逃げるようにレイビアは部屋をあとにする。その後、俺と御婦人の着せ替えごっこは明け方まで続いたのだった。

日曜休んだというのにこの短さ…。申し訳ないです。

というのも、次から場面が変わるんです。そのため、この辺で切っておかないと長くなって……(言い訳)。

というわけで、ヨツバは女のまま話が進みます。

グダグダと平和な日々を書いておりましたが、次から話が進みます。ヨツバ達は買い出しのため街に出るんですね


というわけで、次回は日曜日です

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