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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第二章 龍喰らいの悪食
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罪悪感

「あぁ罪悪感で死にそう」


そう言って馬車から顔を出し空を見上げる。


澄んだ青い空が逆にヒロの心を罪悪感で苦しめた。


「そんなこと言ったって仕方ないニャ」


ケティはアホくさと言った顔で毛繕いをしている。


今乗っている馬車はジャポン行きのカシミール商会の馬車だ。


先頭を走る馬車にヒロとケティ。


後ろをついてきている馬車にはセラ、リロイ、アストリッドが乗っている。


そう、ハルトとオグを別行動にしたのだ。


別に悪意があってやっているわけではないのだが、タイミングが悪すぎてそう思われても仕方がない。


何でこんなことになっているかというと幾つか理由がある。


まずオグとハルトはオークの村に向かっている。


エンシェントドラゴン討伐のクエストが2000ゴールドで出ている理由を聞いたところ、どうやらエルフの里の庭園から食人鬼が出てきてしまったようだ。


現在は各ギルドから派遣された魔法使いがエルフの里を結界で封印しているらしい。


大金に目がくらんで挑戦した冒険者たちがかなりいたらしいが、どのパーティも全滅し食人鬼として森を徘徊しているんだとか。


現在森を焼き払う案があるらしいが、その後エンシェントドラゴンをどうするか決まっておらず手をこまねいているようだ。


ヒロが冒険者ギルドで確認したクエストに挑戦した冒険者は約50人。


エルフ達の殆ども食人鬼になっていると考えるとかなりの数である。


そこでオークの力を借りるためにオグを村に戻したのだ。


ハルトは太陽の精霊アポロの力を使うと件のユニークスキルが不安定になるらしく、ジジの腕輪が破損し修理や強化の意味も兼ねてオグに同行させた。


ちなみにリロイとアストリッドもオグに同行させるつもりだったが、ジャポンに出発するまでの準備期間3日間にまた問題が起きてヒロに同行している。


その問題というのがサキュバスがまた出たのだ。


ケティが満腹で眠りこけているところを襲われ、たまたまアストリッドが気付かなければヒロは昇天していただろう。


またいつ彼女が現れるか分からないのでヒロの護衛という意味でリロイとアストリッドは同行してもらっている。


ジャポンにつくまで7日間。


馬車に揺られるだけなので特にやることがない。


いや、やることがないわけでもない。


荷物から羊皮紙を出して広げる。


ここには出発前にフレイや冒険者たちから聞いた話をメモしてきた。


食人鬼は元居た世界のゾンビ映画と同じような仕組みで、脳を破壊すれば死ぬ。


奴らからのひっかき傷では死なないが、噛まれればどんな回復魔法でも噛まれた者は死んで食人鬼になってしまう。


食人鬼は走ってはこないが気配を感じ取ることが難しく、目視して対処しないと手痛い目に合うようだ。


特に気になったのは唯一エンシェントドラゴンまでたどり着いたフレイの話しだ。


エンシェントドラゴンは黒い泥を纏ったような姿をしていて、右手に大槌、左手に大斧を装備していたそうだ。


特に気になったのはランドがかすっただけで瀕死になったという話だ。


本当にただのかすり傷で治す必要もなかったらしいのだが、戦闘中に顔が真っ青になり自力で歩けなくなったのだとか。


その後エンシェントドラゴンから離れてフレイに回復、解呪、浄化などの魔法をかけてもらったのだが容態はよくならず食人鬼に噛まれたらしい。


ケティとフレイの見立てでは高度な呪いか感染症の可能性が高いらしいのだが、どちらにしてもエンシェントドラゴンの攻撃はかすったら終わりのとんでもない強敵だ。


今回はオグに前衛を完全に任せての遠距離攻撃戦になる。


そうなればやはりセラとハルトが要になるのだろう。


ウンディーネはジャポン北西の湖にいる。


一度助けてくれたとはいえ、簡単に上級魔法をセラに与えてくれるのだろうか。


どちらにしろ準備が間に合わなかったらアストリッドは羽を失う。


今は仲間を信じるしかない。


あぁ、にしてもハルトの事が申し訳ない。


いや、いつまでもこんなこと言っていられない。


今は別の事に集中しよう。


馬車の中じゃすることないけど。



――――――



「くぁぁあああああ魚が美味い」


ジャポンについて一番最初に来たのは定食屋だった。


食の発展によりサザナテラでも米が手に入るようになったのだが、まともな魚が食べられるのはやはりジャポンだけだ。


生魚は流石にないのだが、焼き魚が食べられるだけでも本当に幸せ。


サザナテラでも川魚でいいから手に入ればいいんだけどな。


「それでこれからどうするの?」


セラは張り切っているらしく、サザナテラを出た時からかなりやる気だ。


「とりあえず、今日はここに泊まって明日ウンディーネのいる湖へ向かおう」


「夜の山は危険だからね」


そう、ウンディーネのいる湖は山の上にある。


大陸を見渡せる高い山から彼女たちは世界を見渡し、その湖から大陸各地へ川が流れている。


なのでウンディーネを軽んじる村は川が汚染されたり干からびたりして滅びるなんて噂もあるんだとか。


「とりあえず早朝に出発して昼頃に到着できるようにしようね」


「ニャー、なら今夜は早めに寝るニャ?」


「遊ばないからいいだろ」


「え?遊ばないニャ?」


「遊ばないよ」


流石にケティはスキルを覚えたりする必要がないので余裕がある。


というか、いつもそうか。


「私は酒場で歌ってもいいですか?」


「え、どうだろう。その魔法は切れたりしないかな」


「た、多分大丈夫だと」


「多分ならやめといたほうがいいかもね」


そういうとアストリッドが残念そうな顔をするが、リロイがそれを見てまぁまぁと背中をなでる。


ジャポンに入ってからアストリッドには人間のサイズになってもらっている。


というのも、妖精の姿だと目立つということもあるが、まだティタニアルとの約束も果たせていないし、捕まると羽がなくなる魔法もかけられているので我慢してもらった方がいいだろう。


サザラテラの初日にヒロがいないこともあって冒険者ギルドの酒場で歌ったらしいのだが、かなり好評だったので自信を持ったのだろう。


というか、今気づいたが人間の姿になるとアストリッドの方がリロイより背が高い。


リロイが150センチくらいなのでアストリッドは160くらいか?


女性の方が身長高いカップルって夢あるな。


ヒロも165センチと身長が高い方ではないので純粋にリロイが羨ましい。


そういえば日本では女性は胸のサイズ、男は身長みたいないやな志向があったけど、この世界はどうなんだろうか。


やっぱりたくましい肉体が持てるのかな?


もし自分がこの世界で恋人が出来たらどんな人なんだろう。


少し考えてまた凹んでしまった。


恋人でネグを思い出し、ネグの居たオークの村を思い出し、そこからハルトを連想した。


ダブルパンチだ。


はやくこの件片付けないと。

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