恋ごっこ
ミオは、芝生を歩きながら観察していた。
ミオ「ここ、すごく気持ちいいところだよ。キラも、裸足になって歩いてみる?」
キラ「まぁたまには、こういうのも良いか。涼しいし」
サンダルを脱ごうとした瞬間、上手く脱げなくて、くらっと倒れそうになった。
キラ「きゃっ」
ミオ「!危ない!」
ミオは、とっさに人間と同じ大きさになり、キラを抱きとめようとした。
どうやら姿の大きさも、自由に変えることができるらしい。
でも 2人でバランスを崩して、ミオがキラの上に覆いかぶさる形になってしまった。
キラ「いたた…って、キャー!上に乗らないでよ、ミオ」
ミオ「ごめん、ごめん。こうなるつもりなかったんだけど」
キラは、あたふたして 少し赤くなって、しばらく黙って座っていた。
ミオ「本当に、ごめんね」
キラ「べ、べつに…大丈夫だけど」
なんでミオにドキドキしてるんだろう?男の子の姿だから…?
つい、ドキドキしてしまうのを隠せなかった。
お母さん『勝手にどこに行ってるの!?危ないわよ』
キラ「は~い、ごめんなさい」
お母さんに大声で呼ばれて、怒られないように 急いで戻った。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
家に帰って、お母さんと、今日は楽しかったね という話をして
自分の部屋で休みながら、ミオと会話をすることにした。
キラ「今日は良かったね」
ミオ「うん、外に出られてよかった」
気晴らしに、歌でもかけてみることにした。
ミオ「どんな歌きいてるの?」
キラ「えへへ、最近この歌、気に入ってるんだ」
それはラブソングだった。キラもお年頃だから、たまに こういう歌をききたくなる。
ミオ「これ、なんていう歌?」
キラ「これはラブソングっていうの。恋する気持ちを歌ってるらしいよ」
ミオ「ふ~ん。恋って、どんなのだろ」
キラ「さぁ…したことないから、私も、よく分からないかな」
ミオ「ボクも、よく分かんない」
キラ「うん、よく分かんないよね」
ミオ「愛してる…とか歌ってるけど、愛してるって、どんな気持ちのこと?」
キラ「う~ん。たぶん、好きっていうのが大きくなった感じかなって思う」
ミオ「好き、かぁ…。ボク、キラのこと好きだよ。作ってくれたから」
キラ「ありがとう。私もミオのこと好き」
ミオ「キラ、ボクと恋してみる…?」
キラ「!でもよく分からないし」
ミオは、部屋のあちこちを 飛びまわっていると、TVのスイッチに触れてしまった。
キラ「あ、スイッチを勝手につけたらダメ」
ミオ「ごめん。飛んでたら、つい当たって」
偶然TVで映っていたのは、いま流行っている恋愛ドラマだった。
ミオはキョウミを示したようで、TVに映ってる男性と女性が告白してるシーンを
しばらく見ていた。
ミオ「ふむふむ、恋ってこんな感じなのかぁ。分かんないけど、おもしろそうだね。キラ、この男性と女性のマネしてみない?」
キラ「よく分かんないって言ったじゃん」
ミオ「それじゃ恋ごっこ、ていうことでどう?この男性と女性のマネをして、恋ごっこするの」
キラ「それなら…いいよ」
少し おもしろそうだし、べつに害もなさそうだし…
ミオは、また人間と同じ大きさになりキラの肩に手をまわした。
恥ずかしいけど、イヤではない…
ドラマのマネをしながらミオは、それっぽいセリフを言った。
ミオ「キラのことは、ボクが守るよ。もっと2人で、いろんなところに行きたいな。ボクがキラを笑わせてあげたい。またボクを、外の世界に連れて行ってよ」
キラ「うん、また行こうね。こんどは映画とかどう?」
ミオ「映画って、どんなのか分からないけど楽しみ」
ドラマのシーンが、女性が自分の部屋にいるシーンに切りかわった。
その部屋には、かわいいオーナメントが飾られていた。
ミオ「わぁこのオーナメント、すごくキレイ。こんど一緒に作ってみない」
キラ「キレイなオーナメントね。実は私も、こういうの作ってみたかったんだ。でも私、ドジで不器用だし…」
ミオ「大丈夫、キラなら作れるよ。それにボクは、キラのドジで不器用なとこも、大好きだよ」
キラ「ありがとう。ミオとなら楽しく作れそう」
ミオ「うん」
キラ「絶対、作ろうね。これ2人だけの約束ね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
少し考えてしまった。本当にミオは恋愛とか よく分かってなくて
ただドラマのマネをしただけなのは分かってるけど
もし自分に恋人ができたら、嫉妬したりとかするのかな…
そしたら この世界から消えちゃうこともあるんだろうか?
大丈夫だよね、ずっと、ここで一緒に住むって決めたもん。
それにミオは、大切な人工精霊。家族として友だちとして、大切にしていきたかった。
なんだかモヤモヤしながら、その夜は布団にくるまって静かに眠った。




