ミヤの報告5
1、聖女、勇者候補共に神聖力を使えるようになりました。
2、お嬢様だけが使えないため、焦ってらっしゃいます。
3、今まで才能があり、努力すればするだけ、結果が出ていたお嬢様にとって、この三か月、結果が出ていないことは初めての挫折かもしれません。
4、みなさま、それぞれのやり方でお嬢様を励まそうとしています。
ジョージさま
「君なら絶対、できるから。大丈夫。焦らないで」
ライルさま
「君の価値は神聖力では測れない。気にすることはないさ」
イアンさま
「神聖力を使う時の意識の仕方、呼吸の仕方まで聞き取り調査しました。この資料をぜひ、参考にしてください」
ピーターさま
「考え過ぎなんじゃない。息抜きも必要だよ。一緒に街へ出かけない?」
ベネディクトさま
「カリーナ神は神聖力ではない別の力を授けようとしているのかもしれません」
ブラン
「わかるよ。俺も今、行き詰まっていることがあって。がんばるしかないんだけど、結果が出ないと辛いな」
ジョセフィンさま
「まだまだ。この程度の努力で音を上げるようでは、この私の友としては不足してますわ。さ、一緒に訓練しますわよ」
5、みなさまの励ましの内、どれがお嬢様のお心を慰めたのか、わかり次第、報告をいたします。
ミヤがそこまで報告書を書いた時、バタバタと足音が近づいてきた。
「お嬢様、走ってはいけませんとあれほど」
注意しようとしたミヤは言葉を止めた。
このところ、ふさぎ込んでいたヴィオラの目がキラキラと光っている。
「あのね、アンとケイトが私に歌の特訓をしてくれるって。二人の神聖力が一番強いのは音楽の力じゃないかって」
「お嬢様の歌……」
「今まで逃げていたけど、今度こそ、音痴から脱却してみせる。アンがね、いろんな曲を試せば、簡単なものもあるはずって言うから、私の知っている曲を片っ端から聞いてもらうの」
ミヤはアンの策略ではないかと疑ってしまう。ヴィオラの知っている珍しい歌をすべて知りたいだけではないだろうか。
ただ、それでお嬢様が元気になるなら、それでいい。
「やっぱり、学園の名前がヒントだったんだ。ハーモニー学園って名前、違和感あったもの」
また、ヴィオラが『ヒント』とかいう謎の言葉を使っている。
しかし、ミヤは知っていた。こういう時にヴィオラはすごいことをやり遂げるのだ。
もう少し報告書の提出を伸ばしてもいいかもしれないとミヤは思った。




