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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第二章 龍喰らいの悪食
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模擬戦

ジャポンに来てから4日目、明日にはサザナテラに向かって出発しなければならない。


ならなぜギリギリまでここにいたかというと


「ごはんお代わりニャ」


「あ、俺も」


飲み物を運んできた店員のケットシーにご飯を注文する。


「ニャー、やっぱり魚料理は定期的に食べたいニャ」


「なんとかサザラテラまで鮮度を保って輸送できればいいんだけどね」


そうこう言っているうちにケットシーがお代わりを持ってくる。


あぁ日本人で良かった。


と、のどのつまりを味噌汁で押し流す。


あ、しまった。


別に飯が美味くてジャポンにいるわけではない。


今、ジャポンの魔術ギルドでセラが上位魔法を習得しているのだ。


上位魔法の習得は難しく、初日の授業の後に数日間は魔術ギルドに籠って最低限の習得をしなければならない。


その後、個人で練習し半年ほどで完全習得まで行くのだが、何分時間がなくセラは3日で二つの上位魔法を学び、サザラテラへの移動の1週間とオグたちとの合流後の1週間である程度の形にしなければならない。


しかしセラの現在の魔力量は1000。


上位魔法の魔力消費が50~100なので一般の冒険者よりはるかに練習ができる。


ここは何とか頑張ってもらうしかないだろう。


ちなみにヒロはヒロでサボっていたわけではなく、ケティに2つ、ギルドで3つのスキルを習得した。


毎日跳躍強化を使ってケティとウンディーネの所まで競争もしていたので、跳躍強化も大分上達し、ウンディーネになぜ属性魔法が使えないかも教えてもらうことが出来た。


ヒロが属性魔法を使えない理由。


それはやはり中途半端な科学や物理の知識が邪魔をしていた。


火が燃える理由、雨が降る理由、風が起きる理由、大地が揺れる理由。


中学校で習うような内容だけで精霊との認識のずれが起きているんだとか。


つまりはヒロは記憶喪失にでもならない限り四大属性の魔法を使う事は出来ず、契約を行うこともできない。


ウンディーネ曰く、そのズレが少ない精霊となら契約できるそうなので、たくさんの精霊に会えばいつか契約できるかもしれないということだそうだ。


ついでに、浄化魔法で水を綺麗に出来た理由だがウンディーネによるとヒロの浄化した水は他の人間が浄化した水とは違うらしい。


人間が飲める綺麗な水ではあるが、不純物が多いとか。


ケティとも話した結果、どうやらヒロは自身の魔力で元居た世界の水、つまりは水道水に変えていたらしい。


理屈は分からないがこれで謎が一つ解けた。


そして、しばらくは属性の無い魔法を中心に覚えていくしかないだろう。


「終わったよ。お腹すいたぁ」


そうこう言っているうちにセラが戻って来た。


「ケティ、セラの分を注文して。それでセラはどうだった?」


「うん。私はウンディーネの魔法の習得が上手なんだって。後は自力の練習でいいって」


「お、流石天才セラちゃん」


そう言って全員で食べるように頼んだ煮物をよそってやると、よっぽどお腹がすいていたのかセラはあっという間に食べてしまった。


さて、下準備は整ったはずだ。


あとは練習あるのみ。


何としても成功させなければ。




――――――



サザラテラに戻ってきて最初の夜。


ヒロの横にはリロイ。


目の前にはオグとケティがこちらに向かって構えている。


セラ、ハルト、アストリッドが見守る中、模擬戦が始まろうとしていた。


「んじゃ、試させてもらおうかな。跳躍強化、オーラフィスト」


そう言ってスキルを発動する。


このスキルはどちらもケティに教わった技だ。


オーラフィストは跳躍強化の腕版で、手から衝撃波をだすことが出来る。


要ははっけいみたいなものだ。


振動の魔法の様に内臓を揺らすことはできないが、吹き飛ばすことが出来るし衝撃波の魔法より魔力消費が安い。


範囲は無いが安くて指向性があると思えば十分だろう。


どうやらヒロの相手はケティがする気のようでケティが指で掛かってこいと挑発している。


正直、ジャポンへの往復の間は毎晩相手をしてもらっていた。


一回も勝てなかったが、今日は負けるつもりはない。


「うおぉぉぉぉおおおお」と声を上げてリロイがオグに突っ込む。


オグは盾でグラントを受け止めるが、いなされる前にすぐに次の攻撃へつなげる。


大振りの攻撃をすると間違いなくオグにその力を利用される。


なら小技で勝負しようという判断だ。


勢いよく地面を蹴り跳躍強化の力を使ってオグに急接近する。


そのままオグに殴りかかるように見えたのか、無視したことに腹を立てたのかケティが割り込みヒロの腹を思いっきり蹴り上げた。


「ぐほぁ」


変な声が出たが、何とか吹き飛びながらオグの後ろ辺りに手をついた後、何度か転がる。


だが、最高な配置になった。


「ケティ今日は勝つぞ」


「そんなの無理に決まってるニャ」


「2対1ならどうかな」


そう言ってオグの背中に向かって魔力の塊を発射する。


マジックミサイル――属性変化のないただの魔力を固めて飛ばす魔法。ファイアボールとかアイスニードルの方が圧倒的に威力が高いので覚えるやつはまずいない。


会えていいところを言うならば無色なので見えにくいというところだろうか。


しっかり魔力を込めて発動すれば石で殴られる程度には痛い。


見えているのだろうか?オグの後頭部目掛けて発射したマジックミサイルをケティが跳んで蹴り飛ばす。


身体強化をかけているのだろうか。


じゃないとケティだってそこそこ痛いはずだ。


だが、本命はそれじゃない。


マジックミサイルがケティの蹴りで破裂し、そのままケティは地面に着地する。


その瞬間だ。


ケティの踏んだ地面が爆発を起こす。


爆発と言っても魔力による爆発なので炎は発生しない。


はたから見たらやたらデカい音だけが発生しケティが上に吹き飛ばされたように見える。


「リロイ!」


「主よ、光と加護を我らに――サンダーボルト」


リロイが右手を武器から放してかざすと稲妻が発生しオグの盾を襲う。


サンダーボルトは聖騎士用のスキルで、魔法なのだが魔術ギルドではなく教会で習得することが出来る。


ライトニングとは違って神の力を使った魔法なのだろう。


ライトニングが数回分発生するといった感じだ。


オグの装備は全身が金属。


そして耐電なんかしているわけがない。


行き成りの事でオグがピクピクと痙攣し、ケティは空中。


きめるなら今しかない。


「振動(バイブ)」


オグの背中に触るか触らないかの所で振動の魔法を発動させる。


掌底の先から発生した空気の塊のようなものは今オグの内臓を激しく振動させているだろう。


どうなるか確認したいが落ちてきたケティに蹴りを入れられる。


だが、それと同時にオグが片膝をついた。


行ける!


「リロイ、あとはケティだ」


リロイがオグの横を通りケティに大槌グラントを振り下ろす。


だが、不思議なことが起きた。


グラントがケティをすり抜けたのだ。


「ぐぁっ」


気付いた時にはケティがリロイの後ろに回り、手刀でリロイを気絶させた。


その後、グラントをすり抜けたケティが急に動き出し、先ほどまでリロイがいた首辺りに手刀をお見舞いしてその場で制止した。


「幻影移動か……」


幻影移動――ケティがゴブリンの砦で一度だけ使った技だ。


発動時に自分の幻影を残し本人は半透明になる。


その後、攻撃時に幻影がそれまでの動作をなぞるスキルだ。


今は辺りが暗いので正直見つけられる気がしない。


跳躍強化を使って空高く飛び上がる。


10メートルほどの高さだろうか。


一時的に空中で制止した後、自由落下が始まる。


恐らくケティはスキの多い着地を狙うはずだ。


そこで衝撃波の魔法で吹き飛ばして居場所を見つけた後、オーラフィストでボッコボコにしてやる。


覚悟はできた。


地面まであと2メートル。


その時だ。


行き成り鳩尾に蹴りを喰らった。


ケティは着地を狙う読みの反撃を予測して、空中で攻撃を仕掛けてきたのだ。


そりゃそうだ。


落下中だって無防備だ。


派手に地面を転がった後、「降参!」と言って仰向けになる。


習得したのを隠していた魔力地雷が決まった時は勝ったと思ったのに、流石ケティというところか。


遠くからオグが嘔吐する音が聞こえる。


内臓が揺らされた時の吐き気は回復魔法じゃ治らない。


オグに悪いことしたかな。


しかし、悔しい。

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