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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第一章 ゴブリンキング
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冒険をしない冒険者

「い、いらっしゃいま…せ…」


サラサラの茶色い髪の女の子が、聞こえるか聞こえないかの声を上げる。


「ん~、やっぱり無理そうかなぁ…セラはお会計係やろうか」


首から下げた紐の先に木のカゴというか、トレイを付けた駅弁売りスタイルでハンバーガーとホットドックを売りにヒロとセラは中央の広場までやってきた。


卵白とオリーブオイルで綺麗に洗ったセラの髪の毛は、その効果でサラサラで、元のボサボサ頭とは大分印象が違う。


ちなみに前髪は少し切って、エルフの特徴がある右の緑色の瞳を隠すことにした。


それでも、半分エルフだけあってセラの容姿は可愛さの中に綺麗さが感じられる。


これは看板娘になると試しに売り子をさせようと思ったが……難しそうだ。


現在の時刻は10時。昨日の戦利品を処理したり、今日の準備を終え冒険者たちが街から冒険に出発する時間だ。


ヒロとセラは朝7時の開店と同時に、前日に頼んでおいたハンバーガーとホットドック用のパンを買い、肉屋でソーセージと挽肉を買ってこの時間までに宿舎の空き地で準備を終わらせた。


「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ。400年の未来から来た究極の食事アイテム…」


ヒロがとりあえず大きい声で思付いたことを言葉にしていく。


これは『カラ卓』という営業スキルで、見ているお客さんがいなくても、さも誰かと話すように声を上げることで、通りすがりの人の目を向けさせることができる。


よく、テレビの通販番組でやっているのがそれに近い。


「よう、冒険者はやめたのかい?」


身長は190センチを越え、その肉体は鎧の上からでも強靭だとわかる、スキンヘッドに立派な髭を生やした男。


アイアンモンガー、いや、タカシが声をかけてきた。


「メンバーが揃わないから副業をちょっとね」


「副業ね」


「歩きながら食べれるんで今から冒険に行くなら一個どうです。お代はいらないんで」


ハンバーガーはかなり大きい部類のものを作ったのだが、タカシが持つと小さく見える。


タカシの一口で半分が口の中へ飲み込まれる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ」


タカシが雄たけびを上げる。


そのバカでかい声に広場の人たちの視線がこちらを向く。


「うめえええええええええええええええええええええええええええええええええええ」


今度はホットドックを渡してみる。


バクバクとタカシがかぶりつく。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ」


食べたことがない美味さに歓喜の雄たけびを上げるタカシ。


やはり、冒険者たちにはクリティカルヒットするようだ。


それもそうだ。


ハンバーガーとホットドックにはそれぞれ『マヨネーズ』と『ケチャップ』が使われている。


マヨネーズとケチャップは18世紀ごろのもので、彼らにとっては未知の調味料だ。


ちなみにケチャップはトマト、玉ねぎ、にんにく、鷹の爪、砂糖、塩、胡椒、酢で完璧な再現度ではないが、似たような味は再現できる。


塩、胡椒がメインの味付けの料理で、カロリーを沢山取らなければいけない冒険者には最高の逸品だ。


「おい、あれタカシじゃねえか」


「俺も食べてみようかな」


タカシの雄たけび効果によって、まわりの冒険者たちが集まってくる。


「さぁさぁみんな食べてって!エピック級のレアソース『マヨネーズ』と『ケチャップ』を使った絶品。残りわずかだよ」


「えっと、こっちを一つくれよ」


「俺はこっちをくれ」


ヒロの適当な追い打ちに何人かの冒険者が注文する。


「――え…えと…ひとつ10カパーです…」


「10カパーね」


セラは戸惑っているようだが、なんとか会計はできそうだ。


「うおっ、本当にうめぇ」


「かぁぁぁマスタードにこんなベストな相棒がいたなんて」


冒険者たちの歓喜の声が、他の冒険者に伝わりまた客が来る。


それを見て一般の人たちも集まってくる。


良いの連鎖反応だ。


その日、サザラテラに新たな名物が生まれた。――と思う。



――――――



あの後なんと2時間で100個のハンバーガとホットドックが売りきれた。


ヒロたちはパン屋、肉屋によって明日の分の食材を前金で払い、市場で野菜を買って宿舎に戻った。


「す、凄い稼ぎですね」


「そうなの?」


机の上に今日の売り上げを並べ数えていく。


ハンバーガー、ホットドックはそれぞれ10カパー。一つにつき、6カパーの利益が出る。


そして今日の純利益は588カパー。約6シルバーだ。


セラによれば、ゴブリンを1匹倒したとして、戦利品のみでお金にした場合、約20カパーになるかどうからしい。


4人パーティで一日狩りをして20匹程度が限界。


つまりは一日4シルバー。それをパーティメンバーで割ると1シルバー、確かに少ない。


ゴブリン討伐のクエストがあったとしても追加で8シルバー程度の報酬で、パーティで割って2シルバー、合計3シルバーだ。


要は半日で命がけのゴブリン討伐一日分を稼いだことになる。


これ一生冒険者しなくていいのでは?と、一瞬思ってしまったがそんなわけもない。


人には必ず飽きというものが来るだろうし、そもそも今日がたまたま運が良かっただけかもしれない。


というか、そんなことしたらスライム娘は一生拝めない。



――――――



ハンバーガーとホットドック売りを初めて21日目


一日の数を限定にしいたおかげで、特に飽きが来るなんてことはなく、今日も売り上げは好調で所持金も大分増えてきた。


一度に10個ずつ買っていくやつだっている。大繁盛だ。


ありがたいことにセラはしばらく食事代と入浴代だけ出せばお給料はそれでいいと言ってくれた。


宿は同じ宿舎に泊まっている。


無料で宿舎を使えるのは冒険者ギルドに登録して最初の30日間だけだが、どうやら部屋単位で貸してくれる様なのでヒロの部屋に止める分には問題ないらしい。


というか、セラは冒険者ギルドの酒場で寝泊まりしていたので、さすがにまずいと連れてきた。


もちろん手は出していない。


だって、ハーフエルフって言っても、たかだかオッドアイの人間である。


ちなみにセラの場合は人間の方の血が強いのか耳は尖っていない。


そうなればただのオッドアイの小娘だ。


どちらかというと、娘のような感覚で接している。


とりあえず、そのおかげで今日の売り上げで所持金が1ゴールド50シルバーになり遂に『妖精の粉』に手が届く。


そんな喜びに胸を躍らせているところだった。


「お前か、ここで商売をしているのは」


鎧を着た衛兵がヒロたちによって来る。


「不法な商売の疑いで身柄を拘束する」


いきなりの事だった。二人は衛兵に連行された。


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