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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第一章 ゴブリンキング
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ギャルゲーの主人公

「――はじめまして、ハルトです」


初めて話すその男の姿を見て、ヒロは絶句した。


恐らく人生で初めての絶句と言える絶句だ。


例えるなら、倒したと思ってみんなで喜んでいたら、空中で浮かぶフリーザを見つけたときのクリリンのような絶句。


そして、そのヒーラーがどうして女性問題で幾多のパーティを解散させたのかなんとなく察しがついた。


ハルトと名乗るそのヒーラーは、白いTシャツに黒いジャケット、デニムのジーンズをはいている。


髪の毛は短すぎず長すぎず、しかし前髪は瞳が見えないほど伸びていた。


チャラそうとかそういうのではない。なんというかその。


凄くギャルゲーの主人公っぽい。


ギャルゲーの主人公っぽいのはそれだけではなかった。


ハルトが席に着くと、飲み物を運んでいた酒場の娘がつまずいてハルトに飲み物がかかる。


「ごめんなさい」と謝る娘の声を聞いて、事態を把握した酒場の店主が「またお前はドジしたのか!次やったらクビだつったろ!」と怒鳴り娘は涙目に。


それを見たハルトは立ち上がると、店主の元へ行き自分が悪いと説明し始めた。


クビを免れた娘はハルトに泣きながら感謝とハグ。


なんだこれ……。


その一部始終を見終わったと思ったら、次の事件が起きた。


ベロベロに酔っぱらった女冒険者が上の階の手すりから滑り落ち、ハルトに覆いかぶさる形になった。


そこへその女冒険者の彼氏なのか、屈強な男が「俺の女に何しやがる」とハルトに突っかかってきた。


酒場の裏に連れていかれボコボコにされるハルト。


だがハルトはやり返さない。


やがて無抵抗のハルトを殴ることに飽きたのか男は酒場に戻っていたのだが、酔いがさめた先ほどの女冒険者がハルトに駆け寄る。


結局、耳元に何かささやかれた後、頬にキスをされていた。


――え、なにこれ…。


ハルトは自分の傷を魔法で治していたので、確かに回復はできる様だ。


とりあえず他者にも回復ができるのか訊いてみたら、死にかけの魚を使って証明するということで市場に向かう事になった。


だが、何事もなく魚を買いに行くことはできなかった。


パンを銜えて走ってきた女の子にぶつかるわ。


落とした果物に滑って転んだ女性に馬乗りにされるわ。


子供に懐かれたと思ったら、そのお母さんが未亡人で死んだ夫に似ているとか言われるわ。


永遠のライバルだ!とかなんとかぬかしながら勝負を仕掛けてくる、見た目はいいけどアホそうな娘に絡まれるわ。


最後の方は女子高生と体が入れ替わったりもしていた。


そして、とどめが酒場でクビになりかけた娘と魚屋で再開した。


店主の娘らしい。



――――――



ハルトが詠唱を終えると机の上で息絶えそうだった魚が息を吹き返した。


「わぁ凄い!!」


「魚はニャーが食べるニャ」


結局、冒険者ギルドの酒場に戻ってきたのだが、喜ぶセラとケティを横目にヒロはとても疲れていた。


「えっと、回復のスキルは分かったけど、さっきまでのあのイベントの数々は何だったの…」


「――えっと、俺は生まれつき、ああいった事に巻き込まれることが多いんです……」


「生まれつきって…」


そんな事あるかよと思ったが、ここは魔法がある異世界。


ギャルゲーの主人公っぽくなる魔法があってもおかしくないのかもしれない。


「ニャー、もしかしたら呪いか何かの類かもしれニャいね。それかユニークスキル」


「ユニークスキル?」


「ニャーは知らないのかニャ、能力石は持ってるかニャ」


「あるけど」


ケティに言われて能力石を出す。


「ハルト握ってみるニャ」


ハルトは能力石を受け取って右手に握る。


すると能力石が光り出して手の甲に文字が浮かびだした。


魔力 3000


「3000!?」


思わず声が出た。


セラの魔力でも十分多いと思っていたが、ハルトは毎日の練習で増えた今現在のセラの3倍近くの魔力を持っている。


「ニャー…これはユニークスキルっぽいニャ」


「なんでそんなことがわかるんだ?」


「ユニークスキルは常時発動していて魔力をすっごく食うから、スキルの魔力消費量を肉体の魔力回復量が追い抜くまで総魔力量が増え続けるんだニャ」


「それでこの魔力量なのか」


「――知らなかった…」ボソッとハルトが呟いたので、本人も知らなかったのだろう。


「ちなみに仲間の変死もこのユニークスキルのせいなのか?」


「――いえ、仲間が死んだのは寝ている間に魔物に襲われたからだと調査に来た冒険者ギルドの人が言っていました……」


「魔物の気配に気付かなかったのか?」


「――俺は全く気付きませんでした……。でも、みんなでかたまって寝ているところから離れたところで見つかったので、自分で離れていったんだと思います……」


「なるほどねぇ」


怪しい。何はともあれ怪しい。


怪しいのだが、今日の一部始終を見ていると本人の意思とは別に巻き込まれていたので、ハルト自体は悪いやつじゃないのかもしれない。


だとしてもなぁ…。


セラの方を見る。


セラに何かあったら困るしな。


結局この後、話し合ってハルトのユニークスキルを抑える方向になった。


ハルトの魔力量をもってすれば、仮に1時間ごとに死にそうになっても回復してもらえるだろう。


回復のスキルもかなり充実しているようで、並みの冒険者より圧倒的に優れてる。


なにより、念願の回復役である。


この機を逃したら当分はチャンスが訪れるとは思えない。


「で、言い出しっぺのケティはユニークスキルを無効化する方法に目途はあるのか?」


「もちろんあるニャ」


「で、なにをすればいい」


「みんなでオークの村に行くニャ」




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