地味巨乳メガネハーピー
「えっと、この辺でいいのかな」
「私も始めてくるからわからないよ」
不安になって尋ねてみるが、セラからは困った顔が返ってくる。
今ヒロ達は5人でサザラテラの南南西地区の奥に来ている。
実はサザラテラはかなり大きくて、ヒロたちはサザラテラのすべてを知っているわけではない。
サザラテラは城を中心に大きな円状に外壁で囲われている。
外壁には八法位に門が設置されており、そこから城に向かって大きな通りが作られ8区画に街を分けている。
さらに各区画を二つに分けるように円状の大きな通りがあって、サザラテラは大きな16区画に分かれている。
各区画はそれぞれ住んでいる人がある程度決まっていて、南外側の二カ所を除き外側の区画に住んでいるのは農家の人たちだ。
外壁外に麦畑を作り、内側で畜産や野菜などを育てているためだ。
今いる南奥側は外壁外がまだ開拓されておらず、畑がないため貧困層が住んでいる。
ちなみに西内側が冒険者、北と南の内側が商業ギルドや教会、東内側が富裕層の区画となっている。
ヒロたちが住んでいる家は北西の通り沿いにあり、西北西の内側の地区に当たる場所だ。
にしても、貧困街とはいえ外壁に近付くに連れて街の景色が変わっていく。
別に極端に建物が変わるわけではない。
木製の家が多いのは他の農業地区と変わらない。
ならなにが違うかというと人間以外の種族をちょくちょく見るからだ。
サザラテラの住人は殆どが人間種なのでオグやケティを仲間にした時はかなり悪目立ちしていた。
しかし、この南南西の地区には別の種族が沢山いる。
ぱっと見で知っているのはオークやケットシーくらいだろうか、他には目が一つの者や角が生えている者がちらほら。
今回ここに来たのはマイスナー流通の依頼で鬼の村へ行くためだ。
マイスナー流通は三大商業ギルドの一つで、その名の通り流通がメインの商業ギルド。
本拠地が貧困外にあるのは土地代を安く済ませる為もあるのだろうが、それだけが理由ではない。
マイスナー流通はドラゴンを飼っているだけではなく、働いている者の殆どが人間種意外の種族だからだ。
ヒロが今回マイスナー流通の依頼を受けたのはそれを知ったことが大きい。
「ケティ、臭いでわからない?」
「あっちニャ」
「ありがとう。てか、いい加減元気出せって」
行きたくないのかケティがマイスナー流通の場所を示してくれるが、元気がない。
今回5人で来たと言ったが、実は一緒に行動しないのはケティではなくオグだ。
というのもオグの盾はエンシェントドラゴンの一件で壊れてしまい、オークの村で修理してもらうためにネグが持って帰ってしまった。
それもあって、オグは一旦盾の受けとりも兼ねてオークの村へ戻らせた。
エルフの事もネグに任せてしまったのでオグがいれば安心だろう。
ちなみにケティが鬼の村に生きたくなかった理由は――――。
「ニャ!待ってたニャン!こっちニャン!」
どうやら待っていたらしく、三毛猫のケットシーがギルドの前で手を振っている。
マイスナー流通のタマリだ。
「どうも、遅かったかな」
「そんな事無いニャン。ニャーが待ちきれないだけだったニャン。ささ、中を案内するニャン」
軽く挨拶をするとタマリが中を案内してくれる。
タマリによると、マイスナーは亜人種がメインのギルドで各種族の能力を生かした運営をしている。
大きな荷物を運ぶのは力が強いオークや鬼、サイクロプスなどの種族で軽いものはハーピーなどが運んでいるらしい。
輸送用のドラゴンは翼竜と呼ばれる中型のドラゴンで、飼いならすために何代かかけて品種改良をされている。
そういえばカシミール商会の馬車馬も品種改良されたもので、時速30キロほどで長時間走り続けていたがそれでも空の輸送にはかなわないだろう。
というのも、サザラテラからジャポン、鉱山都市は比較的モンスターの駆逐が進んでおり綺麗な街道が轢かれているので馬車でもそこそこの時間でたどり着けるが、それ以外の街や都市はちゃんとした道があるわけではない。
モンスターに襲われることがないので護衛を雇う必要がない。
地上ルートより何倍も早く輸送できることを考えると、ドラゴンなんていう維持コストが高い生き物を使っても利益が上がるのだろう。
一匹貰って帰れないかな。
今のヒロたちにはエンシェントドラゴン討伐で手に入った大金があるので困ることもない。
まぁそれでも売ってはくれないだろう。
ある程度案内が終わると搬入口へと連れて行かれる。
そこには妖精の森に運んでもらった時と同じ荷台が置かれている。
そしてそれを囲むように3体の翼竜がいつでも飛び立てるように羽を休ませている。
「今回はニャーは同行できないから、案内はあの子が担当しますニャン」
そう言ってタマリが合図をすると一人のハーピーが飛んできた。
ハーピーは腕が鳥の羽になっていて下半身も鳥の様になっている種族で女性しかいない。
この世界にはハルピュイアと言う種族もいて、見た目は大体同じなのだがざっくり言うとハーピーがお姉さんというか美人系が多く、ハルピュイアは可愛い系というかロリが多いという噂だ。
なぜ噂かというと、今日この瞬間までヒロはハーピーたちを見たことがなかったからだ。
「案内役のレインニャン」
「あ、あの…レインです」
タマリに紹介されてハーピーの女性がお辞儀をするのだが、その見た目と事前情報の内容が違い過ぎて混乱する。
というか、めちゃめちゃ好みの姿だった。
髪の毛は黒。
羽が邪魔なのか短く切りそろえられていて、黒縁の大きい眼鏡をしている。
腕が翼なので普通の服は着ることが出来ないからか、それともその放漫な胸が納まりきらないのか紐ブラのようなかなり無防備な格好。
そして何より可愛いと思わせるのが大胆な格好の割に大人しそうな性格が雰囲気から漂ってくることだ。
一言で言うなら地味巨乳メガネハーピー。
いや、綺麗というより可愛いからハルピュイアなのかな?
「えっと、レインさんはハーピーでいいのかな?」
「いえ、違います……ごめんなさい」
傷ついたのか恥ずかしいのかレインは下を向いてもじもじしている。
可愛い……。
やはり可愛いからハルピュイアなのか。
「レインはセイレーンって言う種族ニャン」
「え?セイレーン!?」
セイレーンもハーピーと同じような見た目なのだが、どちらかというと上位種のようなものだろうか。
タマリの話だとマイスナー流通のセイレーンは彼女だけで、セイレーン自体かなり珍しい種族なんだとか。
レインは運搬の仕事でマイスナー流通に入ったらしいのだが、頭がよく直ぐにタマリの目に留まり次期幹部候補として期待されているのだとか。
「そ、それでは行きますね」
レインの合図で翼竜たちが飛び上がり搬入口から出て空へとヒロたちの乗った荷台を運んでいく。
ある程度の高度まで上がるとレインが魔法の壁なもののようなもので荷台を包み、翼竜たちは一気に加速した。




