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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第二章 龍喰らいの悪食
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死亡フラグ

「よし終わった!」


家を空けてから2週間もたっていないはずだが、この世界の家は凄い速さで汚くなる。


建築の精度の影響だろうか?それとも掃除機がないから大変に感じるからだろうか。


今朝がた鉱山都市から帰ってきて掃除を始めたが、外はもう暗くなり始めている。


「兄さんこっちも終わったよ」


隣の建物と繋がる扉から頭に手ぬぐいを撒いた主婦力高そうなオグが木製のバケツを持って入ってくる。


主婦力高そうといったが実際にオグは主婦力が高い。


子供のころから道場の掃除など手伝いをしてきたらしく、ヒロの何倍も繊細に掃除をこなす。


そういえばオークの村で食べた食事も和食の中でも小鉢ものが多く繊細なものが多かった。


きっとお爺さんから続くしつけのたまものかもしれない。


「それじゃこっちのバケツも頼むよ」


「わかった」


オグは軽々とバケツを持って外へ水を捨てに行く。


「セラ達は終わった?」


「終わったよー」


2階から声が聞えたので各自の部屋も掃除が終わったのだろう。


ちなみにリロイとアストリッドはオグたちと同じ隣の建物を使うことになった。


「本当に私たちも一部屋ずつ使ってもいいんですか?」


ふわふわっとピンク色の光がヒロの肩に止まる。


妖精のアストリッドだ。


「あたりまえだろ。もう仲間なんだし」


「本当にありがとう!」


アストリッドは喜びを表現しようとしたのか一気に舞上がるが、天井から吊り下げた明かりにぶつかった。


ドジなのか堂々と森の外に出れて浮かれているのかは知らないがアストリッドは見ていて飽きない。


「終わったならごはん行くニャ」


ケティはケティで一切手伝うわけもなく2階の手すりに足をパタパタしながら座っている。


「わかったよ。俺は残るからみんなでご飯食べておいで」


「ニャ?ニャーはいかないのかニャ?」


「先に風呂に入りたいし考えたいことがあるから何か買ってきてくれればいいよ」


「わかったニャ。みんなご飯ニャー!早く準備をするニャ!」


ケティは2階から飛び降りて隣の建物へハルト達を急かしに行った。



――――――



「ぷはぁああああ」


湯船に浸かると出る声はよくオッサンになるとみんな言うというがそうではない。


実際には体温と湯船の温度差がある場合体はストレスを感じるので声を出さないと体に負担がかかるのだ。


オッサンが言うイメージがあるのは男性は熱い湯を好むことからだろう。


半身浴の為に体温とほぼ同じお湯につかるときは声は出ないし出さなくてもいいはずだ。


そんな誰も得をしないようなことを考えながら久しぶりの我が家の湯を満喫する。


使い慣れた安らぎの空間。


考え事をするのにここ以上の場所があるだろうか。


とりあえず明日の予定を考える。


まずしなければならないのがアルノに会ってエルフの現状の確認をすること。


鉱山都市で確認したクエスト内容ではエンシェントドラゴンによってエルフの里はほぼ壊滅したらしい。


一部のエルフは逃げたらしいが詳しくはアルノに訊くのがいいだろう。


次に冒険者ギルドでの他の冒険者やギルドでの話。


夕飯時に冒険者ギルドで訊くのもいいと思ったがみな酒が入っているし、なによりチキンレッグを賭けた例の戦いのせいで皆冷静ではない。


それに冒険者ギルドからの説明も受けたいので受付が空いている時間に行かなければならないだろう。


最後に生き残ったフレイに中で何があったか訊かなければならない。


ハリーのパーティは全員が上級魔法を使えるベテランパーティだ。


それがあんな状態になったんだ。


エンシェントドラゴンを最悪倒さなければならないヒロたちの状況を考えれば、詳細を訊いておかなければ間違いなく全滅するだろう。


やることがいっぱいだ。


あと4週間程度。


もしセラに上級魔法を覚えさせる必要があるならウンディーネに会いに行かなければならない。


シルフたちの話を聞く限り無理をしてウンディーネ以外の属性の中級魔法を覚えるのも難しいだろう。


ウンディーネが住んでいるのは東の港町ジャポンの近くだ。


ジャポンまでは馬車で1週間。


往復だけで2週間かかると考えるとヒロがスキルを覚える時間はなかなか取れそうにない。


顔半分まで湯船につけてぶくぶくとやっていると家のドアが開いた音が聞えた。


誰か先に帰って来たのか?


ちょうどいいし風呂から出ることにした。



――――――



服を着て居間に行くと意外なことに帰って来たのはハルトだった。


「――これ、買ってきた」


「ありがとう」


ハルトは買ってきた食事を机に置いてくれたが話が続かない。


それもそうだ。


この間の妖精の森の一件以来、ハルトと直接話す機会はなかった。


機会がなかったというより故意にそうしたのだが、ハルトも気にしていたようだ。


「――ヒロさんに話があります」


「わかってる。あの時は悪かったよ」


ヒロが席に座るとハルトも向かいの席に座る。


「――そうじゃなくて俺の事について話さないといけない」


ハルトがいつになく真剣だが、やはり心のどこかでハルトを受け入れる覚悟が出来ていなかった。


「待ってくれハルト。今はまだその話をしないでほしい」


「――でも」


「最後まで話を聞いてくれ。俺はセラが大切だ。勿論ハルトも大事に思っているがそれは仲間としてだ。つまりセラは他の仲間より大切な存在なんだ。正直ハルトの事を理解する努力をするべきだけど、お前のセラへの気持ちを考えるとどうしても冷静でいられない」


ハルトは何かを察してくれたのか黙ってこっちを見ている。


「だから時間が欲しい。今は何を聞いても悪い面を見てしまう。これからエンシェントドラゴンの元へ行かないといけない事を考えるとこれはパーティにとってはマイナスだ。だから俺の提案を聞いてほしいんだ」


「――提案?」


「そうだ。ハルトが太陽の精霊アポロの力を上手く使えないことは聞いた。そしてこれからセラはウンディーネに会って上位魔法も覚える必要がある。だから、今はパーティの為に自分ができることに集中してほしい。そしてエンシェントドラゴンの一件が片付いてリロイとアストリッドの事が解決したら改めて俺にお前の話をしてほしいんだ。」


ハルトは少し下を向いて考えている。


正直、ヒロも自分で言って少しズルいと思っていたが、二人の恋愛の結末によっては影響が出ることも間違いはない。


「――わかりました。俺がアポロの力を使えれば間違いなくパーティは強くなる。それにこれがヒロさんからの試験だと考えればやる気も出るし認められたい。」


「よかった。それじゃ明日の夕方にはみんなで今後の事を話し合おう。楽しめるのは今日だけだぞ。」


そう言ってハルトを外まで送りだした。


「はぁ」


ため息をついて椅子に座る。


ズルいよなほんと…。


自分の中ではこれがベストだと言い切れる。


だが、自分で自分が嫌になる。


「死亡フラグたたせるなんて大人げないよな」

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