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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第三章 囁く狼
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族長を倒せ

「ヒロさん!」


跳躍強化を使って戦っているオーガに接触しないように屋根伝いに移動していると、空から声がして一人のセイレーンが近付いてくる。


黒髪のショートヘアに黒ぶちメガネ、地味な見た目をしているのに服は黒い布を紐で縛っただけというやたらエロイ格好をしている。


マイスナー流通のレインだ。


「レイン何が起こってる?」


「私もわかりません。気が付いたらお屋敷から火の手が上がっていて、みんな殺し合っているんです」


「リロイは?」


「ごめんなさい。わかりません」


「多分あそこニャ」


ケティが屋敷の方を指さす。


よりによって一番危険そうなところにいるのか。


案の定、お屋敷までたどり着き中庭を屋根の上からのぞくと燃え盛る屋敷を背景にリロイ達がオーガの族長と戦っていた。


全員が族長と自分の間にリロイが来るように動き、族長が切り込むとリロイがそれを防ぎタップルとペアーズがそれに合わせて攻撃する。


リロイが防ぎきれず体勢を崩された時はウィズが召喚し自身の後ろに浮遊させている炎の塊を放ち、それでもだめなら残りの二人がフォローする。


いつの間にあれだけの連携が取れるようになったのだろう。


「ニャーが割って入っていいかニャ?」


「ディバインアバター使う気だよな」


「あの剣戟の早さだとニャーじゃ捌き切れないニャ」


ケティが言う通り族長の攻撃は素人では見切れないほど速い。


現にヒロは離れてみているにもかかわらず太刀筋が全く見えていない。


だとしてもディバインアバターをケティに使わせていいか怪しい。


ディバインアバターはケティのゴッドノウズ同様にケティが使える最大級のスキルで、10秒間あらゆる攻撃、魔法を無効化することが出来る。


しかしその分魔力消費量が大きく、ゴッドノウズ同様に500ほどの魔力消費と18時間ほどのクールタイムが必要になる。


今このオーガの村で起きている騒動が族長の仕業ならいいのだが、もし違う場合はさらに先頭になる可能性がある。


それに、今リロイ達はしっかりと耐え忍んでいるしむしろ有利にも見える。


これはもしかしたらチャンスかもしれない。


「レインはここに残って。ケティ頼みがあるんだけど」


「ニャー、ニャーは猫使いが荒いニャ」


「俺はもう30ちょっとしか魔力が残ってないし適任だろ」


「で、何してほしいニャ?」


頼みを伝えるとケティが大きく跳躍して移動する。


「それで、私は何をすればいいんですか?」


「ここでこの戦いを見届けてくれ。あとタイミングを見計らってやってほしいことがある」


クロスボウに矢をかけ族長目掛けて放つ。


不意を突いているにもかかわらず族長は刀で軽く矢を撃ち落とす。


あまりの神業に怯んだが、大きく跳んでリロイ達の後ろへ着地した。


「振り向かないでいいよ。リロイいい仲間だね」


「ありがとう、また会えてうれしいよ」


リロイが族長の攻撃を盾で受け、右手の大槌グラントを振るう。


族長は半歩下がってそれをかわしたが、タップル達の追撃でさらに後ろへと下がった。


「ウィズ戦っているって事はある程度の覚悟はできているんだよね?」


「気絶させるのが私たちの作戦よ」


「じゃぁそれを止めて殺す寸前で止めるってのはどうかな」


「どういう事?」


「自由恋愛を手に入れるんだよ」


操られていると思ったが、ヒロの言葉を理解して族長の攻撃が一段と早くなる。


それによりリロイだけでは防ぎきれず、ウィズ達の支援を必要とすることが増え始めた。


「ヒロさん。オグさんと違って僕じゃ防ぎきれないよ!」


押され始め限界を感じたのかリロイが弱音を吐く。


無理もない。


元々今回はここまでの戦いをする予定もなかったのでオグ無しでの戦いを練習していないし話し合ってもいない。


それにリロイは最近までただの細工師だった。


「リロイ集中してよく聞けよ。お前はオグじゃない。オグにできることを求めていないし俺はリロイにしかできないことを望んでる」


そこまで言ってリロイの動きは変わらない。


「ヒント1。オグと戦った時を思い出して」


リロイはまだ何が言いたいのか理解できず族長の攻撃を防ぎきれずオーガ達の助けを借りる。


「ヒント2。今の状態だとグラントいらなくね?」


リロイは何かを察したのか攻撃の直前に一歩下がりシールドバッシュをする。


今までになかった行動に族長は怯んだが、直撃の瞬間に後ろへ下がり衝撃を和らげた。


「ごめんリロイ。サンダーボルト」


「主よ、光と加護を我らに――サンダーボルト」


リロイが右手の大槌を投げ捨て右手から稲妻を発生させる。


サンダーボルトは教会で習う神の力を使う魔法で、セラが使う教会とは関係ない下級魔法のライトニングとは別で複数の電撃を放つことが出来る。


発生と範囲の広さから至近距離で使われるとかわすことはまず無理だろう。


稲妻が直撃した族長は硬直し動きが止まる。


それを見逃さずペアーズが足払いをし、タップルが右腕を抱え込むように押し倒した。


直ぐにペアーズが族長の左腕を抑え、盾も手放したリロイが仰向けになった族長の足の上に座り込んで抑え込む。


「ウィズ、喉元に刃を!レイン出番だよ」


そう言ってヒロが族長の手を蹴り刀を手から離す。


ウィズが馬乗りになり族長の喉元に短刀を押し当てるとセイレーンのレインが歌を歌い始める。


セイレーンの声は人を惑わす能力がある。


惑わすことが出来るということは逆も出来るはずだ。


レインの歌声は魔力の影響か、かなり広い範囲に響き渡りヒロが垂直に跳躍強化で高く跳んで屋敷の外を確認すると、戦っているオーガは正気を取り戻したのか武器を捨てている。


「わしは……」


族長も正気を取り戻したのか目の前の光景に驚いた声を出す。


「族長。あなたは何かに惑わされてオーガ達を斬ってしまったみたいです。屋敷もあなたが燃やしました」


族長は屋敷の方を見ようとしたがまだ抑えられており動けない。


「そこでウィズがあなたに戦いを挑み見事に勝利したんです。あ、承認は私とあそこで見ているマイスナー流通のレインね」


「そうか……負けたか」


族長が負けを認め目で合図するとウィズは短刀をしまい族長に手を貸したたせる。


「まぁ大の大人が小娘とさしは卑怯なので彼女には仲間が居ましたけどね」


「それで何が言いたい」


「私たちについてきたラクマとメルカリも足手まといで散々場をかき乱した後、気絶しています。つまり今この村で一番強いのは彼らって事ですよね」


「わかった。娘の生き方は娘が決めればよい。だが条件がある」


「条件?」


ずっとヒロが話していたがここでやっと話を理解したのかウィズが話に入ってくる。


「状況的に儂が負けたことは認めよう。だが、過程を覚えていないのだ。」


「なに?じゃぁやり直せって事?」


「いや違う。儂が出来なかったこと。つまりはこの人斬り問題を解決して見せろ」


「は?何を言ってるのよ」


「大丈夫。多分解決するよ」


「は?」


当事者なのに置いてけぼりのウィズが怖い顔をする。


「まぁちょっと待って」


そう言って空を見上げると小さなピンク色の光が近付いてくる。


ケティに頼んでここに飛んできたアストリッドだ。


「あぁ、リロイよかった」


「へへ、僕もうれしいよ。だけど先にヒロさんが用事があるみたい」


「まってちょっとだけ」


アストリッドはよほど嬉しかったらしく妖精の姿のままリロイのツルツルの頭を強く抱きしめた。


「アストリッド、妖精の粉は2回分残っているよね?俺に使ってくれないかな」


「ええ、でも何に使うの?」


「俺の願いで広範囲に魔法をかけてほしいんだ」


ストリッドが空高く飛び上がり妖精の粉を撒く。


それにヒロが願いを込めると、アストリッドは宙に舞う粉の中を通り、そのまま鱗粉を撒きながら村の上を飛び回った。


するとレインがいる場所から中庭を挟んで反対側の屋敷の屋根の上に一匹の狼の姿が現れる。


狼と言っても2足歩行で立っており、サイズは人間に近い。


ワーウルフかと思ったが聞いていたほど強そうではない。


「まだ戦える奴は手を貸して」


そう言ってヒロは跳躍強化で狼の前に跳んだ。

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