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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第一章 ゴブリンキング
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お役所による嫌がらせ

石造りの部屋、座らされた椅子の前には机を挟んで衛兵がこちらを睨みつける。


動いたら殺す。そんな威圧感で特に話しかけてくるわけでもなく威圧してくる衛兵に隣にいるセラはガタガタ震えていた。


「あの、いつまでこうしていれば…」


「まだだ」


なんだよそれ、もう小一時間この威圧を受け続けているだけである。


ヒロたちは衛兵に因縁をつけられてここに連れてこられた。


ここサザラテラでは商売をするには税金を払わなければならない。


冒険者や、よその商人が店に物を売るには全く問題ないのだが、作った商品を店に売るのではなく、広場で販売してたのがいけなかったらしい。


だが、そんなことを知らなかったわけではない。


あらかじめ、ヒロはここの税金制度は調べている。


そして、冒険者に登録した初めの一か月間はすべての税金が免除されることをヒロは分かっていて、この商売を始めたのだ。


登録してからまだ半月もたっていない。それを伝えたのだが衛兵側は引かなかった。


どうやらセラが協力している事を問題にしたいらしい。


しかし、セラはヒロからのお給料を断っていたし、お給料を渡していたとしても何ら問題はない。


それでも確認すると言われて今の状態である。


「確認が取れた、出て行っていいぞ」


別の衛兵がやってきてそう伝えると、ヒロとセラは特に誤ってもらえるわけでもなく詰所を追い出された。


「あいつら絶対に許さねぇ」


怒りで手が震えるヒロの手を取って「でも、よかったじゃないですか」とセラが言う。


そんなわけがない


荷物をチェックすると一時的に荷物を取り上げられたのだが、返ってきたときにはあるものが無くなっていた。


売り物のハンバーガーとホットドックだ。


まだ10個はあったはず。それがすべてなくなっていた。


そこにやったのか訊くと衛兵たちは知らぬ存ぜぬ。


つまりは、やつらの勘違いで1シルバーの損失である。


日本円にしたら約1万円。公務員の勘違いで拘束された挙句の1万円。


俺に力があったら国を滅ぼしてやるのに……、そんなことを考えながら魔道具屋に向かった。


とは言っても今日は念願の『妖精の粉』の購入日だ。


実際はかなり前に50シルバーの余裕が生まれたのだが、冒険に出た際の野宿セット。鍋や毛布などの購入や、着替え、セラの魔法習得費用にも大分使った。


セラのファイアボールはすでに十分なサイズになり、生活に必要ないくつかの魔法の熟練度を今は上げてもらっている。


「おばちゃん買いに来たよ」


魔道具屋のドアを開けて亭主のおばちゃんに話しかける。


「あぁあんたかい」おばちゃんは苦笑いしながらこう言った「ちょうど今買っていかれちまったよ」


ヒロの顔は凍り付いた。


「だ、誰が買っていったんですか?」


「誰だったかねぇ」


これはもうだめだ……。妖精の粉は高価なだけでなく、人間が使うには大した効果もないので滅多に入荷されない。


逆に言えば、滅多に買う人もいないからと無理に買わなくてもいいと踏んでいたのだが失敗だった。


おばちゃん曰く、次の入荷はわからず、何年も待つ可能性があるらしい。


なんて日だ……。



――――――



セラの目の前にハンバーグが運ばれてきた。ハンバーグと言っていいのだろう、ただの挽肉と玉ねぎを丸めて焼いたものだ。特にデミグラスソースやトマトソースがかかっているわけでもない。


その横には火を通しただけのジャガイモが添えられている。


セラはカバンから小さい壺を二つ取り出すとその中身を皿に出してかき混ぜた。


マヨネーズとケチャップをセラの為に小さな壺に詰めて持たせてあげたのだが、セラはオーロラソースにしてジャガイモとハンバーグにつけて食べるのが気に入ったらしい。


はぁ、可愛い。


まるで親戚の子供を預かったオジサンのように、ヒロはセラが食べるところを眺めている。


というか、そうでもしないとマイナスのため息が止まらなくなるのだ。


ハンバーガーとホットドックで稼げるのは、あと1週間程で終わってしまう。その後は店もないのに税金を納め路上販売をするしかない。


いよいよ冒険者としてサザラテラを出る時が来たのかもしれない。


本来であれば今日は妖精の粉を使い、魔法の練習を1週間みっちりやるつもりであった。


「よう、二人とも今日は散々だったな」


デカい声を上げて、アイアンモンガーことタカシがビール片手に近づいてきた。


「はい」とセラがオーロラソースをつけたジャガイモをフォークでとりタカシの口元に運ぶ。


それをパクリと飲み込み「うめぇぇぇぇ」とタカシはまたデカい声を上げる。


実はここ数日間でセラは大分人とかかわるようになった。


というか、冒険者相手に売ることが多かったので、結果的にハンバーガ娘と冒険者たちから声をかけられ、結果溶け込んでいったのだ。


「で、大丈夫だったのか」


「最早嫌がらせですよ」


ヒロが今日の経緯をタカシに伝える。


「って事はよ、あと数日でハンバーガーが食えなくなるのか」


「うちのパーティーに入ったら食べれますよ」


「ガハハハ、そいつは嬉しい誘いだが、前にも言ったが3人揃えてくれよ」


ヒロの誘いをタカシは大笑いして受け流す。実は他の冒険者に聞いたのだが、タカシはかなり有名な冒険者らしい。


ここで仲間になってもらえたらかなり頼もしいんだけどな。


「稼げなくなるのは厳しいけど、私たちは冒険者だからちょうどいいのかも」


「それなら商業ギルドにレシピを提供してみたらどうだ?ちょうどあそこに商業ギルドの腕利きがいるぜ」


セラの言葉にタカシがそう言って指さした方を見ると、一人の男がカウンター席に座って酒を飲んでおり、こちらに気付いたのか軽く会釈をした。


「知り合いなんですか?」


「あぁ呼んでいいなら声かけてやるぞ」


返事を確認する間もなくタカシは腕を上げ、男を呼んだ。


「はじめまして、商業ギルド『カシミール商会』のアルノと申します」


「それじゃぁ頑張れよ」


アルノと名乗った男の挨拶にヒロが返事をする前に、タカシはヒロにウインクして席を立った。


あぁそういうことか



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